7月26日



 726日は、今年2回目の見学会となりました。
暑い最中、多くの方に来訪いただきました。

ダイズ区画を見ながら、担当者から説明を受ける様子


















トウモロコシ区画の説明を受ける様子


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前回に引き続きトウモロコシの区画から、トウモロコシの主要害虫であるアワノメイガの発生状況をご報告します。前回は作物の茎にアワノメイガが入り込んだ様子(虫食い穴)の写真を紹介しましたが、今回はアワノメイガ幼虫そのものが見つかりましたのでご紹介します。下の写真はいずれも、トウモロコシ展示区画の周辺で栽培している、Non-GMトウモロコシの穂で見つかったアワノメイガの幼虫です。




アワノメイガの幼虫は小さいですが、作物に甚大な被害を与えます。茎の中や穂を食い荒らす事で作物の生長を阻害し、実も食べてしまいますので、作物収量の減少原因になります。また、実の虫食い痕にカビが発生し、収穫物にカビ毒が混入するリスクも増大させます。またアワノメイガの幼虫は、Non-GMウモロコシの茎や実の中に入り込むと、外から殺虫剤を散布しても効果が限られるため、被害が甚大になります。一方、害虫抵抗性のGMトウモロコシを食べたアワノメイガの幼虫は、Btタンパク質によって消化管にダメージを与えられ餓死してしまいます。そのため、害虫抵抗性トウモロコシでは、アワノメイガ防除のための農薬散布を省きながらも、作物の被害を最小限に抑える事ができます。

参考URL
(1) バイテク情報普及会:基本情報 「GMの安全性」
(2) NPO法人くらしとバイオプラザ21:「くらしとバイオニュース」

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以下は、26日の見学会の参加者から頂いた感想です。ご参加頂いた方、感想を寄せてくださった方、有難う御座いました!


 食品原料関係を扱っているので、大変勉強になりました。遺伝子組換え品の安全性及び高機能性について確認できた事が良かったです。
 NonGMGMOの作物を比較して見るのが初めての体験だったので、とても分かりやすく勉強になった。今後、日本の米などの作物もGMOに変わっていくのではないかと感じた。
 心配された雨に降られず、大変有意義な見学会でした。除草剤耐性の大豆の除草剤に対する効果を充分実感することができた。このような見学会がGM作物反対者に対し効果的な啓蒙の機会を提供していて大変貴重です。
 モンサント社の圃場見学はだいぶ前に一度させて頂いたことがあります。その時はまさに圃場見学だけでしたが、今回はほ場見学の前に座学として遺伝子組換え作物に関する講演もありました。遺伝子組換え作物に係る世界の最新状況がわかりとても有意義なプレゼンであっただけでなく、参加者の方から様々な質問が活発になされたのもよかったと思います。

 ほ場見学では、畑にも通路にも雑草が全くなく綺麗に管理されているのに感心しました。見せていただいた遺伝子組換え作物は除草剤耐性ダイズと害虫抵抗性トウモロコシでしたが、トウモロコシの倒伏防止のやり方が大変参考になりました。

 スライドであったようにGMの技術は世界的な課題を解決するのに重要な役割を担っていると思います。
技術だけでなく科学的コミュニケーションをとっていくことも大事だと思います。日本のGMに対する社会的認知は遅れているかと思います。

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7月22日


イズ区画では、GMダイズ(散布区)にラウンドアップ除草剤を散布してから10日が経過しました。
以下の2つの写真(無除草区、散布区)を比較すると、ラウンドアップ除草剤を散布した区画では雑草だけが枯れ、大豆は影響を受けていない様子が分かります。今後は、さらに効果がはっきりと出てきます。

GMダイズ無除草区(下写真):雑草が生い茂り、ダイズよりも背が高くなりました。このため、ダイズがどこにあるかの確認も難しくなっています。


GMダイズ散布区(下写真):雑草だけが枯れ始め、その中でGMダイズがラウンドアップ除草剤の影響を受けずに生育しています。





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トウモロコシ区画では、主要害虫であるアワノメイガの発生時期に入ってきました。
下の写真の赤丸で囲んだところをご覧下さい。Non-GMトウモロコシでは、アワノメイガの幼虫が茎の中へ食い入った穴や、アワノメイガの幼虫のフン(黄色いワタの様なもの)が確認できます。
アワノメイガの食害状況(左右ともにNon-GMトウモロコシ無防除)



















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なお、722日(月)からは、見学会が始まりました!
今年は、参加者からいただいた感想を、このブログで掲載して行きます。以下は22日の見学会の参加者から頂いた感想です。ご参加頂いた方、感想を寄せてくださった方、有難う御座いました!

モンサント社の農業に関する基本理念(食糧増産等)と、それを実現するための事業戦略、開発戦略を理解するために参加させていただきました。圃場で新たな開発モデルによる成果を確認でき、有意義な見学会でした。
 はっきり比較できる時期にも見てみたかった(トウモロコシ)。
手入れされた畑しか見たことがなかったので、雑草の多さに驚いた。説明も知識のない私にも分かりやすく、より深く知りたいと思った。ありがとうございました。
長靴が黒かったので足が特に暑かった。
本日は見学日和でした。遺伝子組換えという言葉や今までの予備知識を補足できた。農家さんの除草作業の大変さも少し感じられた。
説明が分かり易く、GM作物に対するアレルギーは若干減った。
日本でもっとGM作物に対する理解が進むように、今回のようなイベントを増やしていければ良いと思います。
圃場でA、Bの比較を拝見し効果がよくわかりました。RoundUpの命名の原義を教えて下さい。

(ブログの原稿執筆時点で寄せられたアンケートを掲載しています。今後、新たに到着した場合は、適宜追加して参ります)

