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「ボーダーブレイク 口に出すにはあまりに壮絶な、けど口に出せない出せられない蟻退治」 作者:ジーシェン仮面
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プロローグ・・・

(公式ヒストリカとかでもお約束のあのプロローグを入れようと思ったが面倒なので入れない)








武装組織「エイジェン」。彼らは復興歴55年に突如としてその姿を表舞台に表し、

「ニュード耐性を持たない全ての生命を根絶し、ニュード耐性保持者による新世界を創造する」

という理念の下に世界に宣戦布告。
世界中のニュード採掘施設などへ対する無差別攻撃を開始した。

この未曾有の事態に対し、それまで泥沼の資源戦争を続けていたGRF、そしてEUSTは一時休戦を決意、傭兵斡旋企業マグメルを仲介として「マグメル連合軍」を結成、エイジェンに対し徹底抗戦の体制を敷いたのだった。

そして、エイジェンとマグメル連合軍の戦いは長きに渡って続き、復興歴61年。

物語はここから始まる。




武装組織「エイジェン」。その実動部隊の指揮官である男、ゼラは悩んでいた。
戦力が不足している。
いや――――技術力や兵器の性能ではまさか劣るはずもないのだが、集団戦闘において機体の性能以上の戦力を発揮するマグメル連合軍に対しては、奴らを圧倒出来るまでの物量がとにかく不足していたのだ。

いかに我らエイジェンといえども、使用出来る資源や財力に全くの制限が無いと言えるわけではない。有限である以上、少しでもコストは抑えつつ、且つ効果的な戦術を取らねばならない。

ドローンの、今まで以上の更なる大量生産はどうか。
―――――いや、一掃されるだけだ。単なる資材の無駄だろう。それにドローンを戦力の中核としてはいけない、あれは決して多いとは言えない強化兵の数を補うための、ただの補助兵器だ。

では強化兵どもの搭乗するブラストの強化は?
―――――強化したところで、出来損ないの奴らでは手に余るのが関の山だ。それに、強化に時間を要し過ぎる。

母艦の武装強化はどうだ。
―――――破壊された際のコストが馬鹿にならんし、割に合わんだろう。却下。

外部から我々の理念に賛同する者を更に募るのはどうだ。
―――――強化兵にすら及ばん奴らが殆どだろう、使えん。後から身体的、精神的な強化などをすることも出来るが、失敗すれば最悪、廃人化して一生使い物にならん。

・・・・・ならいっそ俺が、ジーナと共に2人同時に出撃を・・・。
――――――何故俺があのような生意気な小娘と連まねばならんのだ、馬鹿馬鹿しい!エイジェンにエースは俺1人で十分だ!第一、別々に作戦行動を展開可能にするためのエース2人が同じ戦場に出てしまっては意味がないではないか!

ならばどうする。
――――――ふと、ゼラの視界の隅にある物が映った。我々の理念に賛同した者の1人が所持していた、数十年も昔のゲーム機器らしい。薄汚れて傷だらけではあるが、レストアしており今でも動くそうだが。好意から渡された物であったが、あいにく俺はそんな物には興味がなく、処分に困っていたのだ。
頭の使い過ぎで思考がどうかしているのだろう。何故だか、このゲーム機器を起動しなくてはならない―――そんな衝動のようなものに駆られた。
「・・・・・・フッ、仕方あるまい・・・興味はないとはいえ、好意を無駄にするわけにもいくまいさ。」
・・・・と、ゼラは自分に言い聞かせるようにゲームを起動する理由を作り、言い訳をするのだった。


大きなモニターの前、ソファーにドッカリと腰掛けたゼラはモニターを起動し、ゲーム機器の電源を入れる。
「・・・ん?どうした、ゲームが始まらんではないか!」

壊れているのだろうか。いや、違う。どうもこのゲーム機器は、映像や音声をケーブルでモニターに接続せねば再生出来ないものらしいのだが、さっぱり見当がつかなかった。

「ッチ、面倒な・・・・部下どもにやらせるか・・・――――いや、待てよ。」

このようなチンケなゲーム機器1つのために部下を呼び出して良いものだろうか。それこそ、この薄汚れたゲーム機器のようにエイジェンのエースとしての俺の名誉に傷が付くのではないか。

「・・・・えぇい、自分でやるしかないのか・・・!」


~そして、悪戦苦闘すること実に30分~


「・・・ようやく点いたか、忌々しい・・・これだから古い物は嫌いなんだ。・・・なんだこのタイトルは?まるで捻りが無いな、凡人どもの作るものだからだろうが・・・これでは中身も知れているな。」


「地球侵攻軍」。古めかしい電子音声の音楽と共に画面にデカデカと表示されたタイトルは、そう描かれていた。このゲームは、プレイヤーは地球に攻め入る宇宙人の指揮官となり、軍団を使役し、各戦場を蹂躙し、破壊していきながら、ゆくゆくは地球全土を征服する・・・という内容のものらしい。
・・・・成る程、大なり小なり相違点はあれど、このゲームの目的は我々エイジェンの行っている活動と似ているものだと言える。つまりこのゲーム、地球侵攻軍というものは我々エイジェンの活動といくらか照らし合わせながらプレイすることで、これからのエイジェンの活動のシミュレーション、見本のように扱うことが出来るというわけだ。

「ハッハッハッハッ!成る程、中々に面白い趣向のゲームではないか。悪くない・・・おそらく、こういったことを見越して奴はこの俺にこのゲームを渡したのやもしれんな。気の利いた奴だ・・・褒めてつかわさねばならんようだ。」

そして、ゲームをプレイし始めたゼラの目にやがて、ある物体が映った。

アリだ。――――蟻。昆虫の蟻。それも、人間の身長のそれを遥かに超えた、超巨大な蟻である。
巨大な蟻は大群を成して街を、人を襲い次々に蹂躙してゆく。


「・・・・・・ふふ、ふふふ・・・・・」

やがて、画面を食い入るように見つめながら不敵な笑みを浮かべるゼラの頭の中にはある一つの構想が浮かんでいた。―――――――――――これだ。

「これだ・・・・今の、我らエイジェンに足りない戦力は・・・・繁殖することで自らその数を増やしていき、統率力や突破力にも優れる強力な兵士・・・・・我らには、これが不足していたのだ!!」


しばらく時間の経った後、コントローラーを床に放り出しソファーを立ち上がったゼラの目は活力に溢れ、その表情は自信に満ちていた。これならばいける。にっくきマグメル連合軍の雑魚どもをこれで、今度こそ蹂躙し、殲滅し、我らの目的を果たすことが出来る。
放置されたゲーム画面には、不吉な「GAME CLEAR」の文字が浮かんでいたのだった。







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