農業王の28歳の息子、デジタル音楽の道へ-パーム油の家業は継がず
クオック・メン・ルー氏は子供のころ、資産家の父親と一緒に過ごす時間があまりなかった。
農業王の3人目の子供として生まれた同氏は10歳の時に英国の寄宿制学校に入学。その後、ケンブリッジ大学で数学の学位を取得した。
父親のクオック・クーン・ホン氏は1991年シンガポールで創業したウィルマー・インターナショナルをパーム油事業で世界有数の企業に成長させたが、その間多忙を極めた。母親は息子に「多くを与えられており、期待も大きい」と絶えず言い聞かせていたという。
だが息子にエリック・クラプトンの音楽を教えたのも父親だった。それをきっかけにB.B.キングに夢中になり、ブルースギターのとりこになった。
「B.B.キングとは個人的なつながりがあるように常に感じていた」とクオック・メン・ルー氏は振り返る。
シンガポールを現在拠点とするクオック・メン・ルー氏が家業ではなく音楽業界に進んだのは驚きではない。同氏(28)とパートナーのスティーブ・スキリングス氏は、起業したバンドラブについて、クラウドを基盤とする世界的なコミュニティーに育て、人々が音楽を創造したり、共有したりできる場にしたいと考えている。
バンドラブには父親のほか、オーディオミキサーメーカーのジャムハブを含む投資家グループが出資している。クオック・メン・ルー氏はバンドラブが集める投資額についてコメントを控えたが、2019年までに十分な資金が確保できる見通しだと述べた。人員も現在の倍の約100人に増える可能性が高いという。
バンドラブのアプローチは、写真共有サービスとして人気のあるインスタグラムに似ている。
大半がソフトウエア開発者である約40人が勤務するバンドラブのオフィスでインタビューに応じたクオック・メン・ルー氏は、インスタグラムのような「簡便さを音楽を創造する人々に届けたい」と語った。
原題:Billionaire’s 28-Year-Old Son Picks Digital Music Empire Over Palm-Oil Riches(抜粋)