【ニューヨーク=上塚真由】捜査現場への「ロボット」投入の是非をめぐる論議が米国で高まっている。先月は、警察官を銃撃した容疑者を地元警察は軍事用に開発されたロボットを使って爆殺した。危険な捜査現場で警察官を危険にさらさないメリットが指摘される一方で、警察の「軍事化」に拍車をかけるとの指摘や、人権団体などから懸念の声が上がっている。
米南部テキサス州ダラスで7月7日、5人の警察官が銃撃された事件で、ダラス市警は、軍用プラスチック爆薬を取り付けたロボットを、遠隔操作でマイカ・ジョンソン容疑者(25)のそばまで移動させて爆発させ、殺害した。
使われたのは米防衛機器大手、ノースロップ・グラマン社が開発した爆弾処理用ロボット。カメラが搭載され、延伸アームで約27キロの物体を動かせる。警察が容疑者殺害のために投入したのは初めてとされる。
これまでは立てこもり事件などでロボットが重用され、危険物を調べたり、搭載カメラで容疑者と交渉したりするケースが一般的だったが、ダラス市警のブラウン本部長は「交渉が決裂し、ロボットを使用しないと警察官を危険にさらす恐れがあった」と説明した。
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