ヤンタオのビル

ヤンタオ

遠藤ッ!!!
これはどういうことアルかッ!!?

「みやび旅」で「なぜ、あの温泉情報サイトには「須原」を取り上げた記事がひとつもないのか?その理由を徹底的に調べてみた」という記事が公開されたことを知り、遠藤と井上に対して怒るヤン

遠藤

は、はあ・・・。

遠藤

(お、おい!!
井上、これはどういうことなんだ!?)

井上

(あ、あの・・・ですね、私が調査したところによりますと、どうやらバズボンバーがみやび旅に寄稿した記事のようです・・・)

遠藤

(はあああ!?
バ、バズボンバーだと・・・!!?)

ヤンタオ

おいっ!!!
遠藤、井上!!
おまえたち、私の話を聞いているアルかッ!?

遠藤 井上

はっ、はいっ!!

ヤンタオ

「なぜ、あのキュレーションサイトには「須原」の記事がひとつもないのか?その理由を徹底的に調べてみた」

なんだこの記事はッ!!
こんな記事を書かれてしまっては、須原の知名度が上がってしまうアル!!

いや、そんなことよりも、もし、我が社がこれらのキュレーションサイトに関与していることがバレてしまっては大変なことになるアル・・・。

ヤンタオ

この記事を書いているバズボンバー伊藤とかいう人物、こいつは一体何者アルか!?
Web業界はどこも我々タオ・パイグループの息がかかっているというのに、こいつの頭は正気アルか!?

遠藤

お、恐れながら、バズボンバーは月間数千万PVの独立系のWebメディアをもっており、伊藤をはじめ、バズボンバー社員ひとりひとりのTwitterのフォロワー数も数万に達しています。
今、Web界隈では、広告代理店がもっとも自由に操れないコンテンツクリエイター集団として有名でして・・・。

ヤンタオ

はあああああ!?
そ、そんなやつらにこんな記事を書かれてしまっては、大打撃アル!!!
な、なぜ、こいつらを監視していなかったアルか!?

遠藤

か、監視と言われましても・・・。
まさか、バズボンバーがみやび屋の味方につくとは想定外中の想定外でして・・・。

ヤンタオ

想定外中の想定外なんて言い訳アル!!

ヤンタオ

クビアルッ!!!
おまえたちとの契約は今この瞬間をもって解除するアルッ!!!

おまえたちは今後、我が社に一切関わらないようにするアルッ!!!
もし、我が社との関係を少しでも口外したのなら、命はないものと思えッ・・・!!!

遠藤

えええええっ!!!?
そ、そんな・・・!!!

ヤンタオ

そんなもこんなもないアルッ!!!

ヤンタオ

さあ、早くこの部屋から出て行くアルッ!!!

遠藤

あ、あの・・・。
今月分の業務委託料はどのように請求させていただければよろしいでしょう・・・?

ヤンタオ

はああああ!?
何を血迷ったことを言っているアル!!
本来なら、おまえたちが違約金を支払う立場アルッ!!!

遠藤

ひ、ひえええええ・・・!!

黒服の男

おい、おまえら、早く出て行くんだ。

遠藤

な、なんだおまえは!!
お、オレを誰だと心得る・・・!?

黒服の男

ヤン様はお忙しいんだ、失せろ、ダニめ。

遠藤

ダ、ダニ・・・!?

遠藤

ヤ、ヤン様ーッ!!!



ヤンタオ

くっ・・・。
サツキめ・・・。
ここまで私を愚弄するとは許さないアル・・・。

ヤンタオ


フフフ・・・。
いいだろう・・・。
束の間の勝利の余韻に浸っておくがいいアル・・・。

この代償は高くつくアルよ・・・。



その頃、みやび屋では

みやび屋の館内

ムツミ

しっかし、この記事・・・めっちゃバズってますね・・・。

高橋

はい・・・。
さすがバズボンバーというところです・・・。
ただ、まさか、彼らがこんな記事を納品してくるとは思っていませんでした・・・。

バズボンバーの記事

ムツミ

須原がキュレーションサイトから嫌がらせを受けていることに気付き、それをネタに記事を書くなんて・・・。

高橋

彼らなりの着眼点ですね・・・。



3日前

バズボンバーのオフィス

伊藤

高橋、記事が完成したから確認してくれ。

高橋

・・・!!!
こっ、この記事は・・・!!!

高橋に記事を渡す伊藤たちとそれを見て驚く高橋

高橋

「なぜ、あのキュレーションサイトには「須原」の記事がひとつもないのか?その理由を徹底的に調べてみた」

えっ・・・!?

田中

むしゅしゅしゅ。
須原のことを調べていたら、どうも不自然なことがたくさん見つかったのでしゅ。

伊藤

思わず笑っちまったぜ。
須原って場所は一体、何をしでかしたんだ?
キュレーションサイトから締め出されてしまってるみたいじゃねーか。

高橋

いえっ、須原は何も悪くないんです・・・!
実は・・・。

伊藤

まあ、理由はどうでもいいさ。
オレたちゃ、“権力”ってやつが大キライでな。
人前ではいいカッコしているでかい企業が、こんな子供みてえな嫌がらせをしているとあっちゃあ、バズボンバー様の導火線に火が付くのも時間の問題だったってわけさ。

高橋

伊藤さん・・・!

