台風１０号 岩手・大船渡に上陸 厳重な警戒を8月30日 19時28分

大型の台風１０号は午後６時前、岩手県大船渡市付近に上陸し、東北北部などを暴風域に巻き込みながら北上しています。岩手県では局地的に猛烈な雨が降っているほか、東北や北海道では川の水位が高い状態が続いていて土砂災害や川の氾濫、暴風、高波、それに高潮に厳重な警戒が必要です。

気象庁の発表によりますと、大型の台風１０号は東北の太平洋沖の海上を北上し、午後６時前に岩手県大船渡市付近に上陸しました。台風が東北地方の太平洋側に上陸したのは、気象庁が昭和２６年に統計を取り始めてから初めてです。
午後７時には岩手県盛岡市の東およそ３０キロ付近にあって１時間に５０キロの速さで北北西へ進んでいるとみられます。
中心の気圧は９７０ヘクトパスカル、最大風速は３０メートル、最大瞬間風速は４５メートルで、中心の北東側２２０キロ以内と、南西側１１０キロ以内では風速２５メートル以上の暴風が吹いています。
この時間は宮城県、岩手県、秋田県、それに青森県の一部が台風の暴風域に入っています。
北日本では風や雨が強まっていて、岩手県宮古市で午後６時すぎに３７．７メートル、青森県八戸市で午後７時前に３４．４メートル、北海道の函館空港で午後７時前に２９．８メートルの最大瞬間風速を観測しました。
東北北部には台風本体の発達した雨雲がかかり、午後７時までの１時間には岩手県久慈市下戸鎖で６０ミリの非常に激しい雨が降ったほか、午後６時までの１時間には国土交通省が岩手県宮古市に設置した雨量計で８３ミリの猛烈な雨を観測しました。
岩手県では２９日午前０時の降り始めからの雨量が多いところで３００ミリ近くに達し、平年の８月１か月分を超えているところがあります。
岩手県と青森県、それに北海道ではこれまでに降った雨で土砂災害の危険性が非常に高くなり、「土砂災害警戒情報」が発表されている地域があります。
岩手県と青森県では設計上、堤防が耐えられる水位の高さの上限とされる「計画高水位」を超えている川があるほか、岩手県、青森県、北海道で、川が増水して氾濫するおそれがある、「氾濫危険水位」に達している地域があります。
東北地方の太平洋側では各地で潮位が高い状態が続きましたが、その後、各地の潮位は下がっています。
台風１０号はこのあとも北よりに進み、３１日朝までには温帯低気圧に変わると予想されています。
東北や北海道では３１日の明け方にかけて、１時間に５０ミリ以上の非常に激しい雨が降ると予想され、局地的には１時間に８０ミリの猛烈な雨が降るおそれがあります。
３１日の夕方までに降る雨の量はいずれも多いところで北海道で２００ミリ、東北で１５０ミリと予想されています。
北日本では３０日夜遅くにかけて猛烈な風が吹き、最大風速は東北で３５メートル、北海道で３０メートル、最大瞬間風速は４５メートルから５０メートルに達すると予想されています。
波も高く、３０日夜遅くにかけて東北で１０メートル、北海道で９メートルの猛烈なしけが続き、３１日も大しけが続く見込みです。北日本の沿岸では潮位が高い状態が続き、北海道の海岸や河口付近では３１日未明にかけて高潮のおそれがあります。
気象庁は、土砂災害や川の氾濫、低い土地の浸水、それに暴風や高波、高潮に厳重に警戒し、落雷や竜巻などの突風にも十分注意するよう呼びかけています。