6月末現在で韓国の家計債務が1257兆ウォン(約113兆円)に急増する中、韓国政府は25日、公共宅地供給を縮小し、分譲保証審査を強化することなどで住宅の供給を抑制することを柱とする家計債務対策を発表した。住宅供給を減らし、住宅購入のためのローン需要を抑えることが狙いだ。
家計債務対策は今年5月に続くものだが、家計債務は抑制するが、不動産市場が行き詰まることも防ぐという苦肉の策だ。それも、不動産景気をあまりに意識した結果、柱を欠く中途半端な対策になってしまった。第1四半期(1-3月)に20兆6000億ウォン増加した家計債務は、第2四半期(4-6月)には33兆6000億ウォンも増加し、伸びはますます急になっている。この程度の対策で既に臨界点を超えた家計債務の膨張に歯止めがかかるかは疑問だ。
家計債務急増の主犯であるマンション集団ローンの規制、投機需要を防ぐための分譲権転売制限、農協・信用協同組合などによ家計債務の与信審査強化などは盛り込まれなかった。過去2年間の家計債務増加を招いた担保掛目率(LTV)、年収比率(DTI)の緩和措置を元に戻す案は論議され行われなかった。
最近家計債務は家計取得が停滞する中で増えており、下位階層から元利返済能力を失うという事態を招きかねない。李柱烈(イ・ジュヨル)韓国銀行総裁が「(家計債務の増加は)監督当局が軽視すべき問題ではない」と指摘すると、金融委員会は資料まで示して反論した。安易な認識というほかない。
大統領選で朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は家計債務問題の解決を公約に掲げたが、在任3年間で家計債務は239兆ウォンも増えた。チェ・ギョンファン経済副首相時代にローン規制を緩和し、不動産景気を浮揚しようとしたことが借金の雪だるま式膨張を招いた。先ごろ国際通貨基金(IMF)は韓国が直面する「逆風」の一つとして家計債務を挙げた。政府は爆弾をたらい回しできる時間はもう残されていない。