山本

嗚呼、インターネットとは本来、日陰に生きる者に光を当てるための力のはず。
そんなインターネットの力を悪用し、日陰を生み出そうとしている輩には、天罰を受けてもらうしかないのです。

高橋

山本さん・・・!

田中

むしゅしゅしゅ。
なんだか、オレたち正義の味方っぽい記事に仕上がりましたねえ。

高橋

田中さん・・・!

高橋

みなさん・・・あ、ありがとうございます!

た、ただ・・・。

こんな記事を書いたら、バズボンバーさんたちが狙われてしまうのでは・・・?

伊藤


だから、おもしれーんだよ。
こういう輩は権力と圧力で何でも押さえ込めると勘違いしてやがる。
その思い上がりを言葉の力で粉々に打ち砕いてやるのさ。

へへへ、楽しいじゃね~か。
言葉の力ってやつを試せる機会はそうはないぜ。

高橋

(ひ、ひえええ・・・)

高橋

あ、あと心配なのが、今回のコンテンツ、いつものバズボンバーさんたちのコンテンツっぽくないってことですが・・・。
バズボンバーのブランディング的に大丈夫なんでしょうか・・・?

伊藤

ああ?
ブランディング、なんだそれ?

・・・高橋、おめー、オレたちのこと、何も理解してーねーな。

高橋

へ?

伊藤

オレたちの理念は「バズでボンバーでハッピー」よ。

高橋

バ、バズでボンバーでハッピー・・・?

田中

むしゅしゅしゅ。
オレたちはバズの力で“現状打破”する集団なのでしゅ。

山本

コンテンツの可能性を邪魔する既成概念や権力と圧力。
そういったものを取り払い、ハッピーなイノベーションを起こしやすい世を作っていきたい。

高橋

ハッピーなイノベーション・・・?

伊藤

オレの心の師である岡本の太郎ちゃんもこう言っているぜ。
「芸術は爆発だ」ってな。

そう、芸術は爆発、つまり、コンテンツはボンバーなのさ!

高橋

コ、コンテンツはボンバー・・・!?



時間は戻って、再びみやび屋

みやび屋の館内

高橋

芸術は爆発・・・。
コンテンツはボンバー・・・。

バズボンバーさんたちの言うとおり、本当にコンテンツがボンバーしてしまった・・・。

ムツミ

高橋さん、今回の記事、なぜこんなに拡散されているんですか?
バズボンバーって人たちはそんなに人気があるんですか?

高橋

あ、ま、まあ、バズボンバーさんたちはWeb界隈ではそれなりに人気がある人たちなのですが・・・。
私もまさかこんなことになるとは・・・。

ボーン

今回のコンテンツ、どうやらバズボンバー節が炸裂しているようだな。

ムツミ

ボーンのおっさん!!

ムツミ

あ、あの、バズボンバー節ってなんだ・・・?

ボーン

やつらが今回のコンテンツに施した演出のことだ。

ムツミ

演出・・・?

ボーン

後学のために少し説明してやろう。
高橋も聞いておけ。

高橋

あ、ああ!

今回、バズボンバーが施した演出たち

今回の記事で、バズボンバーたちは以下の3つのポイントを重視している。

  1. 共感層の巻き込み
  2. 「客観性」の担保
  3. 読み手の「メタ的視点」への誘導
高橋

「巻き込み」・・・!?

ボーン

そうだ。
やつらは今回の記事で、“世の中のキュレーションサイトによい感情をもっていない層”を巻き込むことに成功している。
とくに、コンテンツを生み出す側であるコンテンツクリエイターなどをな。

「自分たちのコンテンツの著作権を侵害しがちなキュレーションサイトが、さらなるあくどいことをしているなんてもう許せない」、そういった感情を沸き立て、ソーシャルメディアの拡散につなげているんだ。

まあ、キュレーションサイトがすべて悪いというわけではないが、コンテンツクリエイターにとってキュレーションサイトは印象が悪いことはたしかだ。

高橋

そ、そういえば、今回の記事では、バズボンバーの伊藤さんがほかの人の意見も取り上げる形で、10人のWebライターを登場させていました。
この時点ですでに「巻き込み」作戦が発動していたんですね・・・!

ボーン

ああ、そうだ。
コンテンツの中で「巻き込み」をおこなうメリットは、巻き込まれた側が、そのコンテンツの拡散に協力してくれやすくなるということだ。

そしてさらには、コンテンツに多数の話者の視点を入れることで、内容の「客観性」が担保される。

ムツミ

客観性の担保・・・?

ボーン

バズボンバーはWeb業界の間では名が知れているが、彼らが書いた記事を初めて見る人たちからすれば、彼らの意見は見知らぬ他人の意見に過ぎない。
つまり、カンタンに信用するわけにはいかないのだ。
そこで役に立つのが、さまざまな角度からの意見を見せることだ。
信用が「個」に紐づいていない状態なら、信用を「数」に紐づかせればいいのだ。

高橋

信用を「数」に紐づかせる・・・!

