読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

スポンサーリンク

デザレックスとリフキシマの承認了承〜2016年8月5日医薬品第二部会審議品目②

新薬承認情報

こんな記事も読まれています。


薬剤師の転職~どうしてもこの薬局を辞めたい!と思ったときに

平成28年度診療報酬改定についての記事を探す

スポンサーリンク

平成28年8月5日、厚生労働省の薬食審・医薬品第二部会が行われました。
今回は、審議が行われた品目の中から、デザレックスとリフキシマについてまとめます。(承認は未定)
デザレックスは海外ではすでにクラリネックスやネオクラリチンの名前で発売されている薬で、いわゆるスーパークラリチン?です。
リフキシマは前回の第二部会で継続審議とされていた肝性脳症治療薬ですね。
  
  

f:id:pkoudai:20100215212315j:plain
  
  

平成28年8月4日薬食審・医薬品第一部会での審議品目

今回審議され、承認が了承されたのは以下の通りです。

  • デザレックス:ロラタジン(クラリチン®)の活性代謝物を主成分とする第二世代抗ヒスタミン薬
  • リフキシマ:リファマシン系抗生物質による肝性脳症治療薬
  • オプジーボ:腎細胞癌への適応追加
  • トレアキシン:慢性リンパ性白血病の適応追加
  • イナビル:小児の予防適応追加、成人の単回予防投与追加
  • スピリーバレスピマット:気管支喘息の重症例以外にも使用可能に
  • ゼローダ:直腸がんにおける補助化学療法の適応追加
  • アフィニトール:神経内分泌腫瘍(NET)全般に使用可能に
  • バリキサ:臓器移植時のサイトメガロウイルス感染症の発症抑制に使用可能に

何回かに分けてまとめていきたいと思います。
  
  

デザレックスの承認了承

成分名:デスロラタジン

  • デザレックス錠5mg

申請者:MSD
効能・効果:アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
  
申請はMSDなんですが、MSDは販売も販促もしないみたいです。
杏林製薬が単独販売して、プロモーションは杏林と科研製薬が共同で行うという不思議な状態。
ちなみに、クラリチン®は元々MSD(旧シェリングプラウ)と塩野義が販売していましたが、MSDがバイエルに権利を売却したため、今はバイエルと塩野義で販売となっていますね。
  

デスロラタジンはスーパークラリチン?

デスロラタジンの化合物名はデスカルボエトキシロラタジン(DesCarboethoxyLoratadine:DCL)です。
これはロラタジン(クラリチン®)の活性代謝物です。
ロラタジンは肝臓でCYP3A4及びCYP2D6による代謝を受けて活性代謝物であるDCLになり、H1受容体ブロッカーとして抗ヒスタミン作用を発揮します。
  
じゃあ、初めからDCLの形で投与すればいいんじゃないかということで開発されたのがデスロラタジンというわけです。
海外ではすでに発売されており、国によって名称が違いますが、クラリネックスとかネオクラリチン、エリアス、アレックスなどの名称で販売されています。
  

デスロラタジンはチトクロムP450による活性化を必要としない

メリットとして考えられるのは、まず、肝臓での代謝を必要とせずに効果を発揮できること。
日本人のうち4割程度がCYP2D6の酵素活性が少ないIM(Inter mediate Metabolizer)、1〜2%がPM(Poor Metabolizer)であることを考えると、CYP2D6による代謝を必要としないのはメリットかなとも思いますが、CYP3A4でも代謝可能ですからね・・・。
どの程度、そのメリットが出てくるかは不明です。
ただ、併用薬等による薬物相互作用の影響は考えなくてもいいのは確実なメリットだとは思います。
が、これもそこまで影響がでかいイメージはないんですよね・・・。
  

ロラタジンと比較した場合の強さ

効果は同程度と言われています。
ただ、消失半減期が大幅に長くなっているため、効果持続時間が長いことがメリットと言えるかもしれません。
  

デスロラタジンは空腹投与可能

ロラタジンは食後投与の適応でしたが、デスロラタジンは空腹投与も可能になっています。
食事の縛りがないのは使いやすいかもしれませんね。
と言っても、それは保健上の話で、ロラタジンの場合、空腹時の方がロラタジンの血中濃度は下がりましたが、活性代謝物であるDCLの濃度は変わらないんでしたよね・・・。
  

気になるのは薬価

メリットが少々分かりづらい気もするデスロラタジン。
ですが、海外ではクラリチンから置きかわって使用されているようです。
日本でクラリチン®が発売開始された時に、すでに海外でクラリネックス®が販売されていたようですからそれなりに使用経験もある薬です。
  
さて、日本での薬価はどうなるでしょう?
薬価が高いのであればロラタジンのジェネリックから切り替えるメリットを感じにくい気もします・・・。
  
  

リフキシマが二度目の審議で承認了承

成分名:リファキシミン

  • リフキシマ錠200mg

申請者:あすか製薬
効能・効果:肝性脳症に伴う高アンモニア血症の改善
  

一度は継続審議とされたリフキシマ

前回、平成28年5月30日の薬食審第二部会では継続審議とされてしまいました。
pharmacist.hatenablog.com
  
リファキシミンはリファマイシン系抗菌薬に分類されます。
リファマシン系抗菌薬には抗結核薬として使用されているリファンピシンがあります。
そのため、リファキシミンを使用することで、リファンピシンに耐性を持つ結核菌を生み出してしまうのではないかというリスクが問題となり、継続審議とされていました。
この問題については、リファンピシンとの交差耐性は認められるとされつつも、

  • リファキシミンが非吸収性の薬剤であること
  • 他菌種からの耐性の伝搬も考えにくいこと

を理由に、腸内に結核菌を保有していない限り、耐性結核菌が生まれるリスクは低いとされたようです。
ただし、「重要な基本的注意」の項に、「結核を併発している患者に対し同剤以外の治療法を選択すること」が明記されるようです。