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第38話 裏社会の重鎮
東区の僕が借りている宿屋の自室から地球の屋敷へ転移する。
屋敷では水咲さんがお母さん――榛原栞さんとリビングでお茶を飲んでいた。水咲さんがお母さんにどんな説明をしたのかは不明だが泣きながら感謝されてしまった。
【神王の地図】の転移映像化機能により周囲に人がいない事を確認し、水咲さん、清十狼さんと《ファーストステップ》の事務所の扉の前まで転移する。
事務所のベルを鳴らすとテツさんが僕らを迎えてくれた。少々疲れ気味の様子なのは僕が《ファーストステップ》に設置した凶悪精霊のせいだと思われる。
「ヘンゼルとグレーテル。悪さ……したみたいですね……」
「いや、そんなことはない。あの餓鬼共は良くやってくれている。従業員ともすっかり馴染んでいるしな」
従業員と馴染んでいるなら血みどろの活劇を演じたなんて事はあるまい。一応口を酸っぱくして《他者を傷つけるな。不磨商事が襲ってきても適当に眠らせて交番前にでも放置しておけ》と命じてある。
僕の命を破る奴ではないが、その命の内容を屁理屈で曲解するのがこの精霊の恐ろしいところだ。
「お気を使われなくて結構ですよ。彼奴等しかいなかったとは言え少々、人選ミスだったことは否めませんので」
「別に気を使っちゃいねぇさ。
不磨商事のチンピラ共が魔術師らしき奴らを多数連れて乗り込んできたが、餓鬼共のおかげで客はそのことにすら気付かず《ファーストステップ》の新たな催しだと思って楽しんで帰ってもらえた」
「不磨商事の連中をお菓子にでもしましたか?」
テツがビクッと体を震わせ顔を死人のように青く染める。
間違いない。あの阿保双子はよりにもよって黒魔術レベル7に相当する魔術を行使したらしい。黒魔術レベル7に相当する魔術とは即ち禁術。
《超越者召喚》には大きな落とし穴がある。あれは特定のレベルの超越者を召喚するスキル。しかしレベルはあくまで強さの目安。レベルが低くても強力な魔術・スキルを持つ者はより高レベルのものを打倒し得る。
ヘンゼルとグレーテルも同じ。こいつ等は確かにLV160だ。しかしこの双子が持つ《お菓子魔術》という一見メルヘンな魔術は全術が禁術で構成されているというおぞましい魔術。つまりヘンゼルとグレーテルはLV160の他の超越者よりもはるかに強い。
この精霊を僕が召喚したとき思金神ですら絶句していたくらいだ。異常な奴らなのは間違いない。
「ああ、餓鬼共が鎌で切ると全員ビスケットに変わってしまった。
あの不磨商事のチンピラ共は……」
「御心配なく。僕が無傷で交番の前に眠らせて放置しろと命じましたので全員無事のはずです。今頃交番で事情聴取を受けているんじゃないんですかね」
テツさんの顔に赤みが戻る。テツさんは僕らと違って常識人だ。十数人の殺人事件が自己の経営する店であったとすれば動揺もする。
「それでは時間も押してますし、移動しましょう」
「いや、その必要はない。もう奥の部屋にいらしている」
この《ファーストステップ》には凶悪双子精霊がいる。この《ファーストステップ》が歌舞伎町で最も安全と言っても過言ではない。確かにこの場所での会談が最良だ。
テツさんはソファーから立ち上がると僕らを奥の部屋に案内する。
部屋内は広くスッキリしており、しかも他とは絢爛さが格別していた。
黒色の革製のソファーに3人の男女が座っており、背後にはボディーガードと思しき黒服達が控えている。
僕に続き清十狼さんが部屋に入ると、3人のうちの30代半ばの真っ赤な短髪に唇にピアス、赤と白のチェックの入ったスーツを着用した男が血相変えて立ち上がる。
「テメエは不磨商事経理部長佐々木清十狼!
