日本の安倍晋三首相は任期の延長に成功するのだろうか。有権者の反応は悪くはない。今月に入り、朝日新聞・毎日新聞・日本経済新聞や共同通信などのメディアが行った世論調査の結果、10人中5人が任期延長に反対、3-4人が賛成したが、それほど大きな差はなかった。世論というシーソーで「反対」の方が少し重かったにすぎない。今後、安倍首相がどのような動きを見せるかによって、シーソーの傾きはいくらでも変わり得る。
安倍首相の前に立ちはだかる障害物はそれほど大きくない。日本では与党の党首イコール首相となる。安倍首相は2012年9月、自民党総裁に選出された。党規では総裁の任期は3年、連続2期までと定められているが、改正すれば済む。前例がないわけでもない。30年前、当時の中曽根康弘首相も衆議院議員総選挙で圧勝した功績を認められ、総裁の任期を特別に1年間延長された。今の自民党では、当時のような「1年延長」どころか「3年延長しよう」という話まで出ている。
世論のシーソーの傾きがいくらでも変わり得るという予想が可能なほど、安倍政権は人気がある。今月初め、日本経済新聞が行った世論調査で、安倍政権の支持率は58%に達した。読売新聞と産経新聞の調査では、ともに55%となった。安倍政権に批判的な毎日新聞や朝日新聞の調査でも、47-48%という結果になった。誰が質問しても、日本国民の約半数が安倍首相を支持すると回答したというわけだ。
日本の政界では「安倍首相は換骨奪胎(かんこつだったい=他人の表現や着想などをうまく取り入れて自分のものを作り出す)を試みている」との見方を示している。2006-07年の第1次政権当時、安倍首相は何を言っても野党や世論から非難され、結局1年で退陣した。その後、2012年にカムバックを果たすまでの5年という歳月は安倍首相を大きく変えた。安倍首相と側近たちは「二度と失敗しない」という意志を持ち、一丸となって首相官邸に乗り込んだ。