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【経済】

経団連と同友会 政権との距離に開き

自民党の政調会長だった稲田朋美・現防衛相(左)と経団連の榊原定征会長(右)=長野県軽井沢町で

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 安倍政権との関係をめぐり、経団連と経済同友会の姿勢の違いが際立ってきた。「政治と経済は車の両輪」と一体感を強調する経団連に対し、同友会は「両輪ではない」と一定の距離を保つ。経営者が将来の日本経済の姿や世界経済の動きについて議論した夏のセミナーや会見でも、両団体の立場の違いが表れた。 (中沢幸彦)

 「日本はデフレ脱却、経済再生に向けてまさに正念場。政治が安定している今こそ、思い切った施策を打つべきだ」。経団連の榊原定征(さだゆき)会長(東レ相談役最高顧問)は七月下旬に軽井沢で開かれた夏季フォーラムで安倍政権との連携を強調した。終了後の懇親会には自民党の政調会長だった稲田朋美氏らが出席し、笑顔を交わした。

 榊原氏は二年前に会長に就任したころから安倍政権との関係を「車の両輪」と例えてきた。米倉弘昌前会長時代にアジア外交での意見の相違から疎遠になった関係を改善。自民党への政治献金の再開をはじめ、三年連続の賃上げや国内の設備投資の強化を会員企業に呼び掛け、安倍政権の要望に応え続けた。その結果か、財界の宿願だった法人税の実効税率20%台への引き下げも実現した。

 大企業が核になる経団連に対し、経営者が個人資格で入会する同友会は立場が異なる。今年、発足七十年を迎える同友会のモットーは「自由闊達(かったつ)」「政治からの独立」。代表幹事らの発言は事務方が作った原稿を読み上げたりせず、柔軟だ。

 代表幹事の小林喜光(よしみつ)氏(三菱ケミカルホールディングス会長)は「経済の最大のリスクは(内外の)政治」と指摘。夏季セミナーや会見で「政治と経済は車の両輪ではない。立場が違う中で重なるところを一緒にやるのが(両者のあるべき)進め方だ」と言い切っている。

経済同友会の夏季セミナーであいさつをする小林喜光代表幹事=長野県軽井沢町で

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 小林氏は企業と経済の国際化の下、「政治は極めてナショナリスティック(国家主義的)になってきた」と指摘。海外を含む株主を意識した経営が進む中、政治と近すぎることで国内事業にこだわりすぎ、収益拡大の機会を失うことを警戒している。

 現在の経団連に対し、「首相は会長の上司か」(別の経済団体幹部)との批判や、「官邸との距離があまりにも近くなりすぎた」(元経団連幹部)との指摘も出ている。

 

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