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ひとりぼっちぞうさん

ひとりぼっちのぞうさんがひとりで悲しく更新します。

かわいそうなミリマス ~『ユリイカ2016年9月号臨時増刊号』によせて~

感想

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「なぜじゃ、なぜ巻末のアイドルアニメガイド(アイドルコンテンツ一覧)の中に、SideMがあるのに、ミリマスの名前がないんじゃ?」*1

 これが僕が『ユリイカ2016年9月号臨時増刊号』「総特集アイドルアニメ」を読んだ後に抱いた、率直な感想です。*2

 

 ユリイカ9月号は率直に言って、とても面白かったです。本書はアイドルコンテンツに精通した碩学たちが独自の観点に基づき、アイドルコンセンツを筆致を尽くして語っています。

 僕の浅い知識と考えでは思いも至らなかった部分の気づきもあり、新しい知見を得られて本当によかったと思います。このブログの読者の皆様にもお勧めできる一冊です。

 話を元に戻しましょう。ユリイカ9月号の巻末記事の項目一覧には、『アイドルマスター シンデレラガールズ』、『アイドルマスター SideM』の名前はあります。大項目として「アイドルマスター」の項目もありますが、その中に『アイドルマスター ミリオンライブ!』の名前はありません。*3

 ユリイカ9月号の記事の中にも、デレマス、SideMの名前は多く登場していたように思いますが、ミリマスに関する記述は少ないように感じました。*4

 なぜでしょうか。

 ソーシャルゲームとしてのミリマスのサービスが終了しているわけではありません。二者と比べて大きく人気が劣るわけではありません。

 本稿ではあくまでもユリイカ9月号中にミリマスの記述が少なかった――本書で記事を書く機会に恵まれた、アイドルコンテンツマスターともいえる複数の有識者の間に、ミリマスの印象が薄かった原因について、僕の浅慮に基づき表面的な部分のみを論じていきたいと思います。……本気で書くと、大長文になり、それこそ次のユリイカのアイドル特集に寄稿するハメになりかねないので、アイマスについてあまり知識がない方向けに、薄く、軽く書いていきます。*5

 

ミリマスのコンテンツの魅力

ミリマスというコンテンツ自体に魅力がないから有識者の間に印象が薄く、ミリマスの記事が書かれなかった。そう思い浮かぶ方もいるかもしれません。しかし、それはありえません。個人の主観に基づきますが、ミリマスのコンテンツは丁寧に作られており、良質であるといえます。

 アイマスのゲームの歴史の中で、アーケード版からPSP版にかけてそろったキャラクターに加え、ミリマスで新規に登場するキャラクターは慎重に、そして入念に設定が作りこまれています。ゲーム中で旧来のキャラクターと新規のキャラクターの間で、扱いに差はありません。ゲーム内で開催されるイベント等も強烈であり、多くのプレイヤーを楽しませています。*6

 しかし、ユリイカ9月号に魅力的なゲームである、ミリマスの記述が少なかったのは、事実です。

 ユリイカ9月号に寄稿した有識者がミリマスについて、文章として書き起こす頻度が少なかった原因は、「ミリマスの魅力はプレイヤーには伝わるが、それ以外の層に伝わりにくい傾向にある」と、僕は考えます。「ミリマスは外部にアピールする強烈なフックがない」ことが、有識者の間でもミリマスの印象を薄くし、結果として文章として書かれる機会を奪ったのではないでしょうか。ミリマスという作品自体に問題はありません。作品の構造自体に問題があるのです。

 

ミリマスにはないデレマスとSideMの「売り」

ミリマスの構造上の欠点を論じる前に、デレマスとSideMの特徴外部への引っ掛かりについて簡単に解説していきます。

 デレマスの最大の特徴は、キャラクターの設計思想が従来のアイマスとはまるで違うことです。デレマスのキャラクターの在り様は、AKB的だと言われています。キャラクターを次々と登場させて人気競争をさせ、勝ち抜いたキャラクターに出番を集中させて育てていくという方向性が見て取れます。*7

