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 三菱航空機が開発中の国産初のジェット旅客機MRJが27日正午前、愛知県営名古屋空港(同県豊山町)を飛び立ち、飛行試験を行う米国に向けて出発した。しかし、飛行中に空調システムに不備があることがわかったため引き返し、約1時間後に名古屋空港に着陸した。

 同社は数日がかりで機体を初めて海外に移し、米シアトル市の東約250キロにあるワシントン州のグラント郡国際空港で飛行試験を本格化させることにしていた。しかし離陸後、経由地の新千歳空港(北海道千歳市)に向かいながらシステム全体を最終確認していたところ、空調システムに不具合が見つかり、点検のために引き返した。

 原因を調べて整備し直した後、再出発する方針。28日以降になりそうで、途中、新千歳空港のほかにロシアのカムチャツカ半島、米アラスカで着陸して給油する予定だ。

 グラント郡国際空港は1年のうち9割以上が晴天で、飛行試験を重ねるのに理想的な環境とされる。三菱航空機は昨年秋、名古屋空港でMRJの初飛行に成功した。今後は国内と並行して米国でも飛行試験を進め、2018年半ばを予定する初納入に向けて、開発を加速させる方針。今回の試験機の1号機を皮切りに、年内にほかの3機も米国に移す予定だ。(細見るい)