トルコ軍は28日、シリア北部で少数民族クルド人の組織「民主統一党」(PYD)の勢力圏を越境空爆し、PYDメンバー25人を殺害、関連施設5カ所を破壊したと発表した。一方、在英の反体制派NGO「シリア人権監視団」は同日、この空爆などで少なくとも民間人40人が死亡、75人が負傷したと発表。民間人の犠牲の有無をめぐり食い違いを見せている。
トルコ軍は過激派組織「イスラム国」(IS)の拠点だったシリア北部ジャラーブルスへ24日に越境侵攻し、以来、同地周辺に駐留する。トルコメディアによると27日、PYD勢力圏から飛来したロケット弾で兵士1人が死亡、同2人が負傷した。トルコ軍の空爆はこの報復とみられる。
トルコ政府は28日、「民間人が巻き添えにならないよう最大限の注意を払っている」とする声明を発表したが、人権監視団の発表が事実ならば、トルコ軍のシリア侵攻で初めて民間人の犠牲者が出たことになる。
一方、トルコのエルドアン大統領は28日、同国南部ガジアンテップで演説し、PYDはISと同様に「テロ組織」だとし、両組織を「シリアから根絶する」と強調。今後、シリア領内でのトルコ軍とPYDの戦闘激化と、トルコ国内でのクルド系組織による報復攻撃が懸念される。(イスタンブール=春日芳晃)
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朝日新聞国際報道部
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