シン・ゴジラ メモ
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シン・ゴジラ メモ

2016-08-08 18:34
    A:ネタバレはありで
     実家でも見に行ったということで、自分も見たのだが、いや、久しぶりに怪獣映画を見たなという感じです。みんな褒めているだろうし、今から書くこともだいたい言われていることだと思うが、とりあえず自分の考える材料として残しておくことにする。
     ところで、改めて思ったけど、映画前の予告編って長すぎない? 映画館用のニュースに加えておそらく配給会社から渡されたであろう予告編プラスゴジラ関連のゲームやらなんやらの予告編……あれだけで30分取るのはさすがに苦痛だよ。いや前から思ってたけどさ、ゴジラは特に長かったと思うわ。観る場所を選んだほうがいいかもね。映画館のCMが少ないところか。

    B:映画としての出来はいろんな人が褒めているだろうし、映画をたくさん観ているわけではないので省く。
     シン・ゴジラで観たあとしばらくしてから思いついたんだけど、あの映画ってあからさまに無能な連中がいないんだよね。強いて言うなら石原さとみの役がなんかわざとらしいけど、別にだからといってあえて映画を引っ掻き回すわけでもないし。もちろん総理の攻撃制止や外国からの行動も、そらこういう状況ならそうするかなって感じで、なんか悪人役や無能役がいなかった。普通はなんでそんなことすんのって感じのおっさんが一人くらいはいそうなもんなんだけど。
     それから自衛隊の作戦行動、米軍の作戦行動も、もちろんゴジラがすごいから跳ね返されるんだけど、基本的にちゃんとしっかりしているというか、そう、怪獣とか宇宙人とかの娯楽映画にありがちな『無謀な特攻』と『核兵器』がないのよ。最近やってる続編の方は見てないんだけど、すげー典型的なこの2つが入ってるインデペンデンス・デイとかと比べると、知恵が尽くされているがゆえに絵面的に地味な展開になることを厭わない物語にシンゴジはなっていたと思う。/インデペンデンス・デイがつまらないというわけではないです。あと、シンゴジが地味だったというわけでもない。
     あの、ほら電車爆弾。電車のカラーは色とりどりで、絶対見た目が楽しくなりそうなやつを選んだだろって感じがあるんだけど、あれ先に新幹線で試して、よし効果あるなってなってから、もう一回それをやるわけですよ。なんか作戦自体はぶっつけ本番だけど、二重三重に知恵を絞って頑張ってる感があってね、こう、強引に突破するという部分がない。

    C:それから、矢口が序盤に先の大戦では楽観して国民を300万人…とか大臣に言う話があった。つまり、先にあげた2つは映画の中であの戦争は失敗だったとして意識されていたのではないだろうか。だから核兵器に対する言及があるし、全体としてそれを回避するために、無能な人物や無謀な作戦が退けられている。知恵を尽くした結果として日本人は(正確に言えば都民は)核兵器から逃れて生き延びることが出来た、という話になっている。
     初代ゴジラをどう読むかって話はいろいろあるんだけど、あれは戦死者、もうちょい言うと戦地で死んだ兵士たちの魂が復讐しにきた話じゃないかって考える説がある。ゴジラ戦没者説っていうやつですね。これが正しいかどうかはともかく、そういう説があることを捉えると、シンゴジは割りと残酷な話になる。要するに71年前はやるべきことやり尽くさなかったから核兵器を回避できなかった、今度は違う、そういう話になってしまう。/そういえばゴジラと核兵器は別々なんすね。
     ただそこで大事なのは、ゴジラが帰らなかったというところだ。シンゴジには途中で手を合わせる場面があっても、ラストは復興の話で鎮魂がない。ただし、ゴジラを海に帰したりせずに東京のどまんなかに迎え入れている。自分はあれは、最後にゴジラが動くんじゃないかって恐れていたんだけど、実はそうじゃなかったような感がある。ゴジラのしっぽの先には人間の死者のホネみたいなのが絡みついているんだけど、それが残された課題として、ラストシーンで見せつけてくる。

    D:ところでこの映画の帰り、カップルの一人が「なんかわからなかった。なんでゴジラが(東京に)来たの?」と言っていたのを聞いた。シンゴジは別に放射性物質を餌にしているわけではなく、物語の上では特に理由が示されたわけではない。結構、このことは大事だと思う。
     というのは、上で言っていた話というのは、そういう説とかを見てないと読めない、ちょっと偏った視点かもしれないからである。同時に、シンゴジの世界が、そもそもゴジラを知らない世界として設定されていることにも注目したい。実は俺も前情報をあまり仕入れなかったので途中で「お前ら知らないのか、ゴジラを」とか思ってしまったのだが、ゴジラが象徴してきた、あるいは語られてきたものが、そもそも忘れられている(知られていない)という状況を表しているとしたらどうだろう。
     初代ゴジラは核の恐怖が現実に隣り合っていて、10年前まで東京でも大勢死んだという時代に作られた作品だから、その時代の人たちに対するメッセージならゴジラ戦没者説も分かりやすかったかもしれない。逆に現在では忘れられたことの方が多い。東京大空襲、水爆実験。そういうことはすすんで知識を得て、なおかつ想像力で補わなければどんどん忘れていく。あるいは中途半端な知識にとどまってしまう。知らないのかっていうけど、実際俺もよくしらない。/そういえば、災害対策で3.11も参考にしたと言われているが、3.11の被災状況も本当に詳しくは知らない……。
     だからシンゴジは、突然やってきた恐怖をひとまず凍結して、東京のど真ん中においてあるという終着点になる。凍結は溶けることもあるかもしれない。そして復興するためには、これを忘れないようにしなければならない。なぜなら凍結し続けなければ、あるいは少なくとも観測し続けなければ、ゴジラは再び町を破壊するかもしれないから。
     人間ドラマはゴジラがなんで東京にやってきたのかということをそれほど深く追究しないが、ラストシーンは無音で凍結したゴジラと、そのゴジラのしっぽの人骨みたいなのを大写しにする。忘れるな思い出せ、いや、想像しろ、といったところだろうか。

    E:まあ、なんというか、あまりグダグダ言わない方がいい作品なのかなと思うし、むしろ逆にどんどんグダグダ言った方がいいのかもしれないと思う。非常に丁寧に作られているし、それが映画に全部落とされている感じがしました。


    :シンはシンでも真・流行り神は頑張ってプレイしてます。ひとり積みゲー友の会。
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