もう歳なんだろうなぁ。
近ごろめっきり欲望がなくなってしまった。35歳くらいまでは、いつもウズウズしていたし、20代なんて、ジーンズのそこだけ擦れて薄くなってしまうほどだった。
それが、今じゃ、見る影もなく小さくなっちまって。ひどいときなんか、萎縮して丸まっているから、その存在すら忘れてしまう。
オンとオフの切り替え
どこかで読んだ記事に、仕事がデキる男ってのは、オンとオフの切り替えがうまいと書いてあった。ポンコツな欲望ってのは、しょーもないときにオンで、肝心なときにオフになってしまう。イザってときに限って、部屋の匂いが鼻についてみたり、ベットシーツの肌触りが気になって、萎えてしまったりする。
いっぽうで、オンのスイッチは、日常の何気ない風景に潜んでいる。それは、アパートの階段ですれ違う、生活に疲れた女であったり、タイプでもない女が、ラーメンの汁をどんぶりから下品に啜っているところだったりする。
ムラムラはあるけど、ムラがあり過ぎて自分でうまくコントロールできなくなってしまった。
野生のムラーク
あまりムラムラって書くと、まるで異常者のようだから、「ムラムラが来る」を、もっとソフトに言いかえよう。そうだな、ムラークと呼ぼう。若いころは、たまごから産まれていたムラークは、いつからか孵化装置が壊れてしまった。装置は使わないと、やがて錆びついてしまう。
すると、必然的にムラークはフィールドにしか現れなくなる。野生のムラークとは、どこで出くわすか分からないし、時間もまちまちだ。
CPが高かったり、すでに捕獲したムラークならば、割りとすんなり諦めるのだけど、レアなムラークと遭遇したとき、モンスターボールが無いなんて悲しすぎる。
伝わるかな、この苦しみ…。
誰のせいでもなく
いちばんの問題は、ムラークが完全には消えてないってことなんだよ。そして、野生のムラークとは、歩いていたら、どこかで不意にエンカウント(遭遇)する。でも、そんなムラークは当てにならないし、よしんばうまく捕獲しても、その後が大変になる。オンとオフのスイッチが壊れているから、イザと言うときオフになったら、目も当てられない。
オフになるとね、もう何を見ても、なにも感じなくなってしまう。すべてが茶番に見えてしまうんだよ。虚無ってやつかな。
それは、誰のせいでもなく、自分の心の病なのだけど、理解してもらうのは、難しいだろうね…。
もっとシンプルに生きたいのに、それは、歳を重ねる毎に複雑になっていく。やがて絡まって解けなくなるに違いない。
苦しい…。誰か助けてよ…。
絶賛、女神募集中です。