こんにちは。
8月26日(金)に上映が開始された新海誠監督のアニメ映画「君の名は。」を観てきました。
記事の途中まではネタバレなしです。
新海誠監督
新海 誠(しんかい まこと、1973年2月9日)は、日本のアニメーション作家・映画監督。本名は新津 誠(にいつ まこと)。オリジナル映像作品のほぼすべてに英語のサブタイトルを付しており、少年と少女の恋愛をテーマにした作品が多い。代表作とされる『ほしのこえ』『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』の3作は、いずれも主人公の2人の心の距離と、その近づく・遠ざかる速さをテーマとしたものである。
新海誠 - Wikipedia
「ほしのこえ」「秒速5センチメートル」「言の葉の庭」などで知られる、新海誠監督の新作です。
新海誠監督の作品は背景の描写がとても繊細で美しいことが特徴です。特に2013年の「言の葉の庭」は自然の緑の光や、雨や水たまりの表現が素晴らしく惹かれました。
また「秒速5センチメートル」のような男女のすれ違いをなどを描くことも監督の作品の特徴の一つです。
今作「君の名は。」は"入れ替わる"男女を描いた作品です。
あらすじ
ある朝、男子高校生の瀧が目を覚ますところから物語は始まります。しかし、あるはずのないはずの胸に気づき鏡を見て自分の体ではないことに気がつきました。
その一方、女子高校生の三葉も瀧の体になっていて、体の変化に驚きます。
瀧と三葉は朝起きるとたまに体の入れ替わりが起き、入れ替わった状態での学校での生活などの記憶は元の体の持ち主には残りません。
やがて2人は手、腕、スマホの日記やノートを通じて交流するようになり、お互いのことを少しずつ知っていきます。
しかしある日を境に入れ替わりは起きなくなってしまいます。
ここから物語は大きく動き出します。
良かった点:背景描写
今作も背景描写が素晴らしかったです。先ほど挙げた「言の葉の庭」や「秒速5センチメートル」にも引けを取りません!
瀧の住む都会の建物の光の反射や、三葉が住む田舎町の緑や湖の広大な景色や夕日の美しさ。そして、水面に浮かぶ赤い紅葉や雨で濡れた地面のタイルに映る町の灯りや雨粒の波紋などの細かい部分までどれを取っても美しかったです。
何よりも、この映画の重要な場面である彗星の描写はとても幻想的でした。
良かった点:音楽
RADWIMPSの音楽がなかなかマッチしていました。
曲のかかるタイミングも良かったです。映像と音楽が合わさってより良い作品が出来上がって
いました!
サウンドトラックもあります。買ってじっくり聴きたくなってきました。
良かった点:演技
瀧役の神木隆之助さん、三葉役の上白石萌音さん。二人の演技がとても良かったです。
特にお互いに入れ替わった状態で、体の持ち主の友人と関わる場面で演技力を感じました。
その場面に合った演技をできる人って凄いな。
市原悦子さんが演じる宮水一葉(三葉と四葉のお婆ちゃん)もとても良かったです。語りかけるような話し方に深みがありました。
※これより下の文章にはネタバレとなる要素が含まれています。
ストーリーと感想 (ネタバレ要素あり)
他の人の感想も小説を読まずに行ったのですが、思っていたよりも楽しめました!
楽しみにしてはいましたが観る前は「男女の入れ替わり」って漫画やアニメで良くあるような話だよなー、と思っていました。
しかし、実際に映画館で観てみるとただの入れ替わりではなく、正直予想外の展開が待っていました!
