宮崎亮
2016年8月29日08時54分
奈良少年刑務所(奈良市般若寺町)内にある「若草理容室」が31日、約60年の歴史に幕を閉じる。受刑者が市民の散髪をする全国でも珍しい理容室。地域の利用客や専門家からは惜しむ声が上がっている。
「ほんまに寂しい」。約20年間、通い続けた吉田肇さん(54)は話す。家から徒歩5分。ある時、いつも散髪してくれた受刑者がいなくなった。出所したと知り、「陰ながら喜んだ」。
常連客は地元住民。毎日、約10人が訪れる。格安の料金も人気だ。京都府木津川市の岩本正郎さん(78)もそんな一人。「世間に出れば、嫌なこと、腹立つことがあるだろう。そんな時、ここでの親切で礼儀正しい接客を続けてほしい。絶対に好かれる理容師になれる」
散髪をするのは2年間の理容科の職業訓練を修了し、理容師の国家資格を取得した受刑者。訓練中の実習生も清掃などの補助作業をしている。奈良少年刑務所によると、昨年度までに536人が修了し、大半が資格を取った。この5年で理容科の訓練を終えて仮釈放された保護観察中の19人のうち、5人が理容店に就職した。職業訓練中は複数の資格を取得するため、理容師以外の仕事に就いた人もいたという。
法務省によると、無職者の再犯…
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朝日新聞社会部
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