カブトガニ謎の大量死 北九州・曽根干潟に500匹 2005年にも…「異常事態」

曽根干潟の砂浜に並べられたカブトガニの死骸=22日、北九州市小倉南区
曽根干潟の砂浜に並べられたカブトガニの死骸=22日、北九州市小倉南区
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 絶滅危惧種に指定されているカブトガニの国内有数の生息地、曽根干潟(北九州市小倉南区)で今年、約500匹の死骸が見つかった。「日本カブトガニを守る会福岡支部」によると、同干潟で見つかる死骸は多くても年間60匹ほどで、高橋俊吾支部長は「異常事態」と指摘する。海水中の酸素濃度不足も考えられるが、他の生物の大量死は確認されていないという。なぜカブトガニだけなのか-。支部は専門家に調査を依頼している。

 支部によると、今年最初のカブトガニの死骸は1月に発見。以後、月に約10匹のペースだったが、6月になって急増し、8月は1日当たり最大10匹の死骸が見つかっている。幼生から成体まで幅広く、寿命が原因ではないとみられる。

 曽根干潟のカブトガニの大量死は、支部の過去約20年の調査では、約350匹の死骸が見つかった2005年以来。

 市環境局は7月、市民からの通報を受け、干潟の水質調査を実施。酸欠死した可能性を探るため海中の酸素濃度などを調べたが、異常は見られなかったという。

 高橋支部長は「カブトガニは環境が整った条件下でしか生息できない。海の美しさを示す生物で、一刻も早く原因が解明されてほしい」と話した。

=2016/08/29付 西日本新聞朝刊=

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