瀧が三葉の存在を知る前に、三葉は東京に出向き瀧に会いに行っていました。
そして、瀧も三葉のことが気になり入れ替わりで見た景色を頼りに会いに行きます。
そこで彗星の事故によって三葉が亡くなっていたことを知りました。
瀧と入れ替わりをしている三葉は3年前に彗星の落下によって町ごと無くなった事故で亡くなった人物でした。要するに瀧は、約3年の時間差を超えて、瀧と彗星の落下に巻き込まれる前の三葉と入れ替わりをしていたということになります。だから電話も繋がらなかったんですね。
そして、終盤では神社の御神体のある山の上で2人は出会います。お互いを認識した状態で出会うのはこれが初めてです。
そして、二人がお互いに会っていられた短い時間は「黄昏時」でした。
黄昏時は夕暮れ頃の時間を指します。
作中で瀧が受けていた古典の授業では「この世ならざる者に出会える時間」などと説明されていました。この時間帯には不思議な言い伝えがあるようです。二人がここで再び会うことができたのもこの黄昏時の影響があったのでしょう。
そういえば、それを教えている三葉の先生が言の葉の庭の雪野先生のようでしたね。古典の授業だから合っているはずです。
話戻して黄昏時という言葉についてですが、
「誰そ彼(たそかれ)」が転じて「黄昏(たそがれ)」となったと言われています。
昔の人が薄暗くなってきて人の顔が見えにくくなった時に「あなたは誰?」といった意味で言った言葉からできたとのこと。
タイトルの「君の名は。」にぴったりですね。
瀧と三葉は作中で何度も「君の名前は」と言います。
黄昏時が終わり、瀧が三葉の姿を見ることができなくなり名前が忘れてしまったときもそのように叫んでいました。言葉の由来も関係していそうです。
そして、二人を再び引き合わせたもう一つに「ムスビ」というのがありました。
土地の神様のことを、古い言葉で産霊(むすび)と呼び、とても深い意味があります。
糸を繋げることも、人を繋げることも、時間が流れることもすべてムスビで、神様の呼び名であり力。そして、作った組紐も、神様の技、時間の流れそのものを表している。
三葉のお婆ちゃんは、入れ替わって中身は瀧の三葉に説明しました。
「よりあつまって形を作り、捻れて絡まって、時には戻って、途切れ、またつながり。それが組紐。それが時間。それがムスビ。」
この言葉はまるで瀧と三葉の関係を表しているように感じました。
今作のムスビの象徴とも言える組紐は三葉が髪留めとして身につけているだけでなく、三葉が瀧に会いに行ったときにも手渡されています。
そして物語の中で二人は捻れ絡まり、戻り、途切れ、そしてまたつながります。この作品にはムスビが深く関わっているということが分かりますね!
三葉が体に入れることで魂と結びついた口噛み酒。これは三葉の半分でありムスビでした。恐らく、それを瀧が飲んだことによって奇跡が起きたんですね。
終盤、三葉や町の人たちは避難して助かり未来が変わります。そして瀧が糸守町を訪れてから5年以上経った後、未来が変わったことによってかお互いの名前は忘れてしまったけれど「自分は誰かを探している」という意識だけは残っていました。
一度、瀧が電車からホームにいる三葉を見つけたけれど見失い、会うことが出来なかった時は「秒速5センチメートル」を彷彿させました。やはり、このまま出会うことが出来ずに終わるのかなーと。
しかし今回は違いましたね!並走する電車の窓から二人はお互いを見つけて、走り出し、路地の階段上と下で二人は再び出会いました。
そして、最後は二人で同時にこう尋ねて終わりました。
「君の名前は。」
関連書籍
「君の名は。」に関する、関連書籍も幾つか販売されています。
私は、以下の3冊を購入しました。
・原作小説『小説 君の名は。』
・『君の名は。Another Side:Earthbound』
・『新海 誠Walker』
関連書籍について詳しくは 「君の名は。」公式ホームページ からどうぞ
原作小説『小説 君の名は。』
映画を作っている途中で小説を書くことを決めたそうです。そのため原作といえるのかどうかは分からないというようなコメントがありました。
映画を観終わり帰ってから軽く読んだところ、結構映画の流れや台詞に忠実な印象を受けました。映画を観終わったあとの復習にもオススメです!
最後に
序盤のユーモアのある入れ替わり生活から、中盤からの衝撃の展開、そしてラストシーン。
新海誠監督の作品の中でも一二を争う良い作品だと思いました!
秒速のような、何とも言えない気持ちにさせるような終わり方も新海誠監督の作品の良さとして捉えていたのですが、今回のような幸せなラストも良いですね。見終わった後すっきりしました。
こういう作品もありだと思います!
序盤、瀧くんが三葉と入れ替わるたびにおっぱいを揉んでるのはどうかと思いましたけどね。
自分の立場に置き換えてみたら……あっ……自分でもやるな……。男なんてそんなものなんです。
あと、見終わった後、
「俺も三葉ちゃんの作った口噛み酒飲みたい」とか話してた隣の二人!
その発言を映画館でするのはかなりアウトだぞ!
それではまた。