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高畑裕太容疑者のわずか4年で幕を閉じる「俳優人生」

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第174回】 2016年8月27日
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 番組では、高畑容疑者も出演のスペシャルドラマ『盲目のヨシノリ先生』を放映する予定だが、すでに撮影・編集を終えたところに事件が起きたため、日本テレビは急きょ『NEWS』の小山慶一郎くんを代役に立て、高畑容疑者が出演した部分をわずか四日で撮り直すことを決めた。

 また、24時間テレビでは母・敦子とのドキュメンタリーも放映予定だったが、こちらは放送取りやめとなった。愛が地球を救うはずの番組なのに、番組のパーソナリティーが強姦致傷罪を引き起こすという前代未聞の事態が出来したのである。

 さらに、TBSのバラエティー番組『7時にあいましょう』は二九日放映分の収録は終えているが、再編集で高畑容疑者が映っている場面をカットして放送するとのことだ。二五日放映のフジテレビ『となりの新撰組』は番組を差し替えた。

 テレビ東京で放映中の『侠飯~おとこめし~』は高畑容疑者の代役を立てない代わりに出演場面をカットして編集することにしたが、会話などストーリーがつながらない場面のみ撮り直しを行なうことにしたそうだ。

 NHK大河ドラマ『真田丸』では、淳子との“母子共演”が実現し収録も終えていたが、こちらも代役を立てての撮り直しが発表された。

 前橋市を訪れていたのは映画の撮影でだが、撮影中の映画『青の帰り道』は今後の制作継続は未定、さらに今秋公開予定の映画『L‐エル‐』は代役を立てての撮り直しを検討中とのことだ。十一月に上演される舞台『さようならば、いざ』の降板も決まった。

 こうして見ると、高畑容疑者が売り出し中だったのがよくわかる。それだけに各方面に多大な被害と迷惑をかけることにもなるのだが、“人に見られる”ことを生業にする彼は、何故、自分を抑えられなかったのか。

 出演者にギャラが発生する慈善番組なんて偽善だと私は思っているが、それでも三十九回を数える『愛は地球を救う』は日テレの看板番組だ。その番組パーソナリティーに抜擢され、連日のように“番宣”に出演し、本番を四日後に控えた大事なときに、“欲求を抑えきれなかった”との理由で高畑容疑者はホテルの女性従業員に襲いかかった。

 この男は、強姦が罪に問われないとでも思っているほど虚けなのか? この大事な時期に事件を起こすことがどのような事態を招くかも読めないほどの考えなしだったのか。実に愚かで、いま、自分がどのような立場にあるかをわきまえない浅慮短絡ぶりだ。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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