上田 泰史(うえだ やすし)
<プロフィール>
奈良県生まれ、奈良県育ち。京都大学工学部精密機械工学科卒。
愛車遍歴は、入社してからトレノ、サーフ、ガイア。米国に行ってカムリ。日本に戻ってクルーガー、アルファード。そして欧州に行ってからはヴァーソ(ディーゼル)、レクサスISと様々なクルマに乗り継ぐ。現在は、海外赴任から戻ってきたところでクルマ選定中とのこと。
子供のころは、まさにスーパーカーブームの時代で、当時の多くの男の子と同じようにクルマ好きで、近くにランボルギーニやフェラーリなどのスーパーカーの展示イベントがあると見に行っていたとのこと。また、父親がずっとワゴン車を好きで乗り継いでいたため、小さいころからワゴン車に親しみをもっていた。
数学、物理が得意で、京都大学に入学し、機械工学を専攻。精密機械、歯車の技術を学ぶ。学生時代は、クルマではなく中型バイクを好きで乗っていたとのこと。
就職先は、先行技術の開発・研究よりも、一般のお客様により近い、自分に身近な商品を造る仕事をしたいということから自動車メーカーに絞る。職場見学をした際に設備などの環境が揃っていると考え、トヨタ自動車を選んだ。
1991年トヨタ自動車入社。学生時代に学んだことを活かしたいと思い、トランスミッションなど駆動関係の部署を希望。希望が叶い、駆動関係の実験部署に配属。CVT、ハイブリッド等の駆動部の機械要素、部品を設計し、実際にトランスミッションに組み付け、実験・評価する一連の業務を担当。配属当初は、トヨタの初期のCVTのベルトのノイズ対策にも取り組み、途中、2000年からアメリカのオハイオ州立大学で駆動の機械要素の研究室に研究生として留学、戻ってからはハイブリッドの駆動部分のノイズ対策や、北米向けSUV車両のリアデフ等の駆動要素の開発グループ長を担当。駆動部の機械要素のスペシャリストとして充実の日々を過ごす。
自動車会社に入ったからには、パーツ、ユニットの設計だけでなく自動車全体もやってみたいとの思いから車両実験部への異動希望を数回出していたら、その希望は通らなかったものの、2006年に突如、製品企画のセクションに異動となる。
最初の仕事は、2代目イストの立ち上げ。異動時、既に立ち上げまで残り半年の段階であったが、製品企画という立場で開発に携わり、立ち上がりまで担当する。その後、3代目ヴィッツ(欧州でのヤリス)の開発に、開発の初期から携わり、駆動系出身ということもあり、エンジンとトランスミッションの関係を担当するとともに、欧州ヤリスへのHV導入プロジェクトのリーダーも担当。
2011年より欧州開発拠点TME(トヨタ・モーター・ヨーロッパ)へ赴任し、TMEでの製品企画を担当し、引き続きヤリスなど欧州生産車の製品企画、欧州での開発まとめを担当。2012年からは今回のアベンシスのマイナーチェンジにTMEの立場で企画、開発に参画。そして、2015年 日本に帰任し、製品企画部署に戻り、アベンシスの開発責任者を任せられる。
開発責任者として海外のスタッフも含めて組織をまとめて一つのクルマを造り上げるために必要なものは何か?との質問に対して、「コミュニケーションをとることが最も重要。欧州のスタッフは、どれだけ現地の意見を聞こうとしているか、という点を注目しています。まずはしっかり相手の意見に耳を傾けることに心掛けました。日本人でも、欧州の人でも違う考えを持っている人はいます。文化・考え方の違いはあっても、スタッフはみんな、自動車会社に入ってきていて、良いクルマを造りたいという思いは同じです。しっかりとしたコミュニケーションをすれば、コミュニケーションの中から目指すべき方向が自ずと決まってくると思います。」と語られた。