住宅ローン、借り換えの好機 10年固定で0.35%も 金利引き下げ交渉も要検討
住宅ローンを返済中の人に見直しの好機が到来している。住宅金融支援機構の「フラット35」が過去最低金利を付けたほか、メガバンクなど民間銀行の住宅ローン金利も大幅に低下している。借り換え手続きの手間さえ惜しまなければ、返済総額を減らしたり、毎月の返済額を変えずに期間を短くしたりできる可能性がある。同じ金融機関で金利引き下げの交渉をする手もある。賢くローンを見直すためにも、必要な手続きや費用を押さえておきたい。
住宅ローンを返済中の人に見直しの好機が到来している。住宅金融支援機構の「フラット35」が過去最低金利を付けたほか、メガバンクなど民間銀行の住宅ローン金利も大幅に低下している。借り換え手続きの手間さえ惜しまなければ、返済総額を減らしたり、毎月の返済額を変えずに期間を短くしたりできる可能性がある。同じ金融機関で金利引き下げの交渉をする手もある。賢くローンを見直すためにも、必要な手続きや費用を押さえておきたい。
借り換えとは、いまの借入先とは別の銀行でローンを組んで、元のローンを完済する方法のこと。元のローンより低い金利で借り換えれば、金利が下がった分だけ総返済額を減らすことができる。
大手銀行は8月の住宅ローンの適用金利をこぞって過去最低水準に引き下げた。例えば10年固定型金利の場合、三菱東京UFJ銀行が0.50%、三井住友信託銀行では0.35%と破格の水準だ。長期固定型住宅ローンの「フラット35」の最低金利も0.9%まで下がっている。いずれも日銀のマイナス金利政策の導入からの半年間で一段と低下した。この結果、2~3年前など比較的最近ローンを借りた人でも、借り換えのメリットを出しやすくなっている。
■ネット手続きも
借り換えには複数の必要な手続きがある。(表A)最初にすべきことは借換先の金融機関への申し込みだ。最寄りの銀行の窓口などで現在の借入状況を伝えれば、詳細な試算を出して相談に乗ってくれる。窓口が混み合っている場合もあるため、あらかじめ予約しておくのが無難だろう。
試算などの結果、希望通りに借り換えできる見通しとなれば、いよいよ正式な申し込みだ。その後、審査を経て融資が承認されるが、この手続きには最短でも1週間はかかるとみておいた方がよい。
融資の承認が下りたら、今度はこれまで住宅ローンを借りていた銀行に新しい銀行で借り換える旨を通知し、元のローンを完済する手続きをする必要がある。銀行によっては通知から完済までに2週間程度かかる場合がある。
これらの一連の手続きを終えて、初めて新たに借り換えた先でのローンが実行される。最近はネット上で手続きできる銀行も増え、平日昼間に何度も銀行の窓口に足を運ばなくて済むようになってきた。
借り換えにはローンの保証料などの諸費用が発生する(表B)。例えば残高2000万円のローンを返済期間25年で借り換えた場合では約55万円かかる。ただし元のローンを借りる時に一括で保証料を支払っている場合、未経過分の保証料は戻ってくる。借り換えにかかる諸費用を節約したい人は、借換先をソニー銀行など保証料がかからない銀行にするのも一手だ。一方、こうした手間や諸費用をそれほどかけずにローンを見直せる方法もある。今借りている銀行に金利の割り引きをお願いする「金利交渉」だ。同じ銀行でそのまま借り入れを続けるため、諸費用が大幅に抑えられるほか、そろえる書類なども少なくて済む。
■他行の試算を持参
交渉が成功するかは銀行次第だが、「他行の借り換え試算などを持参し、少しでも金利を低くしてくれるなら継続したいと丁寧に交渉すれば、応じてくれる銀行が増えている」とファイナンシャル・プランナーの深田晶恵氏は言う。銀行側にしてみれば、厳しい競争下で獲得した顧客をみすみす他行に奪われるのは避けたいためだ。
金利交渉の場合、どの程度の金利引き下げが実現できるのか。深田氏は「交渉の落としどころは新規のローン金利のプラス0.3%程度」と指摘する。0.3%分が借り換えた場合の諸費用に相当するコストと考えれば、借り換えで諸費用を支払うか、金利分で支払うかの違いになる。
多くの人が20~30年かけて返済する住宅ローンは、一生の資金計画を左右する大事な問題。低金利の今のうちに、返済期間を短縮したり、低い金利で固定したりしておけば老後の生活に向けた安心にもつなげることができる。(浜美佐)
[日本経済新聞朝刊2016年8月20日付]
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