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それってますますインターンじゃなくなる

日経夕刊に、

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS28H2H_Z20C16A8MM0000/(インターン日数短く 経団連「最低3日」軸に)

経団連は年内にも、会員企業向けの採用活動の指針で定めているインターンシップ(就業体験)の下限日数を短縮する方向だ。現在は最低5日間としているが最低3日間に引き下げる案が軸となる。インターンを開く企業は増えており、学生の関心も高まっている。日数を減らすことで企業が実施回数を増やせば、学生も参加しやすくなる。

何をやろうが基本的に自由なので(少なくとも法的には何ら規制はないので)、別にとやかく言うつもりもありませんが、ただでさえインターンシップというのはおこがましいただの社会科見学に毛が生えたようなものが、毛も生えていないようなものになるのだろうな、と。

そもそも、インターンシップとは、ジョブ型社会でのジョブのスキルでもって採用されるかどうかが決まるような社会、すなわち言葉の正確な意味での就「職」がある社会において、ほっといたら採用して貰えないようなスキルの無い若者に、企業の中で実際に仕事を体験することで採用して貰えるようなところまで引き上げようという話なので、そんなものは何も求められず、まっさらな方が喜ばれるような社会においては、少なくとも就「職」しやすくするための仕組みとしてはほとんど意味が無いわけです。

Ebiharaこの問題については、海老原嗣生さんが先月、まとまった形で論じておられますので、是非そちらをご参照ください。

http://blogos.com/article/183980/(「インターンシップが若者を救う」論を駁す① 大手の早期横並びインターンというかつて来た道)

http://blogos.com/article/184058/(「インターンシップが若者を救う」論を駁す② 早期インターンでも中小はやっぱり不人気)

http://blogos.com/article/184269/(「インターンシップが若者を救う」論を駁す③ 欧米のエリート・インターンシップは年収600万円!? )

・・・仕事を覚えるためには、それくらいハードな実習が必要なのだ。職務別採用の世界で職にありつくためには、こうした下積みが必要となる。日本のように、1週間程度のアトラクションでインターンシップが事足りるのは、その前提に未経験者を採用するという、新卒慣行があるからだ、と気づいてほしい。

http://blogos.com/article/184344/(「インターンシップが若者を救う」論を駁す④欧州のインターン=偽装雇用=ブラックという構図)

雇用システム論への理解抜きに表層だけ捉えて雇用問題を論ずるとおかしなことになるというのはあちこちで見られますが、インターンシップなどはその典型といえるテーマでしょう。

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コメント

いつぞやの(○○さん、お元気でしょうか?)呼びかけの必要もなくと思いながら、心より「はまちゃん先生!はりきってどうぞ~」と思っておりましてエントリには喜ばしく存じました。
「・・・仕事を覚えるためには・・・」は、供給側に責任があるのか?需要側に責任があるのか?
すくなくとも「今」を絶対値される供給側に説教しても、それはそれを生業とできる情報時代となった証左を示しただけのセールストークでしょと?理想主義を使った対立のポジショントークに思えてしまう残念さ藻感じるのはわたくしだけでしょうか?
云わんとされることは重々承知しているますが、相対ですから。
しかし、これこそ情報ツールに依存する「今」なのでしょう。

投稿: kohchan | 2016年8月29日 (月) 17時56分

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