東京電力福島第一原発事故後の県民健康調査で甲状腺がんと診断された子どもたちの保護者らでつくる「311甲状腺がん家族の会」は23日、福島県に「甲状腺検査の拡充」を求める要望書を提出した。同会は、県民健康調査の検討委員会に「甲状腺検査の縮小に向けた見直しの動きがある」として、「会員は検査でがんを早期に見つけ、治療ができた」とそのメリットを訴えた。
家族会の代表である河合弘之弁護士や牛山元美・さがみ生協病院内科部長(神奈川県)らが同日、県庁で小林弘幸・県民健康調査課長と会談し、内堀雅雄知事あての要望書を提出。「広く検査することこそ住民の安心につながる」と強調した。県側は「(将来的に症状が出ないような潜在がんを検診で見つけてしまう)過剰診断のデメリットを指摘する専門家がいる」と話した。
同検討委では今年3月末までに173人にがんの疑いがあると診断されたことを受け、「現時点では被曝(ひばく)の影響とは考えにくい」と評価しているが、県小児科医会は先月、「一般的発生頻度を大幅に上回る(がんの)多数報告」で県民の間に「健康不安が生じている」とし、「一部見直しを含む再検討が必要」とする総会声明を採択した。
こうした動きに対し、家族会は会見で「会員の中には手術待ちや手術後の1年程度の短期間に腫瘍(しゅよう)が進行したり、再発・転移したりする子がいる」と説明。要望書でも、県内で発生している甲状腺がんが「進行が遅く、すぐ治療しなくても寿命に影響しない」という「過剰診断論の根拠」を調査して示すよう求めた。
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