おいテツ! なぜ不磨商事の重鎮がいる? まさか俺達を裏切ったのか?」
赤色スーツの男の言葉に、黒色のドレスを着こなす金髪をポニーテールにしている碧眼の美少女が頬を引き攣らせて立ち上がる。
もう一人のソファーに座る和服の筋骨隆々の40代後半の男性は僕らを面白そうに眺めて来た。
「清十狼さんは僕らの仲間になりましたので不磨商事とはもう無関係です。
ちなみに彼は妹が人質にとられ仕方なく不磨商事という俗物に従っていただけですので、スパイの心配はしなくて結構です」
僕の言葉を聞いても依然として警戒を解かない赤スーツと金髪ポニーテール。
少々この反応には腹が立つ。呼びつけたのはこの人達だ。それなのに礼の一つも言わず、清十狼さんを不磨商事のスパイだと断定するかのごとき態度。僕の仲間に対し無礼もいいところだ。
「マスター、俺は席を外そうか?」
清十狼さんがすまなそうに僕に提案する。
「いえ帰りましょう。彼らは少々礼儀がなっていない。無礼者の言葉など聞くに値しませんよ」
「貴様。若が態々足を運んだんだぞ。それを話も聞かずに帰るつもりか?」
赤スーツの後ろに控える黒服の女性が瞳を怒りに燃やしながら僕を睨む。
「態々、足を運んだのは僕らも同じです。
というより僕らを呼びつけておいて仲間をスパイ呼ばわり。それが無礼じゃないと本気でお考えなら小学生からもう一度礼儀について学び直した方がよろしいかと」
「き、貴様ぁぁ!!」
黒服の女性は激高し懐に手を入れる。
馬鹿野郎が! 殺気など出しやがって! ここはあの凶悪精霊のテリトリーだぞ。
「よせ! ヘンゼル!」
巨大な鎌の刃が黒服の女性の喉先で止まっていた。
女性の背後には巨大な鎌を持つブラウン色の半ズボン、白の上着を着た7~8歳の金髪の少年が立っている。
その顔の半分は人の狂喜を模った白色の仮面で覆われており、そのいかにも子憎たらしい表情と相まってより邪悪さを助長させる。
「なんでだ? マスター」
「いいから、持ち場に戻れ!」
「ちぇっ! わ~ったよ。
だが今度マスターに喧嘩売ったら問答無用で殺すぞ?」
余計な殺し文句を吐きスウーと姿を消す。
喉元に突きつけられていた鎌がなくなり、腰が抜けたのか床に座りこむ女性。
「京。悪かった。俺からの説明が不十分だったんだ。許してほしい」
テツさんが僕に頭を下げる。テツさんに謝罪されるのはお門違いだ。
《坂本京》という偽名で僕を説明してくれたようだし、何よりテツさんには水咲さんの件で恩がある。顔はできる限り潰したくはない。だが――。
「テツさんの面子もあります。話は聞きます。だけど話だけです。
僕らはいかなる頼みも聞き入れません。それでもよろしいですね?」
「……それで構わない。今は話だけでも聞いてくれ」
テツさんは渋い顔をしながらも頷く。
清十狼さんと水咲さんを促して僕もソファーに座る。
席を勧められてはいないが不愉快な奴らにそこまで気を使う必要を僕は感じない。
「不破、カレン、テメエら、まず坊主に謝んな。
後ろで腰を抜かしている姉ちゃんもだ。
だいたい、不破ぁ、無礼だと真実言われたくれぇで人様に簡単にハジキ向けるたぁ、テメエ、部下にどんな教育してやがる?」
初老の男の言葉に赤スーツが右手を顔に当てて少しの間呻いていたが、テーブルに額が付くほど頭を垂れた。
「すまん。不磨商事に以前、数十人単位でうちの若いもんが刎ねられてな。それ以来神経過敏になってんだ。
後ろの部下の件は申し開きのしようもねぇ。だが彼奴も大切な部下だ。許してくれとは言わねぇが、見逃してくれねぇか?」
丸腰の僕らに銃を向けようとした部下の女性は好きにはなれないが、この赤スーツは仲間を庇おうとした点で少しだけ見直した。
