2016年7月1日忘れたくても忘れられない、バングラデシュでの悲惨なテロ事件が起こりました。
▶バングラデシュの首都ダッカで人質たてこもりテロ事件 報道まとめ
▶親日国バングラデシュにいると「私は日本人」と言いたくなる気持ちが痛いほどわかる
ぼくが住んでいる大好きなバングラデシュでこのような悲しい出来事が起こり、それから世界のテロ事件に目を向けるようになりました。
しかし日本語で書かれているものは日本で大きく報道されたテロ事件くらいしかなく、今世界でどれだけのテロ事件が起きているかなかなか知ることができません。
2016年1月から8月現在で51カ国1500件を超えるテロ事件が発生していて、これでも全てを網羅しているわけではないそうです。またISIS関連だけではなくイスラム教徒の関係者全般の事件です。
あまりに多すぎる為、2016年に発生したテロ事件を4回に分けて記載します。
テロ事件をリストにしてどうなるというわけではありませんが、少なくとも情報源はあったほうがいいですし、日本で報道されていることが全てではないことを知ってほしいと思っています。
※英文ですが参考させてもらったサイトがコチラ
テロとは
そもそもテロってなんなんでしょうか。
英語の「terrorism」から日本ではテロと呼ばれることが一般的ですが、起源はラテン語の「terrere」(=怖がらせる、恐怖を与える)からきているそうです。地域や立場によってテロリズムの定義が様々あり、100を超えるようなので、ここで定義したところでそれは違うと言われそうですが、wikipedia先生の定義をここでは示しておきます。
政治的目的(政権の奪取や政権の攪乱・破壊、政治的・外交的優位の確立、報復、活動資金の獲得、自己宣伝など)を達成するために、暗殺・暴行・破壊活動などの手段を行使すること
ISIS関連のテロ事件が多発しているため、宗教的な意味合いかと思っている人もいるかもしれませんが、それは違います。
ただし、宗教という概念を利用して、世界を自分たちが信じる宗教のもと動かしたいという目的がテロ行為に繋がっているのだとぼくは考えています。
今回は宗教の中でもイスラム教徒(ISIS関連だけではない)が起こしたテロ事件についてまとめますが、テロ=イスラム教(もしくは宗教関連)だとは思わないでくださいね。
2016年1月-3月 世界のテロ事件(イスラム教関連に限る)
地域ごと順不同でまとめています。地域分けは立場によって異なると思いますが、ここではぼくの独断にて分けさせてもらっているのでご了承ください。又、事件が発生した地域名は日本語にすると読み方を間違ってしまう可能性もあるため、英語表記のまま記載しています。
東南アジア
インドネシア
インドネシアは世界最大級のイスラム教徒人口を抱える国。中東と中心とするイスラム国からは少し離れているからか事件数は少ないけれど、イスラム教徒人口が多いだけに標的にされる可能性大。
フィリピン
フィリピンはキリスト教徒が多いが、 イスラム教徒との衝突も多い国。2015年Global Terrorism Indexによると世界11番目のテロ危険国。
タイ
タイは仏教国だが、イスラム教徒も多く存在している。2015年におけるGlobal Terrorism Indexによると、世界10番目のテロ危険国なのです。
南アジア
アフガニスタン
外務省の危険情報でも地図が真っ赤に染まり退避勧告がでている国。自爆テロが多いですが、地雷除去作業者の殺害も多いのが特徴。地雷除去をする人は背教者だと思われるのでしょうね。2015年Global Terrorism Indexでは世界2番目のテロ危険国です。
バングラデシュ
ぼくが住むバングラデシュ。2015年のGlobal Terrorism Indexでは世界25番目の危険国に。危険度が一番低い日本に比べると高いものの、南アジアのアフガニスタンやパキスタン、インドに比べると下位で、比較的穏健な国だとされていました。
2015年10月に起こった邦人、イタリア人殺害事件後をきっかけにバングラデシュの様子が一変したように思います。
2016年のIndexは更に上位に位置づけられるかもしれません。
※7月1日起こったテロ事件の概要はコチラ
▶バングラデシュの首都ダッカで人質たてこもりテロ事件 報道まとめ
インド
