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燃費を倍に 新しい仕組みのエンジン 燃焼実験に成功

燃費を倍に 新しい仕組みのエンジン 燃焼実験に成功
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飛躍的に燃費を向上させた自動車の開発に向けて、早稲田大学の研究グループが、従来と仕組みが大きく異なるエンジンの試作機を開発し、燃焼実験に成功しました。実用化できれば、燃費を倍近くに伸ばせる可能性があるとしています。
現在の自動車のエンジンは、燃料を燃やしたガスの力でピストンを動かしていますが、多くの熱が逃げてしまうため、エネルギーをどれぐらい利用できているかを示す「熱効率」は30%から35%と、燃料の半分は活用できていない状態です。
これに対して早稲田大学の内藤健教授の研究グループは、計算上「熱効率」を最大で60%と現在の倍近くに飛躍的に高める新たな仕組みのエンジンを考え出しました。このエンジンは、複数の方向から音速に近い速さで燃料と空気を吹きこみ、中心で衝突させることで、燃料を一点に集中させ、ここで燃焼させる仕組みです。こうすることで、燃焼する際の熱が外部に逃げにくくなるなど、より効率よく力を取り出すことができるということです。
内藤教授らは、排気量30CCの試作機を作り、燃焼試験を行ったところ、計算どおりの出力が得られたほか、エンジン周辺の温度もほとんど上がらず、熱が逃げていないことが確認できたとしています。実用化できれば、自動車の燃費が現在の倍近くに伸びる可能性があるということで、内藤教授のもとには、自動車メーカー10社余りが視察に訪れ、技術協力の話も進めているということです。ただし、現状では燃焼が安定しないなど課題も残されているということで、実用化までには少なくとも5年から10年程度かかると見ています。
内藤教授は「なるべく早い実用化を目指したい。自動車だけではなく、家庭用の小型発電機や飛行機、ロケットにも応用できる」と話しています。

斬新なアイデアの一方で課題も

自動車用のエンジンは、内部で燃料を燃やし、燃焼ガスが膨張する力でピストンを動かして回転運動に変えています。1886年に世界で初めてガソリンエンジンを積んだ自動車が開発されて以来、130年がたった今でも基本的な原理は変わっていません。
しかし、燃焼室全体を使って燃料を燃やすため、熱がエンジンの壁を伝わって外に逃げてしまい、こうしたエネルギーの損失をいかに抑えるかが課題となっています。
これに対して今回のエンジンは、燃焼室全体ではなく中心の一点に燃料を集中させて燃焼させるというもので、内藤教授は、燃焼ガスも中心部にとどまるため熱が外に逃げにくいとしています。
一方で、自動車は加速したり止まったりと動作が一定ではないため、エンジンの燃焼も一定ではなく、専門家からは、燃料を常に一点で燃やし続けて高い効率を実現できるかなど、技術的な難しさも指摘されています。専門家の1人は「このアイデアは自動車メーカーの間でも聞いたことがなく興味深い」としたうえで、「現実的には、比較的一定の出力で燃焼する航空機用のエンジンや、発電のために使うハイブリッド車のエンジンなどに活用することが有効ではないか」と話しています。

燃費を倍に 新しい仕組みのエンジン 燃焼実験に成功

燃費を倍に 新しい仕組みのエンジン 燃焼実験に成功
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飛躍的に燃費を向上させた自動車の開発に向けて、早稲田大学の研究グループが、従来と仕組みが大きく異なるエンジンの試作機を開発し、燃焼実験に成功しました。実用化できれば、燃費を倍近くに伸ばせる可能性があるとしています。
現在の自動車のエンジンは、燃料を燃やしたガスの力でピストンを動かしていますが、多くの熱が逃げてしまうため、エネルギーをどれぐらい利用できているかを示す「熱効率」は30%から35%と、燃料の半分は活用できていない状態です。
これに対して早稲田大学の内藤健教授の研究グループは、計算上「熱効率」を最大で60%と現在の倍近くに飛躍的に高める新たな仕組みのエンジンを考え出しました。このエンジンは、複数の方向から音速に近い速さで燃料と空気を吹きこみ、中心で衝突させることで、燃料を一点に集中させ、ここで燃焼させる仕組みです。こうすることで、燃焼する際の熱が外部に逃げにくくなるなど、より効率よく力を取り出すことができるということです。
内藤教授らは、排気量30CCの試作機を作り、燃焼試験を行ったところ、計算どおりの出力が得られたほか、エンジン周辺の温度もほとんど上がらず、熱が逃げていないことが確認できたとしています。実用化できれば、自動車の燃費が現在の倍近くに伸びる可能性があるということで、内藤教授のもとには、自動車メーカー10社余りが視察に訪れ、技術協力の話も進めているということです。ただし、現状では燃焼が安定しないなど課題も残されているということで、実用化までには少なくとも5年から10年程度かかると見ています。
内藤教授は「なるべく早い実用化を目指したい。自動車だけではなく、家庭用の小型発電機や飛行機、ロケットにも応用できる」と話しています。

斬新なアイデアの一方で課題も

自動車用のエンジンは、内部で燃料を燃やし、燃焼ガスが膨張する力でピストンを動かして回転運動に変えています。1886年に世界で初めてガソリンエンジンを積んだ自動車が開発されて以来、130年がたった今でも基本的な原理は変わっていません。
しかし、燃焼室全体を使って燃料を燃やすため、熱がエンジンの壁を伝わって外に逃げてしまい、こうしたエネルギーの損失をいかに抑えるかが課題となっています。
これに対して今回のエンジンは、燃焼室全体ではなく中心の一点に燃料を集中させて燃焼させるというもので、内藤教授は、燃焼ガスも中心部にとどまるため熱が外に逃げにくいとしています。
一方で、自動車は加速したり止まったりと動作が一定ではないため、エンジンの燃焼も一定ではなく、専門家からは、燃料を常に一点で燃やし続けて高い効率を実現できるかなど、技術的な難しさも指摘されています。専門家の1人は「このアイデアは自動車メーカーの間でも聞いたことがなく興味深い」としたうえで、「現実的には、比較的一定の出力で燃焼する航空機用のエンジンや、発電のために使うハイブリッド車のエンジンなどに活用することが有効ではないか」と話しています。
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