僕に銃を向けようとした女性は頭を深く垂れていた。もういい。謝罪してほしいわけではない。
「……それよりお話を伺いましょう」
カレンという女性も僕に頭を下げようとしたがそれを遮って話を促す。
カレンさんの背後に控えている配下の人達がギョロッと僕を睨むがもうこの人達とはこれっきりだ。構いはしない。
「儂は御堂泰三。此奴らが不破晃とカレン・イングリッドだ。よろしく頼む」
「坂本京です。こちらが佐々木清十狼と榛原水咲です。
どうぞよろしく。
では早速ご用件をお教えください」
「不磨商事の件だ。
テツから坊主は不磨商事を潰すつもりだと聞いたがそれは本当か?」
「あいつ等は僕の仲間に喧嘩を売った。完膚なきまでに叩き潰しますよ」
不磨商事を潰すと答えたとき御堂さんを初め、カレンさん、不破さんの顔色が変わった。
「キミ達の兵隊の数は? 百人か? それとも千人か? そのうち魔術師は何人いる?」
身を乗り出すカレンさん。
「今のところ僕を入れて11人ですかね。全員魔術師です」
「じゅ、11……? 冗談もほどほどにしたまえ! 不磨商事には何人の兵隊がいると思ってる?」
すでに思金神から報告は受けている。
不磨商事として戦力として算定できるのは実はさほど多くはない。一応兵隊らしき者は2500人近くいるが全てがLV2~5の雑魚ばかりで僕らの相手にはならない。
一応、戦力に換算しうるのが不磨商事の魔術師でありおよそ243人いる。一組織に魔術師が243人もいること自体がそもそも異常事態だが、このうち野良魔術師が204人もいるのはもっと異常だ。ここでいう野良魔術師とは魔術師としての宣誓は終了しているが魔術審議会への登録をしていない魔術師をいう。
通常魔術を使えるならば魔術審議会への登録は必ずする。魔術師として登録すれば魔術審議会が開催する魔術訓練講習等を受講できるし、専門の図書館を利用できる。さらには就職等も圧倒的に有利だからだ。
思金神は不磨商事の専務馬場室戸には他者に魔術を与える術があると早くから演算予測していた。
つまり僕に似た能力であり注意はすべきとは思うのだが思金神はたいしたことはないとの一点張りだ。
思金神の事だ。すでに馬場室戸のステータスを解析済なのだろう。
「使い物にならない雑魚が2189人。多少使えそうな魔術師が243人ですかね」
「使い物にならない雑魚? 重火器を持っていればそれだけで人は死ぬ。それはキミら魔術師の驕りというものだ!」
この人はやはり魔術師という存在の欠片すら理解しちゃいない。
重火器? そんなもので死ぬような温い奴らならなぜ数的にも装備の面でも圧倒的に優位だったあんたらは不磨商事に敗退した? 答は簡単。馬場室戸が魔術師だったからだ。
この人達の魔術師に対する認識では不磨商事をこの東京から排除しても第二、第三の不磨商事の出現を許す。
不磨商事のような雑魚を一々相手にするのも面倒だ。この際にこの人達の認識を改めてもらおう。
「驕りかどうか今から実際に証明して御覧に入れますよ」
「証明する? どうやってだ?」
不破さんが胡散臭そうに僕を眺め見る。この如何にも侮った様子は僕らが大した勢力ではないと判断したからだろう。
「ではさきほど銃を抜こうとしたお姉さん。僕の眉間に弾丸を撃ち込んでください」
「なっ! キミは何を言って――」
カレンさんが勢いよく席を立ち上がる。
「ヘンゼル。これは余興だ。手を出すなよ」
《あいよ~。マスター》
天井から子供の声が聞こえ、お姉さんは血の気の引いた顔でビクッと身を竦める。
「おい、正気か? 此奴の持っているのはモデルガンじゃない。本物のチャカだぞ」
だからその認識を治そうってんだろ? 早くしろよ!
