火力発電が人命を奪う?中国人が語る”反原発活動”の矛盾点 (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

■火力発電が環境を破壊する

 上述のような健康面の被害に加え、火力発電所とは石炭、石油、天然ガスなど天然資源を消費して電力を生み出す方式のため、長期的な視点から見れば重大な環境破壊につながります。さらに少量の資源で発電可能な原発に比べ、大量の燃料消費を必要とするため、資源を輸入に頼らざるをえない日本にとって大きな経済負担となります。このように火力発電所が生み出す問題は、恒常的な視点で見るとむしろ原発よりも多いといえるでしょう。

 日本の左派・リベラル層は東日本大震災時の福島第一原発事故などを例に挙げ、原発の危険性を訴え続けます。しかし燃料の爆発による火災、ダムの決壊による水害など、自然災害時に大規模事故を引き起こす可能性は、すべての発電所にあてはまります。

 福島第一原発事故以降、日本各地に放射線被害によるガン患者が増加したなどといった報告は今のところ存在しません。SNSを閲覧すると、原発反対派の人々は放射線の危険性を訴えると同時に、原発稼働を推進する現安倍晋三政権批判に結びつけることが多々あります。僕は左派・リベラル層がこぞって原発に反対しているのは、科学的根拠によるものではなく、現政権批判の口実にしやすいネタであるというのが真相だと思います。

 現時点で原発は、もっとも安価で電力を生み出せるコストパフォーマンスのよいシステムです。僕は原発反対派の人々には、まずは発電に関する実現可能な代替案を提出してもらいたいと思います。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)など。

(構成/亀谷哲弘)

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