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 お前らと同じだ…………俺とも……同じ、だ……いくら常人を越えようと、人間が誰かに助けられなければ、生き延びることはできないんだよ……俺が、あいつを守らなきゃ……俺が、あいつの丸い背中をぶったたかなきゃ………ほかに何人、いるってんだ……」
「……ヨイテッツ、それは……」
 返事をしかけてから、タクマスは気づいた。
 ヨイテッツのまばたきが、止まっていることに。
「……」
 タクマスはうつむき、ゆっくりとヨイテッツの身体を、冷たいダイヤモンドの敷石にもどしてから、立ち上がった。
「……近隣の家から、武器になりそうなものを、ありったけ持ってこい。ハンマー、包丁、庭の石でもなんでもいい。ツチグモを叩き壊せ!」
 タクマスは声が裏返るほどに、けたたましく吠えた。
 そのタクマスの檄に、広場の人々から鬨の声のような、巨大な打楽器を鳴らしたような声音がもどってきた。
 ――ヨイテッツが生んだこの勢い。
 このまま、ツチグモを片付ける。
 そう考えを切り替えたタクマスの背に、とつじょ、暗雲でものしかかったかのような、黒い影が覆いかぶさってきた。
 おそるおそる、振り返ってみると、そこにも、巨大なツチグモが立っていた。
 いや、それだけではない。
 7つの放射街路の出入り口すべてを、おのおのツチグモが封鎖して、人々を取り囲んでいた。
「な、なぜ……! いつの間に! なぜだ!」
「言っただろう」
 タクマスのすぐ真上にあるツチグモのアゴから、フォーハードと名乗る男の声がもどってきた。
「俺はお前らがどんなふうに思おうと、俺の思う方向に進ませる、と。
 もう一度言うぞ、この中から一人だけ、ファノンの元へ走れ。奴を呼び、もどってこい」
 ツチグモのスピーカーからでる冷徹な要求に、ここにいる人々はかんぜんに動きを止め、戦意を失っていた。
 そしてそれは、タクマスも同じだった。
「すまん……ヨイテッツ……」
 闇へ帰ったヨイテッツのなきがらにむけて、タクマスは苦々しく、言葉を絞り出した。

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