Martabak Telur|Egg Martabak
マルタバ・トロール|卵のマルタバ
インドネシアのバリ島に滞在中、日が落ちて暗くなり始めると
街中の通りに屋台が店を開け、生地がジューッと焼ける音や
香ばしい匂い、甘い匂いがあちこちから漂ってきます。
東南アジアで人気の屋台おやつ、ストリートフードの一つマルタバ。
インドネシアでは味が二種類。
Terang Bulanテラン・ブランと呼ばれる甘い厚みのあるマルタバ。
名前は見た目から『満月焼き』みたいなニュアンスですかね。
こちらは甘くて、直径25cm程の巨大な大判焼き風の外観。
中の具はメニューから好きな物を選んで入れてもらうシステム。
私はシンプルなチョコレートかチョコバナナが好き。
ただし、すごく甘くてボリュームが有るから数人で分けるのがオススメ。
Martabak Telurマルタバ・トロールと呼ばれる薄皮で塩気の有るおやつ。
『卵のマルタバ』。Bebekべべッと呼ばれるアヒルの卵を使う事も。
インド、中東から伝わったらしく元々はマトンを使うみたい。
薄い皮を大きな浅い鍋に入れて焼き、すぐに肉+野菜+卵の
入った具を入れて火を通しながらクレープみたいに皮をたたみ込んで
四角く仕上げていきます。焼き上がりはパリパリで美味しい。
持ち帰る間に焼きたての蒸気で皮がしっとりして、オムレツっぽくなる。
お店によってはパン生地っぽいのも。
焼き上がりをザクっと切り、紙の箱に入れ小さなパックのタレや
アチャールというピクルス、青唐辛子なんかを添えてくれる。
私がマルタバを買いに行くのは、いつもお客さんが多い
きびきびと作業する実直そうな若夫婦の屋台。
奥さんが甘い方、ご主人がしょっぱい方を担当。
大抵の場合男性は外国人相手には無口なタイプが多く、女性同士の方が
相手も気安く話してくれるから奥さんの方に話しかける。
マルタバ・トロールはまず生地を極薄く伸ばす所から始めて
出来上がりまでしばらく待つのです。
手早く伸ばした生地を焼き上げる職人技を眺めるのも楽しい。
その間、他にお客さんが居なければ、お店始めてどの位なの?
甘いのとしょっぱいのとどちらが人気?←相手も聞きたいことを質問してくる
甘い方の人気のトッピングは何?とか当たり障りのない会話。
そのうち出身地の話や彼等の子供の話になることも。
そんなやり取りを重ねると、三度め位には私の姿が目に入る距離で
「また来たわね!」って顔で手をブンブン振って挨拶してくれる。
声掛けや呼び込みなどはしないので、無口でも人通りが有る場所で
手際と味さえ良ければお客さんを呼び込める。
安心できるお店かどうか、会話をしながら手際や清潔感、
具材の中身や鮮度を確認するのです。
大雑把な作り方|
みじん切りのニンニクを少量の油で弱火で炒めて香り出しし、
みじん切りのタマネギを追加して透き通るまで火を通す。
半解凍した牛ブロック肉をみじん切りにして、加えて水気が飛ぶまで
しっかり炒め、火を止める前にクミンパウダー+コリアンダーパウダー+
ホワイトペッパー+塩を加えて香りを出す。
※好みでカレーパウダーを少量加えても
ボウルに移したら粗熱を取り、みじん切りのスープセロリ
(無ければホワイトセロリ)+ワケギの小口切り+卵を加えて
スプーンでしっかり混ぜ合わせる。
※セロリが苦手な人はズッキーニやピーマンでも
熱したフライパンに油を5mm厚ほど引き弱火にする。
春巻きの皮を二枚重ねて入れ、中央に具材をスプーン大さじ二杯ほど加え
周囲を折りたたんで、ひっくり返して両面を色良くパリパリに揚げ焼き。
包丁で食べやすいサイズにカットし、
酢+ケチャップマニス(甘醤油)を同量+水少々+バワンメラ(赤小タマネギ)
のみじん切りを加え、味を見て塩、砂糖を加えたタレを作る。
トマトのサンバルゴレンと青唐辛子を添える。
市販の春巻の皮は10枚入りだから、5個作れる。
おつまみには3人でちょうど良いくらいの量。
作りたては熱々のパリパリ。
青唐辛子を一口かじって、サンバルを付けたマルタバをパクリ。
そしてビールをゴクゴク。
たまに甘醤油のタレを付けたマルタバをパクリ。
そしてビールをゴクゴク。
「サンバル付けるとごはんが欲しくなるねー」
「あー、それ分かるわあ」
アハハハ 一緒だね。
私、サンバルだけでもごはん食べられるよ。
「ねー、今度マルタバの皮も作っちゃいなよ」
いや、それは絶対ムリ!
あんなに薄く伸ばすのは職人技だもん。
マルタバ屋さんの道は遠いのだ。