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【社会】

もうすぐ新学期 学校つらい子へ「大丈夫」 悩み相談を電話やチャットで

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 新学期を前に、通学がつらい子どもに居場所を無料開放する動きが広がっている。夏休みの終盤は気持ちが落ち込みやすい時期で、子どもの自殺が一年で最も増える傾向にある。「安心できる居場所は学校以外にもあることを伝え、命を救いたい」。フリースクールの関係者らの思いが、取り組みにこもっている。 (小林由比、柏崎智子)

 昨年夏、内閣府が発表した集計で、多くの地域で新学期が始まる九月一日が一年で最も子どもの自殺が多いことが判明。神奈川県鎌倉市の図書館司書が、ツイッターで「学校が死ぬほどつらい子は図書館へいらっしゃい」とつぶやき、共感を広げた。

 NPO法人「フリースクール全国ネットワーク」(東京都北区)によると、夏休みは、学校が苦手な子どもが「新学期から学校に行く」と周囲に伝えたり、保護者が登校を期待したりする時期。しかし、九月が近づくと、子どもが「行けない」「行きたくない」と苦しむことがある。

 今夏、ネットワークなどが呼び掛けた取り組みが「学校がつらくてもココがあるよ!プロジェクト」。東京や千葉、埼玉など首都圏のほか、福島市や長崎市など十数カ所の団体が今月下旬から、施設開放や相談を順次、始めている。

 都内などでフリースクールを運営するNPO法人「東京シューレ」は二十九日から施設を無料開放し、スタッフが話を聞くなどして子どもの気持ちに寄り添う。スクールに通う子どもが「がまんしないで助けを求めて」「自分をいたわって」などとメッセージを伝える動画も作り、ネットワークのホームページで公開している。

 ネットワークの松島裕之事務局長は「不登校の子どもたちとかかわるフリースクールが、駆け込み寺のような存在になりたい」と話す。

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 全国の市民団体が実施する子ども専用の電話相談「チャイルドライン」も二十九日から、インターネットのチャット相談を初めて開設。NPO法人「チャイルドライン支援センター」(新宿区)によると、これまでは電話相談だけだったが、「家族などに聞かれたくない」という子どもからの要望が多かった。

 三月に行ったチャット相談の試験実施では、電話をかけてきても無言になりがちな従来の方式より、チャットの方がやりとりが成立する割合が高かった。子どもが何度も文章を書き直しながら、気持ちを整理する様子も感じられたという。

 

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