ボーン

今回の記事では、バズボンバーの伊藤を含め、11人の話者が登場して意見を述べている。
この数を見れば、客観性を感じざるを得ないだろう。

ムツミ

そう考えて読むと、この記事ってすごく計算されていたんだな・・・!

ボーン

ああ。
そして、さらなる特長は、読み手を「メタ的視点」へ誘導している点だ。

高橋

メタ的視点・・・!?

ボーン

「メタ的な視点」の「メタ」とは「超越した」という意味を指す。
読者を自分たちと並列に扱うのではなく、読者を自分たちよりも上のレイヤーである「神」の視点へ誘導し、いい意味で読者に「上から目線」を与えているのだ。

高橋

「上から目線」を与える・・・!?

ボーン

そうだ。
「上から目線」を与えることで、読者が意見を言いやすくなる。
そして、それがソーシャルメディアでの拡散につながる。

たとえば、今回の記事の場合、バズボンバーは自分たちからは結論を述べていない。
「今回の記事を読んで、どう思われるかはあなたたちの自由です」という形で、結論を読者に委ねている。
これこそがまさにメタ的な視点への誘導だ。

高橋

な、なるほど・・・!

ボーン

また、バズボンバーの記事は、読者の「上から目線」を手っ取り早く実現するために、記事の冒頭で自分たちの存在を矮小に見せる演出を入れることが多い。
たとえば、今回の記事でいえば、「セミの抜け殻みたい」という自分を卑下した発言がその演出のひとつだ。
こういった演出は、自分たちが不用意に叩かれないようにするための防御壁にもなる。

人間というものは、偉そうにしている人物、ドヤ顔の人物、自信満々な人物に対して攻撃的になる傾向があるからな。

高橋

・・・!!!
この最初の文章にそんな狙いがあったなんて・・・。
ただ、ふざけて書いているだけだと思っていた・・・。

ムツミ

バズボンバーってすげえな・・・!

ボーン

そうだ。
そして、これだけの演出をわざとらしく感じさせないバズボンバーのライティング力こそがやつらの強みだ。

ムツミ

ひええええ。
敵に回したくはない人たちだな・・・。

高橋

(た、たしかにバズボンバーのコンテンツはすごい。
でも、そのバズボンバーの狙いを一瞬で理解したボーンのアニキもやっぱすげえや・・・)

サツキ

ちょ、ちょっと!!!
みんな、大変なの!!!

ムツミ

アネキ!?
どうしたんだ!?
そんなに慌てて・・・?

サツキ

さっきから、みやび屋を取材したいっていうメールが殺到しているのよ!

ムツミ

えっ!?

ムツミと高橋の元へ駆けてきたサツキと彼女から話を聞いて驚く、ムツミと高橋。

サツキ

バズボンバーさんたちが書いてくれた記事を見て、須原やうちの旅館に興味をもってくださった方が多いみたいで。
ニュースサイトの記者さんやブロガーさんからの問合せが殺到しているの!!

ムツミ

そいつはすげーや!!

ヴェロニカ

いい流れね。
ただ、ここは少し落ち着いたほうがいいわ。
これから先、あなたたちが発信する意見はWebメディアに載ることになる。
不用意な言葉がWebに残らないよう、発言は慎重に考えていきましょう。

サツキ

そ、そうですよね・・・!

ガラガラガラ

三桜館の旦那

サツキちゃん、いるかい?

サツキ

この声は・・・?

三桜館の旦那

サツキちゃん、急に押しかけてすまんね。

サツキ

三桜館の旦那さん・・・と、皆さん!!

三桜館の主人をはじめとする気概に満ちあふれた須原の旅館の経営者たちと、それを見て、嬉しそうな表情で驚くサツキ

三桜館の旦那

えーと・・・。

サツキちゃん、オレさあ、たたもうと思ってた旅館、実はもう一度、頑張ってみようと思うんだ。

須原の旅館の旦那

そうさ、オレたちも、この須原を盛り上げるためにがんばるぜ!
サツキちゃんたちばかりにがんばらせるわけにはいかねーもんな。

サツキ

皆さん・・・!!

三桜館の旦那

それで・・・相談があるんだ。
よかったら、サツキちゃんたちのやっている・・・そのあれだ、Webマーケティングってやつをオレたちにも教えてくれねーか?

サツキ

えっ・・・!?

サツキ

(ボーンさん、ヴェロニカさん・・・どうしましょう?)

ボーン

・・・。

ヴェロニカ

(いいんじゃない?
ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために、よ。
須原がいい方向に向かうのなら、ノウハウを皆に共有することには大賛成よ)

サツキ

(ありがとうございます・・・!!)

サツキ

皆さん、ありがとうございます!

あ、あのですね・・・。

ボーン

オレから一言、言わせてもらおう。

三桜館の旦那

な、なんだ、あんたは・・・!?