発生件数でいえば少ないですが、2015年Global Terrorism Indexによれば世界6番目のテロ脅威国としてランキングされています。中東地域とも隣接しており、インドを経由して他の国に脅威が渡る可能性も高いと思われます。
パキスタン
アジアの中ではアフガニスタンの次にテロ脅威国になっている世界4番目がパキスタン。アフガニスタンとの国境沿いの地域は外務省の退避勧告で赤く染まっていますが、国の多くがレベル2で不要不急の渡航を中止してくださいというレベルです。
この国の特徴は自分の娘を殺害してしまう名誉殺人が多いことです。
中東
中東とは地政学、国際政治学上の地理区分であり、国連による地理区分にわけると西アジアに分類されます。日本では中東の方が馴染みがあるため、ここでは中東区分とします。
又中東地域は世界の地理区分の中でも国や立場によって、含まれたり含まれなかったりする国がありますが、ここではジェイステーション独自の区分なのでご了承ください。
エジプトやトルコ、北アフリカ各国は狭義広義によって区分が異なります。
エジプト
※アフリカ大陸にあり北アフリカに分類されることもありますが、ここでは中東区分とします。
エジプトでは1997年のエクソール事件 (観光客を狙った無差別殺傷事件)を記憶している人は多いかもしれません。被害者の中には日本人観光客も含まれていました。
エジプトの2015年Globa Terrorism Indexランキングは13番目、観光地として有名な国だけに3か月でこれだけのテロが発生していると、渡航に慎重になりそうです。
イラク
表を作りながら嫌気がさしました。3か月間で事件が起きてない日数がたったの16日間です。いわゆるISISの本拠地であり、IS関連の事件が圧倒的に多いのが特徴です。
クルド人を狙った事件が起きているのがイラクの特徴でもあり、トルコに次いで人口が多いクルド人は迫害を受けています。
イラクは国内中が退避勧告かと思いきや、クウェートよりはレベルが2,3と少し危険レベルが下がるようです。
危険国として認識が高いイラクですが、それでも普通の地元民は生活をしていかなければいけなく、どんな思いで日々いるのだろうと現地の人のことを考えてしまいます。
イラクの状況や一般市民の声を日本のメディアももっと届けてほしいなと切に願います。
イスラエル
2015年Global Terrorism Indexによると危険度世界24番目。外務省の安全情報によるとガザ地区を除き、ほとんどがレベル1の注意喚起だけにとどまっています。
レバノン
3か月で件数こそ1件ですが、テロ危険度数21番目であることからも、今後危険性はあると考えていいでしょう。外務省の安全情報でもほとんどの地域がレベル3に指定されており、渡航する人は少ないでしょうね。
そもそも日本でレバノンの名前を聞くことはほとんどなく、情報を持っている日本人も少ないと思います。
サウジアラビア
テロが起きないに越したことはないのですが、サウジアラビアは意外でした。イラクまではいかなくてももう少しあると思ったのですが、危険度指数も第43番目で中東の中でもイランと並んで比較的テロ件数が少ないです。
ただ2016年7月に連続テロ事件等も起こっており、やはり油断はできません。
シリア
イラクに次ぐテロ事件発生件数のシリアは2015年のGlobal Terrorism Indexによると世界5番目。ISISの支配範囲に含まれており、難民も数多く世界中に散らばっています。リオ・オリンピックでも2人のシリア出身の難民選手団がいました。
シリアには2011年まで青年海外協力隊も派遣されており、シリア滞在経験がある人は本当に良い国で、人も温かいと聞くので、治安面だけでないシリアの情報も知っていきたいなと思っています。
トルコ
※ヨーロッパと中東どちらにも分類されるが、ここでは中東区分とします。
トルコは2016年大きなテロ事件が何度も発生しています。国全体でいうと危険度レベルは高くありませんが、シリア国境沿いは退避勧告がでています。ヨーロッパとアジアの玄関口であるトルコはどちらにとっても重要な位置なのかもしれません。
イエメン
イエメンは日本で報道されることは少ない国。イエメンは過去青年海外協力隊が派遣されていた国でもあり、特にOGOBも早くこの国の治安が良くなることを願っていると思います。一部見解によるとシリアよりもテロが激化しているという人もいて、国全体が赤く染まる危険度レベル4になっています。
