HOME > レビュー > 「僕らはウォークマンで育ってきた」 音楽鑑賞のスタイルを変えた、名シリーズの秘密に迫る(1)
2016年8月30日/StereoSound ONLINE編集部
ソニーの"ウォークマン"といえば、携帯音楽プレーヤーの嚆矢として1979年の登場以来、多くの音楽愛好家に親しまれている超有名ブランドだ。アナログレコードが中心だった時代に、カセットテープで音楽を持ち歩くというスタイルを提案、その後の音楽鑑賞に実に大きな衝撃を与えた。今回はそんなウォークマンの最新事情について、開発担当者にインタビュー。お馴染の麻倉怜士さんが直撃的に訊いた。(編集部)
麻倉 最近ハイレゾウォークマン、頑張ってますね。僕もNW-ZX1やZX2、ZX100を取材しましたが、それぞれの音の違いもあって、たいへん興味深く拝聴しました。
佐藤 ありがとうございます。麻倉さんのご感想は音づくりをする上でもたいへん参考になりました。
関根 通称「ウォークマンルーム」です。初代機から2000年頃までのほとんどのウォークマンが揃っているんです。さすがに完動品は少ないですが......。
麻倉 思い出深い製品もたくさんありそうです。そのあたり追々うかがうとして、まずおふたりはウォークマンづくりでどんなことを担当されているのでしょうか?
佐藤 僕は入社以来、ずうっとポータブルオーディオの部署にいますが、主にはCDラジカセなどを手がけてきました。ウォークマン本体に関連する業務についたのは2003年からで、最近はZX1やZX2の音質設計を担当しています。
関根 僕はCDウォークマンから設計を担当していました。最近はZX100でプロジェクトリーダーとしてとりまとめを行ないました。
麻倉 なるほど、ふたりともウォークマン育ちといってよさそうな年代だし、きっと思い出の製品もたくさんあることでしょう。
ちなみに私はウォークマンといえば、一号機TPS-L2登場時の、1979年の原宿でのキャンペーンが忘れられません。原宿の街を、たけのこ族みたいにしてウォークマンを付けた若者に闊歩させたんですよね。実機を使ったキャンペーンは、ソニーとしてもあれが初めてだったんじゃないでしょうか。
でも初代機は買いそびれてしまい、手に入れたのは翌年登場したWM-2でした。ボタンが斜めになっていて、デザインも格好良かったですね。
佐藤 あのデザインは今見てもよくできていると思います。
麻倉 そうそう、ウォークマンといえば、井深さんにもインタビューしたことがあります。その時に井深さんが、飛行機の中で音楽を聴きたくてブレスマンという記者向けの録音機を改造して再生専用に作ってもらったとおっしゃっていました。
自分が欲しいものは人も欲しいだろうという、その素直な発想がウォークマンにつながったわけで、それを製品にまで仕上げた当時のソニーも立派だったと思います。
佐藤 そうですね。再生しかできないというあの発想は、当時としては本当に画期的でした。
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