「中国的秩序」を受け入れようというTHAAD反対派が自問すべき根本的問題がある。「その道が子どもたちにとって最善なのか」という問いだ。中国は民主主義を経験したことがない社会主義大国だ。そんな国が支配する秩序の中で韓国が今享受している人権、思想、言論の自由、直接選挙などの価値観が保障されるとは誰も断言できない。韓国は厳然とした独立国家なのだから、何を言っているのかというかもしれないが、中国が追求するアジアの国際秩序は周辺国との対等な関係ではない。中国専門家のマーティン・ジャック氏は著書「中国が世界を征服する時」で指摘したように、中国は21世紀にも「朝貢冊封関係」のような上下関係を追求する。
韓国が中国の秩序に入れば、中国が韓国をどのように扱うかは香港や台湾を見ればよく分かる。1997年の中国復帰以降、香港人は深刻な人権後退を経験している。共産党の権力闘争に関する本を販売した書店の経営者が家族も知らない間に中国当局に拉致され、半年以上も拘禁されたばかりだ。中国は今年初め、反中派の蔡英文氏の総統当選を阻むため、台湾の選挙に露骨に介入した。韓国の立場は「一つの中国」の範囲に含まれる台湾や香港とは根本的に異なるが、中国がその通りに待遇してくれるかどうかは別問題だ。
韓国は中国との友好関係を望んでいる。問題はTHAADのように中国が韓国に米中の選択を強要し、力とカネで屈服させようとする場合だ。その場合、韓国は断固として国家主権、民主主義、人権の価値を守る選択をせざるを得ない。韓国は徐々に大国の影響圏を脱し、「自主自強」の道を歩まなければならないが、自力でそれが可能になるまでは当面韓米同盟を活用するしかない。THAAD反対論者に問いたい。「本気で中国的秩序への復帰を望むのか」