ボーン

サツキとムツミ、こいつらは、旅館を営んでいる中、時間を捻出してオレのノウハウを体得した。
今度はこいつらが自分の大切な時間を使って、おまえたちにノウハウを教えようというんだ。
中途半端な覚悟で臨むんじゃないぞ。

サツキ

(ボーンさん・・・!)

三桜館の旦那

わ、わかってるとも・・・!!
サツキちゃんとムツミくんたちに、教えてよかったと思ってもらえるよう、必死でついていくぜ!

サツキ

みなさん・・・!
一緒に須原を盛り上げていきましょう!

須原の旅館の旦那 三桜館の旦那 須原の旅館の旦那

おおーっ!!!



その夕方

みやび屋の外でジェイクと電話して、険しい顔をしているボーン

ボーン

・・・ジェイク、俺だ。

ジェイク

ボーン、どうだ?
チップは見つかったか?

ボーン

・・・いや、まだだ。

ジェイク

そうか・・・。

ボーン

もし、このままチップが見つからない場合・・・破壊することも考えている。

ジェイク

・・・破壊・・・?

ボーン

ああ。
「キャッシュオールクリア」を発動する。

ジェイク

キャッシュオールクリア・・・だと!?
お、お前、あの技は・・・!

ボーン

・・・分かっている。
できることなら使いたくはない。

ボーン

今、オレのまわりにいる者たちが一緒になってチップを探してくれている。
なんとかチップを見つけられるよう、最善を尽くすつもりだ。

ジェイク

おいおい・・・。
まさかおめー、チップの秘密をバラしてねーだろうな・・・?

ボーン

大丈夫だ。
チップの秘密までは明かしていない。
安心しろ。

ジェイク

だったらいいけどよ・・・。

ジェイク

じゃあ、電話を切るぞ。

ボーン

ああ。



その夜

ムツミ

ふう・・・。
しかし、探しているチップ、どこにあんのかな・・・。
小さなチップとはいえ、これだけ探しても見つからないなんて・・・。

ヴェロニカ

・・・手伝わせてしまって、ゴメンなさいね・・・。

ヴェロニカとムツミは、須原近くの車道にてチップを探していた。

チップを探すムツミとヴェロニカ

ムツミ

いやいやいや!
ゴメンなさいだなんて、そんな・・・。
オレたちのほうこそ、ヴェロニカさんたちには本当に感謝してるんだぜ。
みやび屋が復活したのは、ヴェロニカさんとボーンのおっさんのおかげだ。

あっ、ヴェロニカさん、そこ、さっきオレがチェックしたとこ。

ヴェロニカ

あ、そうだったかしら。
だんだん、探す場所もなくなってきたわね・・・。

ムツミ

(それにしても、ヴェロニカさんと「チップ探し」って、なんだかデートみたいだな。
このままチップが見つからないほうがうれしかったりして・・・。
いやいや、何を考えているんだ、オレ!
ヴェロニカさんのためにしっかりチップを探すぞ)

ヴェロニカ

・・・ムツミさん、前から聞きたかったことがあるの。

ムツミ

えっ?
な、何だい?
(もしかして、「彼女はいるの?」的な質問だったりして・・・?)

ヴェロニカ

音楽活動って・・・もうしないの?

ムツミ

えっ?
音楽活動・・・?

あ、ああ、もうきっぱりあきらめたぜ。

東京で好き放題させてもらったし、未練はないさ。

あきらめを知ることも大人の男には必要だしな。

ヴェロニカ

そうなのね。
なんだか勿体ないわ。

ムツミ

勿体ない・・・?

ヴェロニカ

だって、音楽には音楽のよさがあるじゃない。
ライティングだけでは伝わらないものがこの世にはたくさんあるのよ。

ムツミ

えっ・・・?

ヴェロニカ

よかったら今度、ムツミさんの音楽を聞かせてくれないかしら。

ムツミ

あ、ああ。

ムツミ

・・・ん??

ヴェロニカ

どうかした?

ムツミ

あの停車している車・・・?
さっきからこっちを見つめているような・・・。

銃で狙いをつける男

ドキューン!!ドキューン!!

カキーン!!カキーン!!

ムツミ

わわわわわわ!!!

ヴェロニカ

銃撃!?

ヴェロニカ

ムツミさん!!
ケガはない!?

ムツミ

あっ、ああ、バッグに入れておいた、このキーボードが防いでくれたみたいだ・・・。

真っ黒で重そうな、黒い板のようなキーボード

ムツミ

・・・って、な、何者だよ、あいつ!!?
なんで銃で狙ってくるんだ!!?

12号(シルエット)

(・・・事前情報どおり、銃をもはじき返す肉体の持ち主というわけか。
よかろう)

ブルンッブルンッ

ムツミ

エンジンがかかった!?

ヴェロニカ

危ないっ!!

ムツミを轢こうとする車とムツミを抱きかかえて、車を交わしたヴェロニカ

キキーッ!!

ムツミ

ヴェ、ヴェロニカさん!!

ブルンッブルンッ

ムツミ

ま、また向かってくる!!

ヴェロニカ

茂みに逃げ込みましょう!