 これはデレマス以前のアイマスコンテンツになかった考えです。全く違う考えで作られたデレマスに登場するキャラクターは、今までのアイマスのイメージを覆すような意外さと新鮮さを兼ねそろえています。物量による力技で攻め立てる。これがデレマスの特徴だといえます。

 SideMは従来のアイマスとは全く違う客層への開拓を行っています。SideMの最大の特徴は、登場キャラクターが男性であるということです。従来のアイマスのキャラクターは女性の割合が非常に高かったですが、それを逆転させ、未開拓層へのアピールに成功しました。「アイマス内でのブルーオーシャンの開拓」という、今までできなかったことを実施したことが、SideMの特徴だといえます。*8

 ミリマスはデレマスやSideMと比較すると、外部に対する独自のユニークさに欠けています。どのキャラクターも描写は丁寧ですが、今までのアイマスとはまるで違う思想で作られたデレマスのキャラクターと比較して、インパクトに欠ける傾向にあります。SideMのように今までにないファン層を獲得できるとは考えられにくいでしょう。

 デレマスもSideMも「今までにないアイマス」と言えますが、ミリマスはそうではありません。「ミリマスには独自の売りがない」ことが、ユリイカ9月号の中でミリマスの記述が少なかった根本的な原因につながってしまったのではないでしょうか。*9

 

これからのミリマスへの提言

今、ミリマスに一番必要なものは「外部への強烈なアピールとなる特徴」です。なにもプラットフォームに縛られる必要はありません。アイマス自体がアーケード版から始まるという、本当に訳が分からない状態で始まりました。『アイドルマスター2』で登場した男性アイドルユニット、「ジュピター」も、登場当初は存在意義自体がまるで分かりませんでした。しかしその「訳の分からなさ」は大きく芽吹き、新しい展開につながりました。

 ミリマスという世界は魅力あふれ、多くのプレイヤーの心を引き付けています。その魅力を外部へ伝えるためには、「訳の分からないほどの新展開」だということをここに記し、筆を置きたいと思います。

*1:オーキドP制作の『ネタ☆MAD開催告知【宣戦布告のお知らせ】』http://www.nicovideo.jp/watch/sm4367010(削除済み)より表現をお借りしました。

*2:以降ユリイカ9月号と表記します。

*3:以降、『アイドルマスター シンデレラガールズ』をデレマス、『アイドルマスター SideM』をSideM、『アイドルマスター ミリオンライブ!』をミリマス、ジャンルとしての「アイドルマスター」をアイマスと表記します。

*4:僕の見落とし、記憶違いにより、印象に残っていない可能性は否定しません。本書を購入し、ご自分で読まれることを強く推奨します。

*5:ここで書くのも言い訳がましいですが、僕のアイマス知識、オタク関係に関する知識は、素人同然であり、ただのにわかであります。こんな僕が稿を起こすこと自体が末代までの恥レベルだということをここに明示します。読者の皆様のほうが、よほどアイマスには詳しいと思います……。

*6:この説明だけでも不足している部分、誤りはあります。細かい説明をしだすときりがなく、本稿が完成するころには僕がおじいさんになってしまうため流します。各自が所有していらっしゃる正しいアイマス知識により補完・修正をお願いします。

*7:この指摘は昔より複数の論者によってされています。ユリイカ9月号にもいくらか指摘がありました。書店に走るか、Amazonあたりでポチって、各自で読んで出展を確認してください。

*8:厳密にいうと、この記述は間違っています。僕のにわか知識ではこれが限界ですし、本文をより正しくするための労力は裂けません。ご了承ください

*9:異論反論は重々承知しています。この部分の論説は雑で、ひどいものです。この結果に持っていきたいのなら、もっと大量に文章を費やし、説明を行うべきです。しかしそれでは、本稿が万里の長城並みの長さになりかねませんので、非難を承知で省きました。本稿には書きませんでしたが、にわかの僕でもミリマスに関する欠点・改善点はいくつか思い浮かびます。読者の皆様のほうがアイマスに関してお詳しいでしょうから、僕以上にミリマスに関する改善点をうまく書き示すことができるでしょう。製作者側はユーザの声をネット上から探し、吸い取ります。読者の皆様の大長文をお待ちしております。

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