2015年のGlobal Terrorism Indexによると世界7番目のテロ危険国。
北アフリカ
リビア
エジプトとチュニジアの間に位置するリビア。日本では馴染みが薄い国だと思います。リビアは政府が全く機能していなく、国の中でも分裂紛争がたびたび起こっています。
外務省の危険度レベルはすべて赤の4で、Global Terrorism Indexは世界9番目。
チュニジア
※中東に分類される場合もありますが、ここでは北アフリカ区分とします。
チュニジアはアラブ諸国の中で識字率も高く、ISの戦闘員に加わる人数が圧倒的に多いといいます。チュニジア国内ではそれほど多くのIS関連テロは起きてはいませんが、他の国を攻撃してるチュニジア人が多いということを考えると、国内でも治安が悪化する可能性を大いに秘めているということでしょう。
東アフリカ
ケニア
ケニアといえば、2013年に起こったショッピングモール襲撃事件を記憶している人は多いでしょうか。ケニアは2016年TICAD(アフリカ開発会議)が行われた国でもあり、日本企業も注目している国です。
在留邦人数も1000人近くいて、今ケニアはアフリカビジネスの玄関口になる可能性を大いに秘めていると言っても過言ではないでしょう。
ソマリア
ソマリアは国名は聞いたことがある人が多いのではないかと思います。海賊と内戦のイメージが強いソマリアですが、実はこの国国際的に承認はされていないものの、3つの国に分かれていることをしっているだろうか。
- ソマリランド(独立未承認国家)
- プントランド(海賊がいる場所)
- 南部ソマリア(内戦がひどい首都がある場所)
危険度レベルはすべて4ですが、ソマリランドは本やインターネットによると治安が非常に良いと書かれています。上のテロ発生場所を見ても、全て南部ソマリアで発生しているものです。
※ソマリランドを知るにはこちらの本がおすすめです。ワクワクはらはらしちゃいます。
ウガンダ
ウガンダはGlobal Terrorism Indexによると世界30番目の危険度。もう少し低いかなと思ったのですが、テロが発生しているだけあって、そこそこ注意が必要ですね。
ウガンダは青年海外協力隊も多く派遣されており、治安の悪さはそこまで聞くことはありません。
中部アフリカ
カメルーン
カメルーンはサッカーW杯で一躍日本で有名になった国でしょうか。テロ指数は世界20番目で、国全体でも危険度はレベル1が大半ですが、ナイジェリアとチャドに接する北部地域は退避勧告を受けている地域で、近隣諸国の治安の悪さに影響を受けている可能性も高くあります。
チャド
チャドって聞いたことありますか?正直ぼくもどこにあるか知りませんでした。リビア、スーダン、中央アフリカ、カメルーン、ナイジェリア、ニジェールの6か国と隣接している内陸国です。
外務省の危険レベルはほとんど3で渡航中止勧告がだされており、隣国との国境付近は赤いレベル4になっています。
コンゴ民主
注意してほしいのがコンゴという国はアフリカに2つあります。
- コンゴ共和国(旧フランス領)
- コンゴ民主共和国(旧ザイール、ベルギー領)
旧ザイールという国名だった国がここで紹介しているコンゴです。同じ国名かつ隣接している国なので紛らわしいですね。
コンゴ民主はテロ指数も102位でアフリカの中でも治安がよさそうですが、レベル4の退避勧告が出ている地域もあるので注意は必要です。
西アフリカ
ブルキナファソ
2015年の時点ではテロ危険度数107位でしたが、現在全ての地域がレベル2以上に引き上げられ、青年海外協力隊の派遣も中止されています。
西アフリカはアフリカ全体の中でもイスラム教徒が多く、治安の悪い地域も多い傾向にあります。
コートジボワール
コートジボワールは英語表記と全く異なる国なので、英語のIvory Coastを見ると、えっどこの国?となる人もいると思います。象牙海外という意味です。
危険度数レベル1なので、紹介した国を考えると「あ~治安がいいんだ」と思ってしまいがちですが、危険レベルが1でもある場合は「十分注意が必要です」ということなので、勘違いしてはいけません。(治安が良い国はレベルがつきません)
マリ
