民進党の代表選は、蓮舫代表代行と前原誠司元外相の一騎打ちになりそうだ。ふたりは立候補表明の際に、同じような言葉を口にしている。

 「民進党は何をめざす政党なのか、どんな国をつくる政党なのか」(蓮舫氏)

 「民進党は何をめざすのか、どんな問題意識を持っているのか」(前原氏)

 党の存在意義そのものが根底から問われている――。そんな危機意識がにじむ。

 確かに現状は極めて厳しい。

 7月の参院選も自民、公明両党に大勝を許した。共産党などとの野党共闘で、3年前の前回選挙より議席を増やしたとはいえ、前途は険しい。

 朝日新聞の世論調査で、与党の勝因を尋ねたところ「野党に魅力がなかったから」が7割を占めた。政権批判だけでは支持を広げきれなかったということだろう。

 一方で、与党の勝因で「安倍首相の政策が評価されたから」は15%のみだ。安倍内閣の支持率は堅調だが、政策面での評価は決して高くない。

 アベノミクスは3年半たっても首相自身が「道半ば」と認めている。原発依存への回帰は明らかだ。憲法違反と批判された安全保障法制を強引に成立させた。そんななか、所得格差の拡大や中間層が細ることへの懸念が広がる。

 私たちの暮らし、この国の将来はどうなるのか。不安に思う国民にどう向き合い、安心を感じてもらえる政策を示していくか。民進党が問われているのは、まさにこの点だ。

 いまのところ、蓮舫氏は「次世代への投資」を掲げ、前原氏は「消費税1%を子どものために」などと唱えている。

 どちらも今後の論戦で、より具体的かつ総合的な政策を示してほしい。

 そこで、ひとつ提案する。

 民進党の前身の旧民主党ができてから20年。それと同じ期間、これから20年後の日本の姿を描いてみたらどうだろう。

 人口減と高齢化が進み、産業構造や地域社会が変容するなか、社会保障や教育をどう支えるのか。負担増からも目をそらさずに制度を設計するのだ。

 「自立した個人が共生する社会」「コンクリートから人へ」「新しい公共」。旧民主党以来、この党が掲げてきた理念は一定の共感を得てきた。

 だが、3年余の政権運営の失敗で見放された。人々が安心できる未来図を説得力をもって示せれば、いま一度、国民の信を取り戻せるかもしれない。