■「若者は投票しないでくれ」ってどういうこと？

　先生　マスコミの勘違いがよく分かったのは、参院選で行われた日本記者クラブの党首討論会だよ。ベテラン新聞記者たちが安倍晋三首相をはじめとする各党党首に質問したんだが、上から目線がヒドすぎる。たとえ批判対象とはいえ、国民の代表である国会議員、ましてや総理大臣に対して、お前ら、どんだけエラそうなんだよ。毎日新聞記者の倉重篤郎は自分で安倍総理に延々と食い下がっておいて、答えている途中で「了解しました」「はい」と、打ち切ろうとしていた。要するに質問の名を借りて安倍批判をしたいだけ。高慢なエリート意識がプンプンするぜ。

　教授　しかし、参院選は盛り上がりませんでしたね。東京では都知事選の前座ぐらいに思っていた人も少なくなかったのではないですか。早い段階の世論調査で改憲勢力が３分の２をうかがうことが確実となっていたからで、朝日新聞や毎日、中日・東京新聞は改憲反対をなんとか盛り上げようとしたけど、そうはなりませんでした。投票権を得た１８、１９歳を反安倍政権に引きつけたかったけれど、その言葉は届かず、若者の多くはむしろ逆の動きを見せたでしょう。つまり、今回の参院選は彼らメディアの敗北と見ることもできるんですね。

　女史　インターネットを見ていて、びっくりしたのは週刊プレイボーイで、１８、１９歳に向かって反安倍政権の映画監督、森達也さんが「将来を考えると、『ヘタに投票しないでくれ』と思います」と発言してたことよ。自民支持への同調圧力が強くて、若者は「多数派に流れる傾向がある」っていうんだけど、これって、自民支持の若者は選挙に行くなってことでしょ。いくら与党を勝たせたくないからって、ちょっと勝手すぎない？　そういう人は結構いるんだよねー。ツイッターで『ヴァチカンの正体』筑摩新書／岩淵潤子と名乗る人が「十分な知識がない若い有権者、特に日本で教育を受けている十代は、みずから強い決意をもって選択するというより、周りを見て、無難で変わらないことを選択しがちなのではないかと感じた。選挙年齢の引き下げはあまり意味なかったかも？」と書き込んでた。

　教授　昔、自民党の森喜朗首相が「無党派層は寝ていてくれ」発言で叩かれましたが、彼らも人のことは言えませんね。反安倍政権の日教組の先生達も、若者に希望を抱いたんでしょうけど、期待はずれだったでしょうね。去年、反安保法案デモで国会前で騒いで、ＳＥＡＬＤｓと若者たちを煽った人たちもね（笑）。

　先生　ＴＢＳ系のサンデーモーニングは往生際が悪く、投票日７月１０日の朝まで、実質的な安倍政権批判をしていたな。岸井成格が集団的自衛権と安保法制を批判して、「政界の格言」を借りる形だが、「健全で強力な野党を」と訴えたぞ。与党に投票するな、と言っているようなもんだろ。テレビの政治的公平性はどこへ行ったんだ。ちなみに野党敗北は、選挙前の記者会見でアベノミクスと増税先送りを打ち出した安倍総理にしてやられたともいえるだろうな。

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