「不破さん。京の指示に従ってください」
「テツ! テメエ!」
不破さんはテツさんに射殺すような視線を向ける。
「不破。部下に坊主を打つように命じろ! 儂もその証拠とやらを見てみたい」
「テツだけじゃなく御堂のおっさんまで! あんたらどうしちまったんだ?」
「カレンの言う通り、常識では11人で2500人もの兵隊を持つ不磨商事を潰すのは不可能。
俺達としては是非ここでその常識を覆す証拠を見たいところだろ?」
「~~っ!! 勝手にしろ。どうなっても知らんぞ!
八重。その餓鬼の眉間に鉛を叩きこんでやれ!」
「で、ですが若……」
おそらくこの女性は銃を他者に向けたことはあっても引き金を引いたことはない。
「隆二。お前がやれ」
八重さんでは撃てないと判断した御堂さんが後ろの顔中に傷がある熊の様な黒服男に僕を撃つように命じる。
「了解しやした」
隆二さんは川を流れる流水のごとく滑らかな最小限の動きで僕に向けて銃口を向け発射する。
カチンッ!
無意識に戦闘状態への変更のスイッチが入り周囲が数千倍~数万倍コマ送りの状態となる。
銃口から発射された弾丸は亀のようにゆっくりと僕の眉間に向かって進んでくる。ようやく僕が手を伸ばして届く距離に到着した弾丸を僕は親指と人差し指で掴む。
途端戦闘状態が解除され時間は通常の時を刻みだす。今の僕の変化は最近戦闘状態になると無意識に発動する。これは凡そLV100を超えてから見られるようになった。
あの限界にまで引き延ばされた体感時間が本来の感覚なのだろう。高レベルでの生活に慣れ、戦闘と非戦闘とのオンオフを使い分けができるようになったのだと思われる。確かにあんな状態で通常の生活などできるはずもない。
「これで信じていただけましたか?」
指で摘まんでいた弾丸をテーブルの上にコトリッと置く。
銃弾が掴まれても銃を撃った本人である隆二さんは眉を顰めすらしなかった。 僕が掴むのを予想していたのか? この人もバケモノだ。この頃会う人、全てこの手の人ばかりだ。
対して不破さんとカレンさんは顔を引き攣らせて僕を見ている。このリアクションは人間ぽくて安心する。
「これ見ると改めて実感するけど私達完璧に人間辞めちゃったんだよね~」
「ああ、銃弾を掴むなどどこかのヒーロー漫画の主人公じゃあるまいし、数日前の俺は絶対に信じねぇよ。
どうにもマスターと関わると俺の固定概念がガラガラと崩れていけねぇ」
今まで無言で僕らのやり取りを見守っていた水咲さんと清十狼さんがゲンナリして顔を見合わせている。
「御理解いただけましたか?
魔術師にとって2500人は頭数には入りません。不磨商事で僕らの敵として成り立つのは234名の魔術師のみ。
より正確に言えば39人の魔術師審議会登録魔術師のみです。
あとの有象無象は魔術的付与がされた武器でも所持すれば貴方達非魔術師にも対処が可能です」
「「「…………」」」
手を忙しなく動かしているカレンさんに、右手で真っ青な顔を覆っている不破さん。
対して、くくくっと御堂さんは口から笑みをこぼしていた。
「で、京は不磨の下種共をいつ東京から排除するつもりだ?」
「僕らもやることがありますからね。2~3日中には不磨商事は永久にこの世界から消滅します。
前にテツさんにも言いましたが、最も恐ろしい奴に不磨商事は目を付けられました。存在するのは不可能です」
《そうさ。あの柱は怖いぜぇ~~》
天井から声が降ってくる。その声は震えており心底実感がこもっている。ヘンゼルの奴、思金神にちょっかいを出して、反撃でも食らったか……。
「恐ろしい奴ね。俺は銃弾を軽々掴むあんたの方がよほど恐ろしいがな。
まあいい。俺達もあんた等の実力は把握した。
御堂のおっさん。笑ってねぇで話を進めてくれ」
まだ笑っている御堂さんを不破さんが促す。
「坊主。これからの話しは不磨商事が潰れた後の残存勢力の統括の話しだ。