ムツミ

お、おうっ・・・!

12号(シルエット)

!!

12号(シルエット)

ちっ・・・見失ったか・・・。

12号(シルエット)

仕方がない。
仕切り直しだ。

ブロロロロ・・・と走り去っていく車

ムツミ

い、行ったみたいだ・・・。

ムツミ

あ・・・危ねーな!!!
あの車・・・。
オレたちのこと轢こうとしてやがったぜ・・・。

ムツミ

・・・・!?

ヴェロニカ

・・・痛っ・・・。

ムツミ

ヴェ、ヴェロニカさん!!!!?

腕を押さえて痛そうにうずくまっているヴェロニカ。それを見て、焦るムツミ



みやび屋の館内

ボーン

ヴェロニカは大丈夫か?

サツキ

ボーンさん!

は、はい、さっきお医者さまが来られて・・・。

サツキ

あっ!
ヴェロニカさん・・・!

ヴェロニカ

・・・ボーン。

心配かけてごめんなさい。

ボーン

・・・ヴェロニカ。

腕にギブスをはめたヴェロニカと申しわけなさそうに立つムツミ

ムツミ

ヴェ、ヴェロニカさんは俺をかばってケガしたんだ・・・。
本当に申し訳ねえ・・・!

ヴェロニカ

大丈夫よ。
軽い捻挫だったし。
ムツミさんが轢かれなくてよかったわ。

ボーン

ムツミの話によると、何者かがおまえたちの命を狙ったということだな。

ヴェロニカ

ええ。
明らかにムツミさんへの殺意が感じられたわ。

ボーン

ムツミへの殺意・・・?

サツキ

で、でも、一体誰が・・・。

ムツミ

お、おれ、世間の人に恨みを買うようなことしてねーからな!

ヴェロニカ

銃を撃ってくる時点で普通じゃないわ・・・。
ボーン、もしかして・・・。

ボーン

・・・ああ・・・。



ラーメン屋の屋台

遠藤

・・・。
はああ・・・。

井上

遠藤さま、ため息などつかれて、いかがなされましたか?
ラーメン、早く食べないと伸びてしまいますよ。

遠藤

井上・・・。
オレたちって、なんでこう、うまくいかないんだろうな・・・。
あのバズボンバーの記事が原因で、ほかのクライアントも取引中止を伝えてきた・・・。

井上

まあまあ、遠藤さま。
どんなときも不屈の闘志をもち続けるのが我々の強みだったではありませんか?
さあさ、元気を出して、また新しい事業を考えていきましょう。

遠藤

ふっ・・・。
お前にはいつも励まされるわ。

なるほど、新しい事業・・・か。

ボーン

まだ懲りずに悪だくみをするつもりか?

井上

そう、懲りずに悪だくみを・・・。

遠藤 井上

ぎゃあああああっ!!!
ボ、ボーン!!!!!

ラーメン屋の屋台に現れたボーンに驚く遠藤と井上

遠藤

ボーン、な、何の用だ・・・!?
な、なぜ、我々がここにいることを知っている・・・!?

ボーン

おまえたちの会社に足を運んだら、社員が教えてくれたぞ。

遠藤

な・・・、気の利かないやつらめ・・・!

遠藤

・・・。
ボーンよ、貴様、タオパイグループに見捨てられた我々を笑いに来たのだろう・・・?

ボーン

(タオパイグループから見捨てられた・・・?)

ボーン

・・・おまえたち、ムツミの命を狙ったのだろう?

遠藤

ムツミの命?
何のことだ・・・?

遠藤

(おい!井上、ムツミって誰のことだ!?)

井上

(あっ、みやび屋の女将の弟でございます・・・!)

遠藤

(ああ、あのサツキとかいう女将の弟か)

遠藤

そのムツミだか、ツグミだかよくわからんやつがどうしたって言うんだ?

ボーン

(・・・)

ボーン

(・・・こいつらの目はウソをついていない・・・)

ボーン

(・・・ということは、ヤンか)

遠藤

おいっ!
貴様、私の話を聞いているのか!?

ボーン

おまえたち、今度は真っ当なビジネスをするんだな。

遠藤

は、はああ??



タオパイのビル

秘書

ちょ、ちょっと!!
なんですか、あなたは!?
勝手に入ってこられては困ります・・・!!!

バンッ!!

ヤンタオ

・・・!?
お前は・・・!?

ボーンがヤンの社長室に入ってきてヤンと対峙している

ボーン

お前がヤンだな・・・。

ヤンタオ

・・・貴様、何者だ?

ボーン

俺の名はボーン・片桐。
みやび屋のWebコンサルティングをしている者だ。

ヤンタオ

ボーン・片桐・・・?

・・・そうか、お前か!!
みやび屋に取り入り、オレとサツキとの間を邪魔をしているネズミは!!

ボーン

・・・なぜムツミを襲った?

ヤンタオ

ムツミ・・・?
ああ、みやび屋のサツキの弟か。

襲ったとは一体何のことアルか?

