【コラム】中国を見くびり過ぎる韓国人

 韓国は得たものも失ったものも多かった。国民が命を落とし、国土は荒廃した。その代わり、米国の秩序に組み込まれ、平和と繁栄を手に入れた。戦争の苦難は、後世の豊かな生活によって十分に慰められるかもしれない。だが「中国軽視」の結果だけを見れば、韓国は間違いなく最大の被害者だ。得たものはなく、失ったものばかりだ。米日の先入観のため、韓国国民の苦痛はさらに増したのだ。

 韓国や中国で外交官として勤務した道上尚史・駐ドバイ総領事の著書「韓国人だけが知らない日本と中国」に、こんな文章がある。「韓国は中国を大きく見すぎることだけが問題なのではない。小さく見すぎる傾向もある」。今、THAAD問題に関連した中国に対する見方も同様だ。一方では報復に対する恐怖と悲観論、もう一方では自信と楽観論が存在する。同書はこう指摘する。「二重の意味で、韓国は中国の実情をきちんと把握できずにいる」。

 大統領は光復節の演説で「私たちの運命が大国の力学関係によって決まるという被害意識や悲観的思考を捨てなければならない」と述べた。その通りだ。しかし、そのためにはまず力学関係を正確に把握せねばならない。その上で政策を決定し、相手を納得させる必要がある。昨年には「統一のための友人」のごとく重視していたのに、今年は「安保の敵」であるかのように対応しては駄目だ。THAADの配備を決定したからといって、韓国はその地理的な位置のため米日だけに頼るわけにはいかない。中国は時間軸の長い国だ。私たちが忘れたころ、彼らは行動する。中国に対する恐怖よりも「中国軽視」の方が、はるかに悪い結果を招きかねない。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
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