リニアルート選定、関西広域連合長が関与に消極姿勢
リニア中央新幹線の名古屋-大阪間の整備について、関西広域連合の井戸敏三連合長(兵庫県知事)は29日、京都市上京区の京都府議会議場で開かれた広域連合議会定例会で「(構成府県や政令市に希望ルートを)ヒアリングすることはない」と述べ、ルート選定への関与に消極的な姿勢を示した。誘致活動を繰り広げる京都府と奈良県の対立を回避する狙いがあるとみられる。
名古屋-大阪間は国の整備計画で「奈良市付近」を通るとされているが、京都府は京都駅や関西文化学術研究都市周辺を要望し、広域連合の場で最適なルートを議論するよう求めていた。
構成団体にルートへの意見を聞くか尋ねた奈良県議の質問に対し、井戸連合長は「聞き取りをすることは、その後の決定に責任をとることになる。リニアのルートには責任をとれる立場にない」と答弁。ルートは事業主体のJR東海や国を中心に検討すべきとの考えを明らかにした。
広域連合は2013年、北陸新幹線の敦賀以西ルートについて、3ルートの費用対効果を検証し、国に提案したことがある。しかしリニアの名古屋-大阪間を巡っては、ルート選定よりも東京-名古屋間との同時開業を望む声の方が構成団体の間で強く、京都側の意向を後押しする動きはほとんどみられない。
議会終了後、山田啓二京都府知事は「ヒアリングしないというのと、議論もしないというのは別だ。京都の立場は今後も説明し続ける」と話した。
【 2016年08月29日 22時30分 】