HOME > レビュー > エラックのDebut B4は、音源をストレートに聴かせる恐るべきハイCPスピーカーだ
2016年8月31日/藤原陽祐・HiVi編集部
[HiVi 8月号レビュー]エラック スピーカー Debut B4
KEF 、インフィニティ、TADと、スピーカーブランドの名門での実績が買われ、昨年からドイツのエラックに活躍の場を移したアンドリュー・ジョーンズ。Debutはまさに彼のエラックデビュー作となるわけだが、ここで紹介するB4は小型2ウェイ(バスレフ型)のブックシェルフタイプだ。
今年1月、CES(ベネチアンホテル)のエラックのデモルームを訪ねた時、たまたまアンドリューがこのB4をプレゼン中で、その雑みのない清々しいサウンドに、つい聴き入ってしまった。
全体的に刺激を抑えた穏やかなサウンドで、質感は滑らか。低音は軽快で、響きも癖っぽさがなく、繊細。ジャズ、クラシック、ヴォーカルと、ジャンルを超えて聴きやすく、どんな音楽でもバランスが崩れない。
このサイズ、価格で、ここまでの表現力を持つとは――。感心しきりで会場を後にしたことが、昨日のことのように思い出される。
そしてB4との再会。実際に目の前にセッティングされると、ブラック・マット仕上げのエンクロージャーはキリッと引き締まって、思いのほか小さく感じられる。
4インチウーファーの振動板は、剛性の高さと優れた減衰特性を兼ね備えたアラミド・ファイバー製。特殊クロスの振動板を持つトゥイーターには、深い楕円形にかたどられたウェーブガイドが加えられ、ユニットの保護とともに、高域特性が最適制御されるという。
さてそのサウンドだが、ニュートラルな声の感触といい、おおらかな空間の拡がりといい、その印象はCESで聴いた時、そのまま。脚色せずにストレートに聴かせるタイプだが、冷徹な感じではなく、あくまでも穏やかに、質感の高い音を奏でる。
ボリュウム感のある豊かな低音を求める向きには物足りないかもしれないが、ギター、ピアノの響きの鮮度が高く、ベース、バスドラが気持ちよく躍動する。
恐るべきハイCPスピーカー。このお値打ち感を越えるモデルは、今のところ他には見当たらない。
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SPEAKER SYSTEM
ELAC Debut B4
¥43,000(ペア、税別)
●型式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:25 mmドーム型トゥイーター、100mmコーン型ウーファー
●クロスオーバー周波数:2.5kHz
●出力音圧レベル:84.5dB/2.83V/m
●インピーダンス:6Ω
●寸法/質量:W178×H292×D216mm/4.2kg
【問合せ先】
ユキム
電話番号:03-5743-6202
>>ユキムのホームページ
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