悪性黒色腫(メラノーマ)の治療法とは

更新日:2016/06/01

メラノーマ

悪性黒色腫(メラノーマ)の治療法は、ステージごとに異なるのでしょうか?ここでは、ドクター監修のもと、ステージ別の治療内容や5年生存率などを中心に、悪性黒色腫(メラノーマ)の治療法について解説します。

悪性黒色腫(メラノーマ)と診断されたら、どのような治療を行うのでしょうか?ここでは、ステージ(病期)別の治療内容や治療成績、治療後の経過観察について、わかりやすく解説します。

転移がない場合の治療の主体は手術

悪性黒色腫(メラノーマ)の場合も、有棘(ゆうきょく)細胞癌などの皮膚にできる他の固形がんと同様に、治療の基本は外科療法(手術)による腫瘍(しゅよう)の切除です。ステージによって切除範囲が決められますが、以前と比べ、切除範囲は大幅に縮小されています。

各ステージの標準的な治療法は、はっきりと確立されているわけではありません。大まかに下記のような治療が行われますが、患者の年齢や全身状態などによって、選択される治療法が変わることもあります。なお、IV期の内臓への転移がある悪性黒色腫(メラノーマ)の治療については、『転移のある進行期の悪性黒色腫(メラノーマ)の治療法とは』で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。

0期の治療
原発巣(最初に発生したがん)を腫瘍辺縁から3~5 mm程度離して切除します。
I期の治療
原発巣を腫瘍辺縁から1 cm程度離して切除します。腫瘍の厚さが1 mm以上ある場合や、厚さが1 mm以下でも潰瘍(かいよう)がある場合は、センチネルリンパ節(がんが最初に転移するリンパ節)の生検が検討されます。
II期の治療
原発巣を腫瘍辺縁から1~2 cm程度離して切除します。皮膚の欠損が大きくなるため、植皮手術が行われることもあります。センチネルリンパ節生検を行い、リンパ節に転移が認められれば、リンパ節郭清(かくせい)が検討されます。
III期の治療
原発巣を腫瘍辺縁から2 cm程度離して切除し、加えて所属リンパ節の郭清手術も行います。再発・転移を予防するため、術後に抗がん剤やインターフェロンによる治療を行います。
IV期の治療
遠隔転移(内臓への転移)の病巣が切除可能であれば手術を行う場合がありますが、一般的に、治療の主体となるのは抗がん剤による薬物療法です。がんによる症状を緩和する目的で、放射線治療も行われます。近年、悪性黒色腫(メラノーマ)に対する新たな薬が開発されており、臨床試験に参加する形で薬物療法を行うという選択肢もあります。

I期なら5年生存率は約90%

がんと診断された人のうち、5年後に生存している人の割合を「5年生存率」と呼びます。術後5年以上が経過してからがんが再発することはほとんどないため、5年生存率ががんの治療成績を評価するための指標となっています。

全国がん(成人病)センター協議会の調査によると、2005年~2007年に診断された悪性黒色腫(メラノーマ)患者の各ステージの5年生存率は、以下のようになっています。

  • I期:89.2%
  • II期:78.5%
  • III期:46.9%
  • IV期:9.6%

術後は定期的な診察と自己検査が必要

ステージが早い場合は術後の再発・転移のリスクは低いものの、ステージが進行するほど、術後の早い段階で再発・転移が起こることがわかっています。再発・転移は術後2年目までに起こることが多く、発生部位はリンパ節や皮膚、肺などのほか、骨、肝臓、脳などにも起こるとされています。

術後の経過観察は10年間を目安に行い、再発・転移のリスクが高い場合は、術後2年間は3~6か月ごとの短い間隔で診察を受けることが推奨されます。

また、鏡を使って全身の皮膚表面を観察し、皮膚を触ってリンパ節の腫れなどをチェックする自己検査を定期的に行うことで、生命予後の改善につながるといわれています。医師からしっかり指導を受け、自己検査の方法を習得しましょう。

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