「蘭州新区産業発展計画」によれば、2015年までの蘭州新区の工業固定資産投資の累計額は800億元(約1兆2200億円)、工業総生産額は2015年には1200億元(約1兆8200億円)に達するというものだった。だが、2014年に蘭州新区が実現した工業総生産額は105.94億元(約1600億円)で、計画の10分の1に満たない。
2014年以降、乱立した
国家級経済開発新区
現在、蘭州新区にある企業のほとんどが従来型の製造業で、関係者は「蘭州新区の企業誘致のためのデータが素晴らしくても、実際に着工に到るものは少ない」と嘆く。新区への移転が決まった蘭州石化公司も足踏み状態にある。
計画によれば、2020年までに蘭州新区の都市人口は60万人、2030年までには100万人となる予定である。2014年10月31日の時点で、蘭州新区の総人口は15万人、流入人口は2万2000人台にとどまっている。蘭州新区は全国に17ある国家級新区のなかで最も人口の少ない新区となっている。
その局面を打破するために、2013年より蘭州市共産党委員会、市政府機関、一部の市直属部門など計16のセクションと700名近い職員が正式に蘭州新区に移った。だが莫大な行政コストがかかるため、いったんは新区に移転した機関がまた続々と蘭州市内に戻りつつある。
蘭州新区が直面している現状は、この地域に限ったことではない。
1992年から2013年までの22年間で承認された国家級経済開発新区は6つだが、2014年以降の2年間で11もの国家級経済開発新区が承認されている。2015年の全国17の国家級新区ランキングのうち、第1位の濱海新区(天津市)のGDPは最下位の貴安新区(貴州省貴陽市)の155倍であった。一部の新区、特に中西部では売れ残り物件の山を抱えてゴーストタウンと化している。蘭州新区はまさにその後者に属している。
経済発展の原理を無視した蘭州新区のような無謀な開発は、もはやこれ以上続けられなくなっている。その巨大な損失の穴埋めは誰が負担するのだろうか?