【コラム】中国を見くびり過ぎる韓国人

 先日、予想外の本で興味深い文章を見つけた。ソウル大学のナム・ギジョン教授が著した「基地国家の誕生」、日本人作家の保阪正康氏が著した「昭和陸軍の研究」だ。本には、米軍が太平洋戦争敗戦後に散り散りになった日本軍の参謀を朝鮮戦争発生直後に呼び集める場面が出てくる。彼らが韓半島(朝鮮半島)や満州、中国で数十年にわたり蓄積した情報とノウハウが必要だったためだ。「昭和陸軍の研究」は「日本軍の参謀が作戦の下絵を描いた」と説明する。

 彼らには、非常に強い先入観があった。中国を見下す態度だ。児戯に等しい挑発で満州を奪い、本土侵略後はあっという間に南方と内陸部までを占領したのだから、たやすい相手に見えていたのだろう。日本の将校らは中国軍を「ばか」「ブタ」などと呼んだという。日本は恐ろしく変貌した別の中国軍をほとんど経験しないまま、戦争を終えた。

 そんな集団を集めて戦争の諮問団として再組織したのが、マッカーサーの情報参謀を務めていたウィロビーだった。根っからの反共主義者だったウィロビーは当時、マッカーサーの目と耳を引き付けていた。日本の戦後の歴史を左から右に変えた、いわゆる「逆コース」政策を主導した大物だった。マッカーサーは情報を彼に依存した。マッカーサーの判断ミスは、彼の判断ミスに起因していた。なぜ思い違いをしたのだろうか。日本軍部の中国蔑視(べっし)が影響を与えたのではないか。推論だが、興味深い研究課題に思える。

 朝鮮戦争に参戦したマーシャル准将は、中国軍を「影のない幽霊」と呼んだ。ペク・ソンヨプ将軍は、彼らが近づいてくる音を「魔声」と言った。中国軍は緻密な軍隊だった。戦う相手と避ける相手を正確に区別していた。ソ連のスパイを通じ、国連軍の進路と限界までも見通していた。マッカーサーは人海戦術ではなく情報に押された。キッシンジャーは、朝鮮戦争で最も多くのものを得た国として中国を挙げる。戦争を通じ、軍事大国、そしてアジア革命の中心としての地位を確立したためだ。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
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