ボーン

シラを切ってもいいことはないぞ。

ボーン

お前たちはヴェロニカを傷つけた。
オレのパートナーを傷つけた罰を受けてもらう。

ヤンタオ

ヴェロニカ?
誰アルか?

ボーン

・・・。

ヤンタオ

はっはっは!!!
我明白了(なるほど)、我明白了(なるほど)。

12号からの報告にあった、おまえをかばったという女のことだな。
あの女め、余計な邪魔をしおって!

ボーン

(オレをかばった・・・?
こいつら、ムツミとオレを間違えて襲ったのか)

ヤンタオ

12号はおまえを仕留めるのに失敗したが、そのおまえがノコノコと足を運んでくれるとは好都合・・・。

ヤンタオ

サツキはお前には渡さないアルッ!!

ヤンタオ

者どもであえっ!!!
こいつをやつざきにするのだ!!!

刺客たち 刺客 刺客たち

ははっ!!

ヤンのまわりを取り囲むようにして並ぶ刺客達

ヤンタオ

ボーンとやら。
この私に挑んだことを後悔させてやろう。

今日が貴様の命日になるのだ。

刺客たち

へっへっへ・・・。
どう調理してやろうか~。

刺客

これだけの人数を相手にビビって言葉も出ね~か~。

刺客たち

まずは腕から折っちゃおうかな~。

刺客たち 刺客 刺客たち

ヒャッハー!!!

ボーン

・・・。

ボーン

貴様らにはもったいないが、この技をくれてやろう。

ボーン

・・・はあああああああ!!!!!

ボーン

オレの校正を受けて、人生を更生してくるんだな。

フィードバックループ!!!

刺客たち 刺客 刺客たち

!!!?

フィードバック!!!フィードバック!!!フィードバック!!!

ボーンの打撃技によって吹き飛ばされる刺客たち

刺客たち 刺客 刺客たち

うぎゃあああああ!!!!!

刺客たち

も、もう、校正は十分・・・。

刺客

です・・・。

バタバタバタッ
ヤンタオ

なっ、なんだとっ・・・!!!!?

ヤンタオ

(な、なんだこいつは・・・!?)

ヤンタオ

お、お前、ただのWebマーケッターではないアルな・・・!?

ボーン

オレは“世界最強”のWebマーケッターだ。

ヤンタオ

せ、世界最強のWebマーケッターだと・・・!?

ボーン

俺のタイピングは加速し続けるぞ。

ボーン

はああああああ・・・!!!

ヤンタオ

き、貴様・・・!!!

ボーン

ヴェロニカを傷つけた分、お前には特別なフィードバックをプレゼントしてやる。

ヤンタオ

えっ、えっ・・・!!?

ボーン

はああああああ・・・!!!

ヤンタオ

ぎゃ、ぎゃあああああ!!!!!
ちょ、ちょっと待って!!!!!

ボーン

・・・。

ボーン

ヤン・タオよ。

ヤンタオ

は、はいっ・・・!!!

ボーン

サツキたちから手を引け。

ヤンタオ

くっ・・・!!!
そ、それは・・・!!

ボーン

さっきのお前との会話はすべて録音し、クラウド空間にアップした。

このまま手を引くというのなら、ファイルを非公開にし、俺は【沈黙】を守り続けてもいいんだがな。

ヤンタオ

ち、沈黙・・・!?

ボーン

3秒以内に答えろ。

3・・・2・・・。

ヤンタオ

あ、わわわわわ、わかりましたっ!!!
サツキさんたちには手を出しません!!!

は、はい!!!
もう手を出しません!!!

ボーン

・・・よし、それでは、その引っ込めた手を、今度は別のことに使ってもらおう。

ヤンタオ

べ、別のこと・・・?



3日後

みやび屋の館内

サツキ

あっ、ボーンさん、この3日間どこへ行かれていたんですか?
ヴェロニカさんが気にされていましたよ。

ボーン

・・・ちょっとな。

ボーン

・・・サツキ。
もう、ヤンにビクビクする必要はないぞ。

サツキ

えっ・・・?

ボーン

このサイトを見てみろ。

サツキ

こ、これは・・・!

タオパイグループが運営している旅行クチコミサイトで、須原の特集ページが立ち上がっている。

サツキ

「TRAVEL UP」に須原の特集ページのバナーが・・・!?

ムツミ

へっ・・・!?
こ、このサイトってたしか・・・。

サツキ

須原のことを書いてくれなかった温泉情報サイト・・・。
ど、どうして急に須原の肯定的な記事が・・・!?

ボーン

「TRAVEL UP」はしばらくの間、須原に関する肯定的な記事をアップし続けるだろう。

ムツミ

へっ!!?

サツキ

い・・・一体何が・・・。

ボーン

少しお灸をすえてやったまでだ。
「TRAVEL UP」の運営はタオ・パイ社に移行され、須原のPRに全面的に協力してくれることになった。
ちなみに、ヤンは日本法人を残し、本社へ戻った。
もうお前に手を出すことはないだろう。

サツキ

あ、ありがとうございます・・・!

ムツミ

な、なんだかよくわからねえが、ヤンがアネキから手を引いたってことは本当にうれしいぜ!!