不磨商事は強大だ。消滅すればこの東京はカオスと化す。それをまとめ上げる存在が必要だ」
僕が呼ばれた理由がわかった。要は御堂さん達が東京の裏社会をまとめるのを認めろということだろう。
「僕らは魔術結社であり裏社会の住人じゃない。その辺の調整は全て貴方達に任せますよ」
「ほう。不磨商事を潰すだけでこの東京の地には興味がないと?」
御堂さんが笑みを消す。
「はあ。それは僕らの目的とは異なりますからね」
僕の言葉に天井を見上げ、髪を摘みながら考え込む御堂さん。しばらくして、僕に視線を戻す。その顔は今までで一番恐ろしく厳粛した顔つきだった。
「お前の目的とやらを儂らにも教えてくれねぇか?」
僕の目的は仲間以外に極力教えるつもりはない。
それはこの世のすべてを手にすると同義だから。そのためには多くの敵を作るはずだから。
「申し訳ありませんが僕には貴方に教える意義を感じられません。丁重にお断りさせていただきます」
「どうしてもか?」
「はい」
御堂さんは暫くの間、僕に射すような視線を向けていたが、ため息を吐き口の端を上げる。
「まあそういうなよ。楠の小倅」
テツさんを見ると驚きで目を見開いている。テツさんが話たわけではないらしい。とすると僕を調べたか。
「御堂さん! 約束が違います! 此奴のことは一切詮索しないと誓っていただいたはずです」
テツさんが怒りの色を表しながら、御堂さんにくってかかる。
「悪いなぁ。テツ。別に調べちゃいねぇさ。利徳とは幼い頃からの付き合いだ。この部屋に入って来たときから楠恭弥について熟知していた」
利徳は僕の父だ。この人は楠家の縁者のようだ。運が良いのか悪いのか。
それにしてもテツさんは他者の偽りを読む力がある。それを今まで微塵も感じさせないとは……この御堂という御仁も十分普通ではない。
「なら僕の事情についても大方把握しておられるはずだ。僕が一々説明しなくても推測はつくはずです」
異世界生活の数日間は明神高校を首席で卒業し、沙耶と伴に安穏に暮らす事が目的だった。しかし倖月家の糞共が僕らを見逃す保障はどこにもないんだ。
倖月家の与えられたルールを走るだけでは駄目だ。次期当主の倖月陸人が倖月家のトップに立ったとき僕らは虫のように潰される。
そうならないためには力が必要だ。お金が必要だ。そう誰にも負けないだけの――。
「それは修羅の道ぞ!?」
口角を吊り上げ御堂さんは顔を狂喜に歪ませた。
「承知の上です」
暫し御堂さんは僕の顔を面白そうに眺めていたが、膝をパンッと両手で叩く。
「事情は儂が把握した。
恭弥は儂ら裏の世界などに興味はねぇ。不磨商事のように麻薬、人身売買、違法カジノ、売春等でこの東京を無茶苦茶にすることもねぇし、莫大な金銭を要求してくることもねぇ。儂が保障する」
カレンさんと不破さんは少しの間狐につままれたような状態でいたが、御堂さんの言葉に偽りなしと判断したのかほっと胸を撫で下ろしていた。
その後、御堂さん達は不磨商事が消滅後の東京の勢力について話があるようなので僕らは御暇することにした。
「それでは僕らはこれで失礼します」
「おう。恭弥にはまだ頼みたい事がある。不磨のボンクラを潰したらもう一度この場に来い。日時は儂が指定する」
父さんの知り合いともなると無下にもできない。面倒な人に目を付けられたものだ。
「面倒事は御免ですよ」
「お前らにしては面倒のうちにもはいらねぇだろうさ」
無言で僕は会釈をして部屋を出る。テツさんからは何度も謝罪と感謝の両面から言葉を掛けられたが、テツさんに対する恩が返せたならそれでいい。
テツさんと話しがある水咲さんを残し、僕と清十狼さんは礼をして事務所をでて屋敷へ転移した。
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