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岩手で高齢者施設浸水、9人死亡…台風10号

読売新聞 8月31日(水)11時58分配信

 大型の台風10号は、岩手県大船渡市付近から上陸し、北海道や岩手県を中心に記録的な大雨を伴い、日本海へ抜けた。

 岩手県岩泉町では31日、浸水した高齢者グループホーム「楽(ら)ん楽(ら)ん」で9人の遺体が発見されたほか、同町と久慈市で2人が遺体で見つかった。北海道大樹町では、男性が車ごと流されて行方不明になるなど、人的被害も拡大している。

 北海道付近では、台風10号から変わった温帯低気圧の影響で大気が不安定な状態が続いている。

 気象庁によると、31日午前10時までの72時間雨量は北海道上士幌町で351・5ミリ、福島市で295ミリ、岩手県久慈市で280ミリ、岩泉町で250・5ミリを観測。北海道で大雨のピークは過ぎたが、これまでの雨で土砂災害や洪水の危険性が高い状態が続いている。

 岩手県によると、31日午前6時現在、5市町村の1万1918人に避難指示、7市町村の13万2180人に避難勧告が出ており、1157人が避難。午前6時現在、川の氾濫による道路の冠水などで、釜石市、宮古市、遠野市など7市町村で少なくとも約400人が孤立している。

 県警によると、岩泉町では、高齢者が共同生活しているグループホームで9人の遺体が発見されたほか、男性1人の遺体が見つかった。久慈市山根町でも川の水が流れ込んだ住宅で80歳代の女性の遺体が発見された。陸上自衛隊は県知事から災害派遣要請を受け、釜石市と岩泉町でヘリコプターなどによる救助を行っている。県によると、31日午前6時時点で県内の16河川が氾濫危険水位を超えている。

 北海道では31日未明、南富良野町幾寅の太平橋付近など2か所で空知川の堤防が決壊。住民300人以上が一時、孤立状態となり、道警や自衛隊などがヘリで救助活動を行った。避難指示の対象世帯は同日午前7時半現在で9市町村の1896世帯、4182人。

 道警によると、十勝地方の大樹町では31日未明、レジャー用多目的車(RV)が転落し男性が車ごと流され行方不明。新得町や清水町でも車が転落しており、道警は人が乗っていたとみて調べている。

 国土交通省によると、北海道と岩手、青森の計8水系17河川で堤防の決壊や浸水被害が確認された。

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 安倍首相は31日午前、被害者の救命救助に全力で取り組み、被害の拡大防止の措置を徹底するよう関係省庁に指示した。

 政府は午後1時から関係省庁災害対策会議を開催した。政府は被害の大きい岩手県に調査団を派遣する方針だ。菅官房長官は31日午前の記者会見で「政府一丸で災害応急対策に全力で取り組んでいく」と強調した。

最終更新:8月31日(水)13時51分

読売新聞

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2011年、アメリカ軍では女性の戦闘参加は禁止されていましたが、この年、初の女性の特殊部隊がアフガニスタンの前線に派遣されました。地域住民と信頼関係を作り戦争を終結させるための試みでした。記者のゲイル・ゼマク・レモンが、軍務における長年のタプーを打ち破った特別な女性兵士の集団を描き出します。