安倍首相がTICAD出席のためケニア到着

安倍首相がTICAD出席のためケニア到着
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安倍総理大臣は、アフリカへの支援の在り方を話し合う、TICAD=アフリカ開発会議に出席するため、日本時間の午前4時すぎ、政府専用機でケニアに到着しました。
安倍総理大臣は、27日からケニアで開かれるTICAD=アフリカ開発会議に出席するため、日本時間の午前4時すぎ、政府専用機でケニアに到着しました。

TICADは、これまでの5回は日本で開かれましたが、6回目となる今回、初めてアフリカで開催されます。安倍総理大臣は、TICADの開幕に先立って、ケニア政府主催の歓迎行事に出席するほか、各国の首脳との会談に臨むことにしており、日本の常任理事国入りをはじめとする国連安全保障理事会の改革の実現に向けた協力を求めることにしています。

安倍総理大臣は、27日からの会議では、日本の高い技術を生かしたインフラ投資の拡大や、イスラム過激派組織によるテロの未然防止に向けた対策などでの協力を打ち出し、日本の存在感を高めたい考えです。

TICAD開催のねらい

TICAD=アフリカ開発会議は、23年前から日本政府が主導して開いてきた国際会議で、アフリカ各国の首脳や国際機関やNGO、それに企業などの関係者が一堂に会し、アフリカの抱えるさまざまな課題を広く議論する場となっています。

第1回目が開かれた1993年当時は、それまでアフリカへの支援に熱心だった先進各国がいわゆる「援助疲れ」に陥ってアフリカへの関心を失っていった時期だっただけに、「アフリカを見捨てない」という姿勢を示す意義があると言われていました。その後、天然資源の価格高騰によってアフリカ各国が著しい経済発展を遂げるとともに議論のテーマも変わっていき、「援助から投資へ」をキーワードに、開発を支援していくうえで民間企業の役割が重要視されるようになっていきました。

一方、アフリカの成長を自国の経済発展を取り込むため、中国や韓国、それにインドなども相次いで、TICADのようにアフリカ各国を集めた会議を定期的に開くようになりました。特に、アフリカとの関係を重視する中国は、中国版TICADとも言われる「中国アフリカ協力フォーラム」を3年ごとに開いていることから、日本もこれを意識して、これまで5年ごとだった開催を今回から3年ごとに変え、初めて、アフリカ大陸で開かれることになりました。

今回の会議では、資源価格の下落に伴い、アフリカの経済成長に陰りが見える中、今後、持続的な発展をどう実現していくや、アフリカ各地で活動を活発化させるテロや、エボラ出血熱などの感染症の流行にどのように対処していくかなどの課題を中心に議論されることになっています。

アフリカは”最後のフロンティア”

アフリカの経済は、人口が増え続けていることや、豊富な天然資源が産出されることなどから、最後のフロンティアとして注目されています。

人口は、2050年には中国とインドを超え、30億人にまで増えると推測されています。また、石油や金などの天然資源を産出する国が多く、日本は、輸入するプラチナのおよそ8割が南アフリカ産などと、アフリカの天然資源への依存も高まっています。

しかし、資源価格が下落したことから、アフリカ経済を引っ張ってきた産油国がダメージを受け、ここ数年5%前後だったアフリカの経済成長率が、去年は3%台にまで下落しました。このため、アフリカの産油国では、資源の輸出だけでなく、産業を多角化することなどが重要な課題となっています。

課題は格差拡大が招くテロ

アフリカでは各地で、イスラム過激派が勢力を広げ、各国の政府軍などによる掃討作戦にもかかわらず、抑え込むできていません。

東アフリカのソマリアでは、20年余りにわたって続いた内戦の混乱に乗じて勢力を拡大した国際テロ組織アルカイダ系の過激派組織「アッシャバーブ」が、政府軍やAU=アフリカ連合が派遣した平和維持部隊の拠点などを狙った襲撃をたびたび引き起こしています。また、国境を越えて隣国のケニアでも、テロを繰り返しています。

西アフリカのナイジェリアでは、北東部を拠点とするイスラム過激派組織「ボコハラム」が、誘拐した子どもに自爆テロを強制するなど、残虐な手口をますますエスカレートさせています。特に、おととし、北東部の学校から女子生徒200人以上を誘拐した事件は、今も、ほとんどの生徒たちの行方が分からないままとなっています。さらに、同じ西アフリカでは、去年からことしにかけてマリやブルキナファソ、それに、コートジボワールで、外国人が多く利用するホテルが武装集団に襲撃されて多くの宿泊客が死亡するテロが相次ぎ、いずれも、アルカイダ系の過激派組織の関与が疑われています。

こうしたテロ活動がなくならない背景には、アフリカ各国で続く経済成長が貧富の格差を拡大させ、富の恩恵を受けられない貧困層に過激派が浸透していると指摘されていて、アフリカの開発支援を進める上での重要な課題となっています。