蹴球探訪
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【プロ野球】ヘーゲンズの進化論 WHO ARE YOU?2016年8月30日 紙面から
25年ぶりリーグ優勝へ突き進む広島で救援&先発として大車輪の活躍を見せるのが、ブレイディン・ヘーゲンズ投手(27)。好奇心旺盛で来日1年目でも広島弁を口にし、カタカナ、漢字の習得にも余念がない。面白そうな男なので話を聞きに行くと人生のあらゆる局面で、変化を受け入れてきた男だということが分かった。ダーウィンの進化論ならぬ、“ヘーゲンズの進化論”を−。 ◆あふれる「敬う心」初めまして。竹下陽二と申します。本紙は普段はドラゴンズびいきのことが多いのですが、今日は思い切り、ヘーゲンズびいきでいきますのでヨロシクです!! 「OK。分かった。で、なんの話?」。結構、楽しんでますよね。日本でのプレーを…。 「間違いない。でも楽しむだけじゃなく、日本野球の基本とか文化も吸収しようと思ってるんだ。日本は“敬う心”にあふれている。目上の人を敬い、学ぶ。野球もリスペクトする。ファンもまた素晴らしい。結果が悪くても、変わらず声援を送ってくれるし、温かい。アメリカはちょっと違うかな。汚いヤジが飛ぶこともあるし、えげつなくなることもある。日本じゃ聞かないもん、ヤジは…」 お褒めの言葉ありがとうございます。でも、日本でも時にはヤジは飛びます。えげつない内容のものも… 「エッ!? 日本で!? そうなの!? そうかぁ。日本語を理解してないから聞こえないのか。でも、ボクの耳には、良い言葉しか入ってこないけどなぁ」 話題を変えまして、広島弁を少々、しゃべれるそうですね? 「なにしとん、なに見とん、なに言っとん、ぐらいだけど。人に質問するときとか、便利。スコアボードの漢字も読めるよ。15か20ぐらいの漢字は読める。田中とか、山田とか覚えやすい。チームメートの松山という漢字から松が分かるようになったら、ブルペン捕手の松本の“本”は“モト”って推測できる。そうやって、少しずつ、知ってる漢字が増えてきた。でも、年取ると、語学の習得は難しいよ」 よろしければ、メモ帳に知ってる漢字書いてみせてください。 ヘーゲンズは「書けるかなあ」と言いつつ「ヘーゲンズ」「田中」「品川」ときちょうめんな筆致で書いてくれた。 ◆知っていると便利「書き順が難しい。余暇にフィアンセと電車でぶらりと出かけるんだけど、英語表記がない小さな駅もあるから漢字を知ってると便利なんだ。チームメートのエルドレッドは、来日5年目で日本語は相当なもんだよ。マイブームは焼き肉かな。フィアンセとぶらぶらしながら、店を探すんだけど。ギューカクとかギューゼンとか良かった。ハラミでも、なんでもオイシイ」 満喫してますねー。ところで、野球の話をしますが、当初、リリーフとして起用されてました。最近は先発でも起用され結果を出しています。戸惑いは? 「大学時代にリリーフと先発を両方やってたから戸惑いはないよ。実は、野球は子供の頃からやってたけど、情熱の入れ方は1番じゃない。高校時代まで、メインはフットボールだったんだ。でも、高3時、鎖骨を折ってね。で、フットボールを諦め、大学から野球に専念したんだ。もし、フットボールを続けてたら、クオーターバックじゃ体は小さいし、プロになれたかどうか。ケガは天の恵みだったんだ」 骨折は悲劇ではなく、天の恵みだと…そんな前向きだから、今があるんですね。今季の広島は神ってると、表現されるぐらい神がかった勝ちっぷりで優勝まっしぐら。来日1年目でエキサイティングなシーズンになりましたね。 ◆負け引きずらない「神ってる? 初めて聞いたよ。はやってる? あ、そう。カープはたとえボロ負けしてもそれを翌日に引きずる雰囲気がない。タフな試合の翌日でも今日は勝てる、と信じて球場に来るからね」 ヘーゲンズさんとカープの幸運を祈っていますね!! 「アリガトウ。で名前はなんだっけ?」 竹下陽二です。ドラゴンズびいきの新聞社ですよ。 「でも、今日は違うんだろ? ふふふ」 日本文化への素早い適応、中継ぎから先発へのスムーズな転身、そして、フットボールから野球に切り替えた柔軟さ…。かの進化論のダーウィンの「強い者や賢い者が生き残ったわけではない。変化に最も適応した生きものが生き残った」という言葉をふと思い出した。状況に応じて、変化し続けるヘーゲンズ。こんな男は、どこに行っても何をやっても、ハッピーでいられるに違いない。(竹下陽二) PR情報
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