マリはテロ指数こそ26位ですが、国土のほとんどが退避勧告であるレベル4になっています。以前はマリにも青年海外協力隊が派遣されていたのですが、しばらく派遣されることはないでしょう。
ニジェール
ニジェールもマリ同様にテロ指数は51位と高くありません。しかしこちらも国土の大半が外務省が発表する危険レベル4に位置づけられています。ニジェールも以前は青年海外協力隊が派遣されており、過酷さの表現として、「西のニジェール、東のバングラデシュ」と呼ばれていたことがあったそうです。
ナイジェリア
ナイジェリアはリオ五輪男子サッカーで銅メダルを獲得しましたが、金銭問題が浮き彫りになりましたね。
ナイジェリアはアフリカ最大のテロ危険国で、世界3番目に位置づけらており、ボコ・ハラムとよばれるナイジェリアを本拠地とするイスラム過激派組織が存在します。ナイジェリアで発生しているテロ事件のほとんどがこのボコ・ハラムが関わっています。
ヨーロッパ
ベルギー
ベルギーは2016年3月の連続テロ事件が記憶に新しいでしょう。日本人も負傷しており、報道もされていたと思います。
テロ指数は高くありませんが、ヨーロッパ諸国での大規模テロが多発しており、ベルギーもテロターゲット国だと思っていていいでしょう。
イギリス
イギリスはヨーロッパの中でもウクライナ・ロシアに次いで上位のテロ危険指数になっており、世界28番目です。
2005年のロンドン連続テロ事件、2007年の空港でのテロ未遂事件が発生するなど、毎年危険値は高まっていると言っていいでしょう。
フランス
フランスは2015年に大きな連続テロ事件が2件発生し、多くの死傷者を出しました。日本でも大きく報道され、世界中に衝撃を与えた事件となりました。
観光地として人気の高い国であるからゆえに、無差別テロの被害にある可能性も十分にあります。
ドイツ
ドイツはそこまで大きなテロ事件は発生していませんが、700人以上のドイツ人がシリアに戦闘員として行っていることから、帰国後に自国でテロ行為が活発化する可能性もあります。
ロシア連邦
チェチェン、ダゲスタン、イングーシという国知っていますか?ぼくは知りませんでした。国連が承認しているのはロシア連邦としての位置づけなのですが、北コーカサス連邦管区に含まれるのがこの3国になります。
ロシア全体をみると危険度レベル1なのですが、この北コーカサス地方は渡航中止勧告のレベル3に引き上げられている、ロシアの中でもテロ脅威の高い地区になります。
スウェーデン
スウェーデン国内ではテロの脅威を最大5のうち一時期4にしていたこともあるようです。現在はテロ脅威3にしているそうですが、それでも尚テロの危険性が高いと判断しています。
スウェーデンでのテロは意外ですが、北欧国も安全とは言えないのでしょうね。
北部アメリカ
カナダ
2014年にケベックでの殺害事件、オタワでの射殺の連続テロ事件がおきており、テロ警戒を中程度に引き上げています。
アメリカ
2001年の米国同時多発テロ後、目立ったテロ事件は発生していませんが、2015年のGlobal Terrorism Indexでは世界35番目に位置づけられており、低い数値ではないことがうかがえます。
アメリカは多くの人種が存在するため、何が起こるかわからず、注意するに越したことはないでしょう。
ラテンアメリカ
ウルグアイ
中南米はテロの危険性は全体的に低く、懸念されたリオ五輪でも大きなテロ事件が発生することなく終了しました。
しかしラテンアメリカは総じて殺人事件や一般事件が多発しており、治安対策は行う必要はあります。
本日のJステまとめ
2016年1月から3月まででも、確認されただけで37か国535件のイスラム教徒関連のテロ事件が発生しています。
世界のジャーナリストたちはもっと多くの事件を取材したり遭遇しているかもしれません。
ぼくたちも世界の状況に関心をもっていきたいですね。このまとめ記事がその一助になれば幸いです。(危険さ具合や不安を助長しているわけではなく、事実を伝える記事として認識していただければと思います)
※参考にしたHP
Global Terrorism Index - Wikipedia, the free encyclopedia
List of Islamic Terror Attacks
危険と言われている国こそ行ってみたいたいんですよね。特にソマリア&パキスタン。
👈読者登録はこちらから</p