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斉木楠雄のΨ難の同人小説
私の名前は照橋心美、誰もが認める完璧な美少女よ。街を歩けばナンパは普通にされるし、困っていれば何も言わなくても誰かが私を助けてくれるし、私を見れば誰でも「おっふ」というし、気も利くし頭もいいし、何をやっても才能を発揮する、そんな完璧であるはずの私。
「なのに、どうしてあいつは私に振り向かないの!?」
今彼女は、とてつもなく悩んでいる。
「まぁまぁ、落ち着きなよ。でも、心美でも振り向かないなんて斉木ってもしかして、こっち、なのかな?」
彼女の名前は夢原知予。この完璧美少女の友人の一人であり、照橋心美が斉木楠雄に恋心を思い抱いていることを知る数少ない人物でもある。
そう、悩みとは、僕が全く振り向かないことである。確かに彼女は可愛いし、才色兼備だ。だが、僕は別にそういう趣味もなければ女性にも全くとでいう訳ではないが、一般的な男性が覚える性的興奮を僕は全くしない。
何故?では人は、人体模型に興奮しろと言われて興奮できるのか?つまりはそういうことだ。僕の目には全人類、全ての生き物が人体模型に近い状態でしか見れないのだ。
それは何故かって?それは、僕が超能力者だから。ある程度のことは出来るし、正直一歩も動かずに一年暮らせと言われて出来る、むしろ死ぬまで出来る。ちなみに、僕の目は常に「透視」という超能力が常時使っているから、全ての生き物が人体模型と同様にしか見えない。確かに上手く使えば変な話、全裸の女性をずっと見続けることができる。だがな、僕はもう何年も前に飽きたし、それを使えばムキムキな男の体を全裸まで見なくてはいけなくなる。そんなのはお断りだ。
何?人生苦労してないって?ふざけるな、こんな力欲しくもない。誰かにあげたり捨てられる物ならとっくに捨てている。現実はそうは甘くない。何事にもメリットもデメリットもある。
まぁ僕の話はこれでいいだろう。この小説の主人公は僕ではなく、照橋さんだからな。
「でも、斉木君って何考えてるか分からないし、そういう素振りも見たことないからなー。心美はどう思う?」
「私は普通だと思うよ、だって知予もそういうところ見たことないんでしょ?」
それに、私に振り向かない男なんているわけないんだし。
「まぁそうだけど」
「だから私は違うと思うよ。」
「じゃあ他に何かあるってこと?」
「この間、お正月に斉木君の家に行ったんだけどね。」
「え!?斉木君の家に行ったの!?」
「う、うん。」
(まぁ他にもいたけど……)
「そ、それで、な、ななな何かあったの!!?」
「な、何もなかったよ。でも、その時ね、お母さんが言ってたんだけど、斉木君って人間不信らしいの。」
「道理で、斉木君ってあまり喋らないから無口なだけかなーって思ったけど、そういうことだったんだ~。」
「だから別に、そういうことはないと思うんだ。」
(それに、もうすぐ私の魅力に気づいておふるだろうし♡ふふっ♡♡)
「じゃあさ、今度デートにでも誘ってみたら?」
「デデデデデデデート!!?」
「そうそう、そしたらさ幾ら斉木君でも落ちると思うんだけどなー。」
「そんな、デートなんてまだ付き合ってもいないのに。」
と言いつつも頬がかなり緩くなっている照橋は相当斉木とデートをしたいのだろう。
「でも、そうでもしないと、斉木君は心美に振り向かないと思うよ?」
確かにそうだ。実際、これまでも幾つか振り向いて貰おうと色々と策を弄したが、少しも揺れる素振りすらもなかった。
「そうよね。分かったわ、知予の言う通りよね!少しでも振り向いて貰うにはこっちから仕掛けるしかないわよね!」
「心美って明日空いてる?」
「空いてるけど」
「じゃあ明日の土曜日、皆でお化け屋敷に行こう!」
―土曜日―
