【ワシントン時事】オバマ米大統領は9月3日に中国・杭州で予定されている習近平国家主席との会談で、緊張が高まる南シナ海の領有権問題など2009年1月の就任から現在までの米中関係の重要懸案を総括的に取り上げる。
少人数の夕食会も予定されており、来年1月に任期を終えるオバマ氏にとって、最後の膝詰め談判となる。
ローズ大統領副補佐官(戦略広報担当)は29日の記者会見で、両首脳は協力分野として、気候変動問題や北朝鮮の核・ミサイル開発問題への対応などを協議すると説明。その上で「(中国による)サイバー攻撃や米側が懸念する経済活動、人権問題」を提起すると語った。
米中首脳会談の日程は中国主導で決まった。米中外交筋は「9月4日から杭州で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の前に米中首脳会談を終わらせ、南シナ海問題など懸案事項を封じ込める戦術」とみる。
報道によると、米中両国は地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」の批准を同時に発表する方向で調整している。温室効果ガスの総排出量で世界全体の約38%を占める米中の協力を演出し、オバマ大統領に花を持たせる可能性もある。
オバマ氏は訪中後、5日から米大統領として初めてラオスを訪問し、東南アジア諸国連合(ASEAN)の一連の首脳会合に出席。習主席との会談を踏まえて、フィリピンのドゥテルテ大統領と南シナ海問題への対応などについて意見交換する。
オバマ大統領はラオスのビエンチャンで、自身が掲げてきたアジア太平洋へのリバランス(再均衡)政策の成果を強調する演説を行う。ローズ副補佐官によると、大統領はこの中で、早期発効が悲観視されている環太平洋連携協定(TPP)の重要性と早期批准を強く訴える見通しだ。
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