ムツミ

ボーンのおっさん・・・。
ありがとな。

ボーン

・・・俺はとくに礼を言われることはしていない。
ヴェロニカの仇を討ったまでだ。

ヴェロニカ

ボーン!

ボーン

ヴェロニカ、ケガの調子はもういいみたいだな。

ヴェロニカ

サツキさんとムツミさんが適切な処置をしてくれたおかげよ。



ムツミの部屋

ムツミ

ボーンのおっさんとヴェロニカさんが手伝ってくれた記事、高橋さんが見つけたライターさんが書いた記事、そして、バズボンバーが書いた記事。
結局、みやび屋はライティングの力で救われたようなもんだな。

ムツミ

俺もいい加減覚悟を決めて、旅館経営に真剣に向き合わないと。
このギターともいよいよお別れだな。

部屋の片隅に置かれたギターを見つめるムツミ

ムツミ

そういや、ヴェロニカさん・・・。

ヴェロニカ(回想)

だって、音楽には音楽のよさがあるじゃない。
ライティングだけでは伝わらないものがこの世にはたくさんあるのよ。

ムツミ(回想)

ライティングだけでは伝わらないもの・・・!?

ムツミ

ヴェロニカさんが言っていた“ライティングだけでは伝わらないもの”って・・・。

ムツミ

ま、いいや。
なんにしても、オレは音楽を辞めたんだからな。

ムツミ

・・・結局、バンドの解散前に買ったこのエフェクターも使わなかったな。

エフェクター

ムツミ

ああ、いけねえ、いけねえ。
もう、オレは音楽を辞めたんだぜ。

・・・決めた。
今からこいつを弾いて最後だ。

こいつを弾き終えたら、オレの音楽活動は本当に終わりだ。

ガチッとアンプとギターをシールドでつなぐ

ポロンッ

ジャジャジャジャジャーン

ヴェロニカ

ギターの音色・・・?
ムツミさんかしら・・・?

ヴェロニカ

!!?

ヴェロニカとボーンがiPadの画面を見て何かに気づき、まるで電流が走ったかのような表情を見せている

ヴェロニカ

ボーン、GPSが作動したわっ!

ボーン

!?

ヴェロニカ

こ、これはっ・・・!?
みやび屋・・・!?
ムツミさんの部屋を指している・・・!

ボーン

ムツミの部屋・・・?

ダダッとムツミの部屋へ駆けていくボーンとヴェロニカ



ジャジャジャジャジャーン

ボーン

ムツミ、入るぞ。

ムツミ

ど、どうしたんだ、ふたりとも!?
そんな真剣な顔をして・・・。
お、俺のギターの音がうるさすぎたか?

ヴェロニカ

ボーン!
GPSはこの小さな箱みたいな機械の中に反応しているみたい。

ボーン

・・・!
エフェクターか。

エフェクター

ムツミ

???

ボーン

ムツミ、そのエフェクターの中を開けさせてくれないか?

ムツミ

こ、このエフェクター?
べ、別にいいけど・・・。

エフェクターに組み込まれているチップ

ヴェロニカ

ボーン、これ・・・!

ボーン

ああ、チップだ。
まさか、こんなところにあったとはな・・・。

ムツミ

えっ?
えっ・・・?

ボーン

ムツミ、このエフェクター、どこで手に入れた?

ムツミ

ど、どこで手に入れたって・・・。
半年くらい前、秋葉原にあったカスタムメイドのギターショップだよ。
店主がギークな人で、どっからかパーツを仕入れてきては、マニアックなエフェクターを作っているお店さ。

ボーン

秋葉原・・・。

ヴェロニカ

もしかして、あの爆発後の現場を片付けた業者が、秋葉原のパーツ屋に中古部品として流したのかもしれないわ。
それをギター屋の店主が見つけ、プリント基板か何かと勘違いして、このエフェクターに組み込んだ・・・。

ボーン

そのようだな。

ムツミ

???

ボーン

・・・ムツミ、そのエフェクター、俺たちに譲ってくれないか?

ムツミ

こ、このエフェクターかい?
こんなのでよければ、プレゼントするぜ。

ボーン

・・・感謝する。

ムツミ

ボーンのおっさん、ヴェロニカさん、さっきから話しているチップって・・・。

ボーン

ああ、これだ。

ムツミ

えっ!!!??

ええええっー!!!!!!?



2日後

みやび屋の朝

サツキ

ボーンさん、ヴェロニカさん、行ってしまうんですね・・・。

ボーン

ああ。
おまえたちのおかげでチップは無事に回収できた。

サツキ

いえいえ!
私たちのほうこそ、ボーンさんたちには本当にお世話になってしまって・・・。
このみやび屋、そして、須原がよみがえったのは、ボーンさんとヴェロニカさんのおかげです。
なんて御礼を言えば・・・。

ヴェロニカ

いいのよ。
私たちにとっても素敵な出会いだったわけだから。

ボーン

サツキ、ムツミ。
みやび屋のオウンドメディアは軌道に乗った。
ただ、闘いはこれからだ。
他社に負けないよう、記事を投下していけ。

ムツミ

お、おう!!

