韓国は中国市場の巨大さに圧倒され、最初から恐怖におびえている。戦えば韓国だけが負けるという被害者意識が強い。それは部分的には合っているかもしれないが、韓国経済の実力はそれほど低いものではない。
中国にとっても、韓国は輸入額が1位の国だ。輸入額全体の10%が韓国からの輸入だ。その大部分が半導体など中心的な部品や素材だ。中国は韓国から中間財を輸入し、加工して輸出することで金を稼いでいる。それだけ、中国経済も韓国への依存度が高い。もし中国が韓国との貿易戦争を仕掛けるのなら、中国も被害を受けることを覚悟しなければならない。
中国が黙っていることはないだろう。中国の報復は、表向きではないように装い、裏で苦しめるという形を取る可能性が高い。ビザの発給を難しくしたり、非関税障壁(関税以外の方法によって貿易を制限する)によって苦しめたりするというわけだ。これは韓国企業にとってはつらいことだろう。
だが、韓国にとって耐えられないほどの致命的な報復ではない。この程度の報復に耐えられないようでは、真っ当な国とはいえない。中国が恥知らずな態度に出れば出るほど、不利になるのは中国の方だ。国際社会で烙印(らくいん)を押され、孤立するだけだ。韓国はひたすら耐え抜き、自ら決めた国家としての意志を貫くべきだ。ここで後退するようでは、丙子胡乱のトラウマから永久に抜け出せないだろう。
今、本当に心配なことは、中国の脅しではなく、韓国内部の状況だ。小説『南漢山城』に描かれた丙子胡乱の実体は「城内の戦い」だった。作者の金薫氏は「外での戦いよりも、中での戦いの方がよりむごいものだった」とつづった。外に敵が迫っているにもかかわらず、城内に閉じこもって論争を繰り広げていたというわけだ。
今の韓国の状況もこれと同じだ。韓国を脅かす共通の敵は外にいるのに、内部で分裂している。そのような意味では「第2の丙子胡乱」という言葉も正しいのかもしれない。