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7月12日 除草剤散布 (ダイズ区画)


GMダイズ区にラウンドアップ除草剤(グリホサートイソプロピルアミン液剤)を、背負式の動力噴霧機で散布しました(注)。

(注)生育中のダイズにラウンドアップ除草剤を直接散布する使用方法は、日本では農薬登録がなされていません。今回はGMダイズを用いた試験栽培ですので、この方法を用いています。






ラウンドアップは非選択性の除草剤ですので、数日たてばGMダイズを除く全ての雑草が枯れ始めます。一方でGMダイズ(ラウンドアップ・レディー・ダイズ)はこの影響を受けませんので、ダイズのみ枯れることなく、今後も生育してゆきます。
ラウンドアップ除草剤の有効成分であるグリホサートは、植物の生長に必要なアミノ酸の合成をする代謝経路(シキミ酸経路)を特異的に阻害し、植物の生長を停止させ枯死させます。この代謝経路は植物に独自のもので、哺乳動物や他の有用生物にはなく、植物にだけ作用するため、安全使用上の注意に従って使用すれば人や家畜に重篤な健康障害を起こさないと考えられています。また、雑草にかからずに土に落ちた成分は、処理後1時間以内のごく短時間で土の粒子に吸着し、その後微生物のエサとなって自然物に分解。約321日で半減、やがて消失します。この為、散布後も土を悪くする心配はいりません。

なお、今回のラウンドアップ散布に要した時間は、120㎡の畑に対して、一人で約15分でした(薬剤、機械の準備除く)。なお、前回、前々回に紹介したNon-GMダイズ区画における手作業の中耕除草は、約50㎡の畑の除草に要したのは一人で110分でしたので、120㎡の畑に換算すると一人で264分です。
15分と264分、米国で登録され使用されている、ラウンドアップ・レディー・ダイズとラウンドアップを組み合わせて用いた除草によって、いかに省力化が出来るのかがお分かり頂けると思います。

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7月8日


関東地域でも梅雨が空けました。急に暑さが増し、熱中症に気をつけないといけない時期になりました。

トウモロコシの区画では、GM, Non-GMともに、作物を支える柱を立てました。通常のトウモロコシ栽培で支柱を使う事がありませんが、これは展示用の作物ですので、「大雨と突風のせいで、全て倒れてダメになってしまいました。このためお見せするものがありません、ごめんなさい」という事態を避けるためも、毎年、支柱を立てて栽培しています。


作業の様子












Non-GMトウモロコシの区画












GMトウモロコシの区画












ダイズの区画は、Non-GMダイズについては、手作業での除草を続けています。一方でGMダイズの区画は、雑草が生えるがままにしていますので、下の写真のように、ダイズ畑なのか雑草畑なのか分からない状況になってきました。来週、このGMダイズ区画の半分(散布区)にラウンドアップ除草剤を散布する予定ですので、再来週辺りから、無除草区、散布区の違いを見ていただけると思います。

Non-GMダイズ(エンレイ):手取り除草を継続しています。














GMダイズ(無除草区、散布区):いずれも、除草せずに放置してあります。

















さて、前回は「農業における水資源の重要性」についてお話しました。
水不足(干ばつ)が原因で食糧生産が不安定になるのは、世界中どこでも同じです。20062007年にオーストラリアを襲った大干ばつ、2012年にアメリカを襲った高温と干ばつは、穀物の国際価格を急上昇させる要因になりました(1)水資源の不安定さは、食料生産の不安定さに直結します。


中でもアフリカ諸国は、頻繁に起こる干ばつによって食糧生産が安定しないため、政情の不安定さと相まって、飢餓や難民が発生する大きな原因となっています(2)

人間には、干ばつが起こらない様に「天候を変える」ことはできませんが、「干ばつ時に収穫量の減少を食い止める」事はできます。灌漑(川や湖から水を引く事)もそうですが、干ばつに強い作物品種の開発も必要です。

モンサント・カンパニーが遺伝子組み換え技術を用いて乾燥耐性トウモロコシを開発し、2013年から米国で商品化した事は前回お話しました。この乾燥耐性トウモロコシに関する技術は、アフリカ農業技術基金(AATF)が主導し、国際トウモロコシ・コムギ改良センター(CIMMYT)、ケニヤ、モザンビーク、南アフリカ、タンザニア、ウガンダの研究機関、モンサント・カンパニーなどが参加するアフリカ向け水有効利用トウモロコシ(Water Efficient Maize for Africa, WEMA)プロジェクトへ無償提供されています(3)

アフリカでは3億人がトウモロコシを主食とし、度々発生する干ばつによって飢餓や貧困が発生していますが、この乾燥耐性トウモロコシ技術は、アフリカにおけるトウモロコシの収穫量を改善し、飢餓や貧困を減少させる重要な技術と位置付けられます(4)。

(1) 農林水産省 穀物等の国際価格の動向 (2013712日現在)      
(2) 外務省「わかる!国際情勢」
(3) WEMAプロジェクトパートナー(英語)
(4) アフリカ農業技術基金(AATF WEMAプロジェクト(英語)

なおWEMAプロジェクトについては、中心メンバーである弊社のDr. Natalie DiNicola(ナタリー・ディニコラ博士)を招き、200910月にセミナーを開催いたしました。その際の資料は、以下からご覧いただけます。

日本モンサントのセミナー情報
http://www.monsanto.co.jp/news/seminar/index.html

(おまけ)


農場の隔離圃場のフェンスに、タマムシが留まっているのを見つけました。タマムシといえば、少年が夏休みに昆虫採集をする際、羨望の的となった昆虫です(注:茨城育ちの筆者に限ったものかもしれません)。筆者もタマムシを間近で見たのは約20年前の事です。
















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