「お化け屋敷か、オレっちまだ行ったことないから楽しみだぜ。どんな怖いお化けが来るんかなーなぁ相棒!」
こいつは燃堂力。僕を勝手に相棒と言って付きまとう顔面凶器だ。
「フン、何をお化け屋敷ごときで楽しんでいやがる。どうせ中におっさんとかがいるんだろう?あんなもん、怖くもなんともないぜ。」
彼は海藤瞬。お気づきの通り、中二病である。
(ああ~♡流石私の王子様、かっこいいわ~♡)
「何だよ、チビはお化け屋敷に行ったことあったのかよ。」
「当たり前だ。ガキの頃、暇つぶしに行っていた。まぁどこもしょうもなくて、最後に俺様の怖さに全員ビビッてたがな。」
「ほんとかよ、お前ビビりの癖にお化け屋敷は大丈夫だったんだな~。」
「何だよその目は!ほんとだぞ!それに俺はビビりじゃねぇ!」
「お化け屋敷か~、楠雄が小学生の時以来だね~ママ~」
これは僕の父の斉木國春。コンニャックに勤めており、上司の靴を舐めるのが日課である。
「そうね、くーちゃんが小学生の時以来ね~、くーちゃんたら全然楽しんでくれなかったのよね~」
この人は僕の母の斉木久留美。普段はのんびりとして天然な母だが、怒ると文字通り鬼になる。
「そうそう、まるで僕を見る目のようにお化けを見ていたからね~」
全く、何でこんなところに来なくてはならないんだ。
「そんな残念そうな顔をするな楠雄、皆もいるんだから、少しぐらいは楽しそうな顔をしろよ?」
残念?当たり前だろ。テレパシーで誰が何を考えているか分かるし、透視で誰がどこにいるかも分かるんだぞ?つまらないにも程がある。
「そうだぞ斉木君!皆で来たんだ!せっかくだから楽しもうじゃないか、熱くなろうじゃないか!」
もうすでにこの太陽とお前のおかげで十分暑いのにこれ以上暑くなる必要がどこにある。
ちなみにこの○岡○造に似た熱さを持つ男は僕のクラスの学級委員長の灰呂杵志。
「まぁでも、やっぱ夏といえばお化け屋敷だよなー、俺も初めてだから楽しみだぜ。」
彼は窪谷須亜蓮。一見真面目そうだが、こう見えて元不良だ。
「私もあまり来たことないから楽しみ。」
彼女は照橋心美。自他ともに認める完璧美少女である。
「そうっすね~俺も楽しみっす!」
(怖がって照橋さんが僕に抱き着きますように!)
安心しろ、お前に抱き着くようなやつはどこにもいない。いてもそいつはただのゲイか相当な変態だ。
こいつはあまり気が向かないが、原作を知らない人もいるかもしれないので一応言う、これの名前は鳥束霊太。見ての通り害虫だが、彼は幽霊が見える一応超能力者である。
「ねぇねぇ私たちはもう抜けてトッポギ行かない?」
彼女の名前は相卜命。彼女も他人のオーラや死相などが見えたり、未来を予知できる鳥束よりもちゃんとした超能力者だ。いや、あんなのと比べたら彼女が可哀想だな。
「二人とも仲良いんだね~」
やばい。
「え?そ、そうかな?そんな風に見えちゃう?」
やめろ。火に油を注ぐような真似をするんじゃない。
「ううん。ただ、あの斉木君が女の子と仲良くしてるから何でかなーって思っただけだよ。」
勘違いするな。別に仲良くしているわけじゃない。こいつが勝手にくっついてくるんだ。
「そりゃあ、私たちは赤い糸ってやつ?結ばれてるっぽいからさ~。」
「へ、へぇ~そうなんだ~。」
(何なのこの女!?斉木君にベタベタして、私もベタベタしたい!)
そこかよ。
「とりあえず、二人一組で順番にお化け屋敷に入ろう!もうそろそろ私たちの番みたいだし。」
「皆、ここにクジがあるから順番に引いてってね!」
こうして、クジを引いて二人一組になったところでお化け屋敷の組み合わせが決まった。
一組目 夢原&海藤ペア
二組目 相卜&窪谷須ペア
三組目 灰呂&燃堂ペア
四組目 斉木夫婦ペア
五組目 照橋&斉木ペア
続く
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