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【芸能・社会】

直木賞作家・黒川博行さん 自分の原作映画に出る

2016年8月28日 紙面から

ポスターの前で映画をPRする黒川さん=大阪市内で

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 女優大竹しのぶ(59)が主演し、希代の悪女を演じる映画「後妻業の女」(鶴橋康夫監督)が27日、公開された。映画の原作「後妻業」の作者で直木賞作家・黒川博行さん(67)がこのほど、大阪市内で本紙のインタビューに応じた。黒川さんは、男を次々とだます“後妻業の女”を演じた大竹の悪女っぷりを「ハマリ役。大竹しのぶさんしかおらん」と絶賛。また、自身が同映画に出演していることも明かした。

 大阪の結婚相談所を舞台に、高齢の資産家男性をだましては後妻に納まる小夜子が主人公の物語。出演者には関西出身者が多く、全編にわたり大阪弁が飛び交う。大竹が共演の尾野真千子(34)と取っ組み合いでビンタしたり、笑福亭鶴瓶(64)とのベッドシーンに臨んだりと熱演を見せる。

 黒川さんは映画を年間150本見るという自称“映画フェチ”。主演が大竹と聞いたときに、ホラー映画「黒い家」(1999年)で特殊な人格を持つサイコパス役の大竹の怪演を思い出し「これはいい映画になる」と確信。「原作はシリアスなハードボイルド」と言うが、脚本も担当した鶴橋監督によって結末が変わり、コメディー要素も盛り込まれた。それでも「映画には華がないとだめ」と納得。脚本にはほとんど干渉しなかったが、大阪弁のせりふは「20カ所くらい直した」とこだわりを見せる。

 映像化された自身の作品には毎回のように出演するという黒川さん。今作でも小夜子が後妻となった男(伊武雅刀)の親族役で登場。男の死後、親族が集まっている所に、小夜子が遺産を取ろうと乗り込んでくるシーンだ。小夜子から公正証書遺言書を見せられた親族(黒川さん)が「何これ!?」とつぶやく。

 黒川さんに演技の経験はまったくない。それでも出演するのは「アルバムを作るのと一緒かな。その時にこんな顔をしていたというのを映画に入れておいてもろたら便利ですやん」と笑う。セリフはもう一カ所あったが、本編でカットされたのはご愛嬌(あいきょう)か。

 今後、演じてみたいのはなんと死体役。以前ドラマに出演した際に「死体の役をやりたいと言ったら『あかん』と言われた。死体は難しいらしい。できると思うけど…」と直木賞作家が貪欲に演技の幅も広げようとしている。 (近藤正規)

<黒川博行(くろかわ・ひろゆき)> 1949(昭和24)年3月4日生まれ、愛媛県出身。京都市立芸術大卒業後、高校で美術を教える傍ら86年「キャッツアイころがった」で第4回サントリーミステリー大賞を受賞し、作家活動に入る。2014年「破門」で第151回直木賞を受賞。多くの作品が映像化され、映画は「後妻業の女」が3作目。17年1月には「破門 ふたりのヤクビョーガミ」が公開される。

 

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