韓国大統領が20日、韓国映画「仁川上陸作戦」(7月27日公開)を観覧した。映画の人気がやや落ちていたころだったので、その意図が気になったが、大統領府(青瓦台)はこう説明した。「国民が安全保障上の問題をめぐり分裂せず、団結すべきだという信念を反映したもの」だと。大統領は8月15日の光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)の演説でも、信念を見せた。大きな論争を呼んでいる米最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の韓国配備について「政争の対象になってはならない」と強調した。大統領は映画を見て、その信念をあらためて確認したようだ。
感想は人それぞれ違う。私は映画を見ながら「続編を作るならどんな内容になるだろうか」と考えた。6・25戦争(朝鮮戦争)の仁川上陸作戦が成功した後には、北への進攻と後退、攻防、こう着と続く長い話がある。続編では、主人公も違った風に描写されるだろう。人民志願軍などと呼ばれた中国共産党軍の介入の可能性を無視するという判断ミスは、マッカーサーの軍人人生で最大の失策となった。マッカーサーの評伝を著したウィリアム・マンチェスターは「数多くの人がその代償を命で払った」と書いた。もちろん、そのほとんどは韓国人だった。
仁川上陸作戦を成功させたことだけでも、マッカーサーは「韓国の救世主」という評価に値する。だが、そうだとしても失策までもがなかったことにはならない。映画の描写通り、マッカーサーは緻密さを備えたベテラン軍人だった。なのに、なぜ判断ミスをしたのだろうか。朝鮮戦争の歴史書を読みながら答えを探したが、なかなか見つけられない。ほとんどは「勝利に酔っていたせいで現実を見られなかった」などと書いている程度だ。米国のホワイトハウスも同じように中国軍の介入を読み誤ったが、マッカーサーひとりが責任をなすり付けられたとの主張もある。