佐藤幸徳
2016年8月27日16時47分
宮崎県立宮崎海洋高校(宮崎市)の実習船内で昨秋、男子生徒が同級生から暴行を受けた事件で、同県が今月、被害生徒の両親からの質問書に対し「学校に責任はない。訴訟等となった場合、(被害生徒)自身の責任を問題とする予定」と書面で回答していたことが明らかになった。
事件は昨年9~10月、太平洋上で航海実習中の船内で、当時2年生の男子生徒が同級生2人から殴る蹴るなどの暴行を繰り返し受けた。発覚後、自主退学した加害生徒2人は県警に傷害容疑で逮捕された。被害生徒は適応障害と診断され、登校できず転校した。
県教委によると、質問書は今年6月に学校へ提出された。県は代理人弁護士3人の連名による今月1日付の書面で回答。「一度(暴行が)発覚した後に加害者と被害者を同室とした理由は」など、17項目の質問に答えた。
回答書では、被害生徒の責任を訴訟などで問題提起する可能性に言及。さらに暴行発覚後も同室とした理由について「何度も意思を確認して、(本人も)今後同室のまま実習に取り組んでいくと表明したので、それを尊重」したなどと指摘。「(被害生徒は)高校2年生(当時)であり、自らの意思で上記のとおり(『大丈夫です』などと)表明」という、被害生徒側にも責任があると受け取られかねない記述もあった。
事件をめぐっては、県教委第三者委員会が調査報告書で学校側の認識の甘さを指摘。一方、県社会福祉審議会の再調査部会は今月26日、「再調査の必要はない」と県に答申した。対応については、河野俊嗣知事が最終判断することになっている。(佐藤幸徳)
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朝日新聞社会部
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