ボーン

高橋、もうしばらくはサツキとムツミのサポートを頼むぞ。

高橋

ああ、あとは俺に任せてくれよな!

ボーン

サツキ、ムツミ。
みやび屋が本当に復活するかどうかは、これからのおまえたちの活躍次第だ。

・・・そこで、俺からの最後のアドバイスを伝えておく。

ムツミ

最後のアドバイス・・・!

ボーン

「言葉の力」を過信するな。

サツキ ムツミ

“言葉の力を過信するな”・・・!?

ボーン

ああ。

おまえたちは、オレの教えのなかで言葉の強さを知った。

しかし、この世には万能なものなどない。

たとえば、日本語の深みは、言葉を憶えたての子供や、日本語に慣れていない海外旅行者には通じない。
彼らには文字よりも、ビジュアル、サウンドなどで、コンテンツの魅力を伝える必要があるのだ。

この須原に広がる雄大な自然の美しさ、谷川のせせらぎ、カワセミのさえずりが醸し出す空気感、そういったものは言葉で表現し尽くすのはムリだ。

言葉で表現できないものは、言葉以外で表現すべきなのだ。

サツキ

“言葉で表現できないものは、言葉以外で表現すべき”・・・。

ボーン

たとえば、写真や音楽の力などでな。

ムツミ

写真や音楽の力・・・!



みやび屋を去るボーンとヴェロニカ。遠くから手を振るサツキとムツミ。その横に立つ高橋

ボーン

なんとかチップを期限内に回収できたな。

ヴェロニカ

ほんとね。
よかったわ。

RRRRRRRR ジェイクに電話をかけている

ジェイク

ボーン、チップは見つかったのか!?

ボーン

ああ。

ジェイク

かーっ!!!
心配したぜっ・・・!!!
ナイスだな!!

ボーン

明日の飛行機でそちらへ向かう。

ジェイク

分かった。

・・・いよいよ始まるな。
オレたちの本当の闘いが。

ボーン

・・・ああ。



半年後

NYの風景

ヴェロニカ

ボーン、ジェイク、準備ができたわ。

パソコンに向かっているボーンとジェイク、ヴェロニカ

ジェイク

いよいよ、始めるんだな。

ボーン

ああ、そうだ。
・・・この世界を救うために・・・。

ヴェロニカ

・・・あら?

ボーン

・・・何かあったか?

ヴェロニカ

ムツミさんからメールが届いたわ。

・・・ふふふ、ムツミさん、最近、須原のテーマソングを作曲したそうよ。
音楽の力でも須原の魅力を発信していきたいって。
ムツミさん、今はプロデューサーとして、須原を拠点として活動しているミュージシャンのプロデュースもおこなっているみたい。

ボーン

そうか。

ヴェロニカ

あら、添付ファイルがあるわ。

ヴェロニカ

“ボーンのおっさんへ。
ライティングに悩む人たちを救うために、ボーンのおっさんから得た学びを歌にしてみた。
ぜひ聞いてみてくれ”
って。

ヴェロニカ

ムツミさんの作った曲、流してみる?

ボーン

ああ。
オレたちの闘いのプレリュードとなる曲ならいいんだがな。

ヴェロニカ

ふふふ。

Eternal Writing

(作詞・作曲・編曲:宮川ムツミ)

(I’m)looking for the words giving my soul
紡いだ思いは非連続のフレーズの果てに

消えない言葉を探し歩き出した
それはリライトの歩み

文脈もなく荒れるように書き続けた
揺れる表記を抱え

目に映る輪郭線は 論理を超え誘う Entrance to a sentence
概要 序破急 起承転結 貫くリード

(I’m)looking for the words giving my soul
紡いだ思いは非連続のフレーズの果てに見出しになる

(I)wanna find the words giving my soul
張り詰めたフィードバック・ループ超えて
ずっと刻み続ける
言葉の彼方へ

伏線のないエピソード 振り払って
僕は記憶を空ける

比べることもできず ただ立ち尽くした
それはまとめの功罪

切れ間なく奏でられた ブレスのないメロディー Entrance to a dungeon
冒頭 本文 補足 結論 振り向くエビデンス

(I’m)looking for the words giving my soul
隠した想いは終わりのないメタファーの果てに飲み込まれる

(I)wanna find the words giving my soul
止めどないフィードバック・ループ超えて
ずっと走り続ける

コトバの彼方へ



ヴェロニカ

この歌詞・・・。

ボーン

音楽の力で伝えるライティングか。

ヴェロニカ

一本とられたわね、ボーン。

ボーン

・・・フッ。

ムツミがギターを弾き、そのそばで歌を歌う女性。そして、NYで何かの作戦を実行しようとしているボーン・ヴェロニカ・ジェイク

沈黙のWebライティング -Webマーケッターボーンの激闘- FIN

緊急速報!!沈黙のWebライティング書籍化決定!

ヴェロニカ

チップの秘密は・・・この本にこっそり書くかもよ。