「マンガでストーリーを作る必要はない。生きたキャラクターさえいれば、彼らが勝手に動きまわって物語を作ってくれる」。ある偉い漫画家はそのように語ったとか。
今回紹介する『野獣先生のメイドさん』は、そんな言葉を思い出させる奇人変人の見本市のような四コマ漫画です。まともな主要人物は、主人公の小森みみ子と友人の潤ちゃんくらいでしょうか。クセの強い登場人物たちをちょっと紹介しましょう。
『野獣先生のメイドさん』登場人物紹介
大神有人(おおかみあると)
みみ子のクラスメイト。大柄で強面、金髪オールバックで顔には謎の大きな傷。黒塗りのリムジンで登下校し、「極道の息子」「クマを素手で倒した」など様々な噂が囁かれるも、その正体はなんと中学生の頃から複数のペンネームで精力的に活動する売れっ子作家。
炊事のできるメイドを募集しており、みみ子を住み込みで雇用する。
橘凪雪(たちばななぎゆき)
みみ子と同じ学校に通う美少年。小学生の時に大神家に引き取られ、使用人をしている。有人にぞっこんであり、有人に近付くものは女性であろうと動物であろうと容赦しない。料理の腕が壊滅的で、有人が新たにメイドを募集する大きな要因となった。
鬼島かれん
意中の「王子様」を愛し過ぎて常軌を逸した行動を取り続ける、清楚風元ヤン。
物理的な破壊力が高く、他人に有無を言わせない強引さでアプローチを繰り返して行く。
雛田渉
有人と昔馴染みの書店員。度を超えた近眼で眼鏡を掛けていても視界不良。小さくて可愛いものに目がなく、みみ子ももれなくそのターゲットとなる。有人が現在のような姿になる前を知っている貴重な人物であり、その驚くべき前身をみみ子に披露してくれる。
影村さん
有人専属の運転手。優しい老紳士だが、大型トラック、小型船舶、ヘリコプターにセスナ、挙げ句の果てには戦車まで運転できるという謎の経歴の持ち主。
このような破天荒な面々によって構成されている本作。
みみ子が有人に対して徐々に抱いていくほのかな想いの淡さもあります。が、それを風速100mで吹っ飛ばしていくような濃厚なキャラクターたちの掛け合いが素晴らしいです。
言葉選びの妙もあって、ところどころで声を出して笑えます。果たして、みみ子と有人の関係性はどうなって行くのか。
楽しい気分になりたい時、手に取ってみて下さい。
文:マンガサロン『トリガー』兎来栄寿
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